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A.Q.U.A.R.I.A  作者: Ирвэс
第四章 嵐の前の静かなる凪
42/44

第41話 忌まわしき記憶の奔流 File.5

次回の予告通り、リラの過去は今エピソードで終わりです!

 取り巻きの西堀達を理緒奈から引き離した翌日の事です。何時も通り教室に来ると、西堀達の机には持ち主の存在が有りません。有るのは自分に強い敵意と殺意の目を向ける理緒奈の姿でした。


 (本当に西堀さん達、暫く学校来ない心算なんだ……。)


 それでも理緒奈が何か仕掛けて来るのではないかと身構えるリラでしたが意外にもそんな事は無く、平穏に日々の時間は流れて行きました。然し、テミスは知っていました。彼女がリラを潰す為、陰で恐ろしい事を企んでいた事を―――――。



 中学生となって迎えた2度目の4月も、下旬に差し掛かろうとしていた頃です。下校の途にあるリラを、少し離れた場所から双眼鏡で車の中から見つめる怪しい影が有りました。


 「あいつか?」


 「今イチ色気が無ぇが、ありゃ将来化けそうだな!」


 「ターゲットはお前のお友達の4人と、あいつで良いんだな?」


 「つーか酷ぇよなぁ、お前も?友達4人だけじゃなく、クラスメイトまで奴隷として売るなんざよぉ!」


 見るからに柄の悪そうな男数人が、車の中で誰かと話していました。


 「良いの良いの!あんな奴等もう友達じゃないし、あいつだって私に酷い事した最低の女狐なんだし、思いっ切り滅茶苦茶にしちゃって!」


 その相手はやはり理緒奈!柄の悪い破落戸(アウトロー)達を雇ってリラ処か、取り巻きだった西堀達に良からぬ事をしようと目論んでいる様でした。


 「まっ、1人頭10万で併せて50万で売ってくれるってんだ。元お友達の4人も未だ中坊なのに上玉らしいし、良い玩具になりそうだぜ!」


 下卑た笑い声を上げながら、男達の乗った車は動き出します。


 「う~~~ん…今日の晩御飯、何にしようかな?」


 そう言いながらリラが人気の無い路地を歩いていた……その時です!

 突然彼女の背後で例の車が止まったかと思うと、中の男が勢い良く後ろからリラに組み付き、クロロホルム入りのハンカチを口元に宛がいます。

 予期せぬ不意打ちだった為にアクアリウムを発動させる事も出来ぬまま、気を失ったリラはまるでオニイソメの巣穴に引きずり込まれる魚の如く、下衆な男達の乗る車へと拉致されてしまいました。


 (リラを狙う者がいるのは分かっていました。ですが、反撃はもう少ししてからです。)


 そんな彼女の様子を、テミスは離れた場所からジッと監視していました。



 (――――ラ、リラ!目を覚ましなさい!)


 それからどれだけ時間が経ったでしょうか?不意に自身の脳内に響くテミスの声。突然の意識の暗転からリラが目を覚ますと、其処は何処とも知れないコンクリートの建物の中でした。窓を見るともう日没が迫っています。


 「(う……此処は?)ッ!?ンンッ!?」


 意識を完全に取り戻した時、リラは自身の身体の異変に気付きました。何と口を粘着テープで覆われて声を出せなくされており、然も手も同じ様にテープで後ろ手に縛られていたのです。

 更に周りに目を遣ると、理緒奈の取り巻きだった磯山達4人も自身と同じ形で拘束されて気を失っている光景が視界に飛び込んで来ました。


 (磯山さん!斐川さん!鹿瀬さん!金森さん!)


 リラが脳内で4人の名を叫ぶと、テレパシーではありませんがやがて4人が目を覚まし始めました。


 「ンッ!?ンン~~~~ッ!」


 「ンンンンッ!?ンググッ、ングゥッ!?」


 目覚めた4人が取ったリアクションは当然ながらリラと同じそれでした。皆自分と同じく何故拘束された上で此処にいるのか分からず、混乱している様がありありと伝わって来ます。


 (テミス、これって一体どう言う事なの?私達、何でこんな事になってるの?)


 テミスにテレパシーで尋ねると、早速答えが返って来ます。


 (八十島理緒奈の仕業よ。)


 (えっ!?理緒奈ちゃんの!?)


 有無を言わさぬ冷酷な答えに、リラは唖然となるばかりです。然し、テミスはそんな彼女の胸中など御構い無しに淡々と続けます。


 (そう―――自分を裏切った其処の4人組共々リラを始末するべく、八十島理緒奈はその辺のならず者に金を渡し、貴女達を凌辱しようと目論んでいたのよ。本来は貴女1人をターゲットにする心算でしたが、其処にいるの4人が貴女のアクアリウムを機に裏切った為、理緒奈は彼女達も凌辱対象に追加しました。1人10万円ずつの合計50万円でね……。)


 (ごっ、50万円で!?)


 彼女から告げられた事実がリラにとって衝撃的だったのは言うまでもありません。自分を男達に嬲らせる計画を立てていただけでも驚きでしたが、まさか磯山達まで裏切者として追加すると言う理緒奈の身勝手で醜悪な本性を垣間見たからです。何より驚いたのは『自分達が金で売られた存在』にされていた事!犯罪も良い所ではありませんか!

 そうこうしている内に耳元に足音が響いたかと思うと、突然乱暴に重い扉が開けられました。現れたのは何とも柄の悪い5人組の男達。口元には下卑た嫌らしい笑みを浮かべています。脳内で5人を何度も無惨に凌辱しているからか、股間も薄らと膨らんでいる様に見えました。


 「よぉ、お嬢さん方!もうお目覚めかい?ご機嫌麗しゅう!」


 「ンッ、ンンンッ……」


 男達の姿を見て自分達がこれからされる事を察したのか、磯山達は恐怖に震えて目から涙すら浮かべています。強姦(レイプ)の恐怖を前にした彼女達の心境は、レオ・レオニの絵本『スイミー』において巨大な鮪に怯える小魚達に限り無く似ていました。

 そんな彼女達の心中を分かっているからか、男達は口角を更に吊り上げ、只でさえ嫌らしい笑みをより邪悪に歪めて言いました。


 「なぁ嬢ちゃん達、俺等暇で暇で仕方無くってさ、一緒に遊んでくれる相手探してたんだよ。」


 「そしたら親切な奴がお前等の事、紹介してくれたのさ!1人10万の合計50万だぜ、50万!!たんまり金貰えてこんな上玉で遊べるなんざ最高だぜ!!」


 金髪の男がそう答えたのを受けてリラは確信し、磯山達は驚愕しました。自分達が理緒奈の手で、目の前の野獣達に奴隷として売られたと言う事に……。


 「馬鹿!てめ余計な事言ってんじゃねーよ!」


 「「「「ンン~~~~~~~~~~ッ!!!」」」」


 グラサンに五分刈りの男が金髪の男を小突くのを他所に、磯山達は恐怖に駆られて猿轡越しに悲鳴を上げます。然し、そんな中でもリラはその藍色の瞳で毅然と男達を睨み付けました。口と両手こそ拘束されて使えませんが股を開いて犯す必要からか、足だけは拘束が施されていません。


 (リラ、恐れてはなりません。どう転んでも貴女は此処から無事に脱出出来ます。貴女には私達とアクアリウムが有るのです!目の前の下郎など、溺れさせるが良いわ!)


 (テミス……うん!)


 もしもリラが去年までの普通の女の子ならば、こんな状況になったら何も出来ずに嬲られるだけだったでしょう。正直、リラだって内心は怖い。身体が恐怖で小刻みに揺れています。然し、アクアリウムと言う異能を手にしたリラは辛うじて落ち着いていられました。



 「つー訳で、今夜は俺達と遊ぼうぜ♪」



 金髪の男がそう言ってリラに近付こうとした時です。



 「「「「「ッ!!?」」」」」


 (なッ、何だこりゃ!?急に息が苦しくなって……)


 (然も身体が鉛みてぇに重く!?)


 (何だってんだよ!?糞っ、苦しくて動けねぇ!!)


 (つーか何だこりゃ!?魚!?)


 (さっきまで見えてなかったのに、何でこんなモンが見えんだよ!?)


 突然男達は呼吸が苦しくなり、水中で溺れる様な感覚に襲われました。リラのアクアリウムによる影響でした。一般人の彼等にも水霊(アクア)が見えている所から、ブルーフィールドまで入念に展開していました。

 高濃度の穢れを宿している者程、フィールド内では息が苦しくなって動き辛くなります。あたかも深い水底に引きずり込まれたかの様に……。

 『女を犯して性欲を満たしたい』と言う下衆な悪意の穢れにより、5人の暴漢達は自分達で己の首を締め上げる結果となってしまったのでした。


 (皆、今の内に!)


 突如、自身を襲っている不可解な現象に男達が混乱と共に麻痺している隙を突き、リラは何とか立ち上がって扉から外へ逃げ出します。磯山達も何とか立ち上がり、それに続きます。


 「コラ、ガキ共!待ちやがれ!!」


 「何したか知らねぇが、俺等から逃げられると思ってんじゃねーぞ!!」


 ですが、部屋を出て階段を下りる所でアクアリウムは切れてしまい、そのまま立ち直った男達は猛然と追い掛けて来ます。とは言え、アクアリウムの影響が完全に抜け切っていないのか、何処かフラフラで足取りが覚束ず、本調子ではありません。

 これが本調子ならば若くて年頃の男である手前、あっと言う間に捕まっていたかも知れませんが、未だに身体を襲う重い感覚に蝕まれているのならばリラ達の足でも十分に逃げ切れます。

 命からがら閉じ込められた廃ビルの中から脱出した5人は、そのまま必死になって街中を縛られた状態で疾走。


 (リラ、このまま右へ曲がりなさい。其処に交番が有るわ!)


 テミスのナビゲートに従い、5人は交番に駆け込みます。


 「ンンッ!!ンンンン~~~~~~~~ッ!!」


 「なッ!?君達、一体どうしたんだい!?」


 突然口にガムテープを貼られ、両手も同じ様に後ろ手にガムテープで拘束された女の子が5人入って来たのを受け、警官は異常事態を察知。

 直ぐにリラの口のガムテープを剥がし、事情を尋ねようとします。


 「待ちやがれガキ共~~~~ッ!!」


 ですが、それより先に直ぐ其処まで暴漢達が迫って来ていました。

 咄嗟に交番の入り口に出ると、リラは警察官に事情を伝えます。


 「私達、あの人達に追われてるんです!!」


 「そうだよ!!私等、あいつ等に犯されそうになって命辛々逃げて来たの!!」


 「何だって!?」


 リラ達の言葉を受け、交番の入り口と奥の部屋で待機していた警察官数名が外の暴漢を睨み付け、警棒を手に直ぐ様飛び出して行きます。


 「げげっ!?あいつ等、ポリんとこ駆け込みやがった!!」


 「冗談じゃねぇ!!捕まって堪るかよ!!」


 「至急!至急!こちら調布……」


 向かって来る警官の存在を受け、男達は踵を返して逃走するも、応援を呼んだ正義の使徒達の手によって敢え無く御用となりました。



 その後、リラ達は食べ損なった夕飯を恵んで貰いながら、事の経緯について警察の事情聴取に応じました。

 逮捕された男達も男達で、理緒奈を庇う義理は無いのか、リラと同じ中学の女子生徒から金を貰って彼女達を犯す様に頼まれた事を自白。

 只、相手が政治家の娘たる理緒奈である事は本人達も知らなかったらしく、名前も訊いていなかった為に警察も黒幕の特定には踏み切れませんでした。

 無論、取り調べで磯山達は犯人を理緒奈だと主張しましたが、証拠が不十分だった為に理緒奈は逮捕されず仕舞い。当人達がやり切れない気持ちだったのは言うまでもありません。尤も、仮に犯罪を立証出来るだけの証拠が有ったとしても、政治家である父親の権力で揉み消される可能性は十分に考えられる為、磯山達はどの道泣き寝入りするしか無かったでしょうけれど………。


 ともあれ強姦未遂事件から翌日の事、リラ達の学校では彼女達に起こった事件が大々的に取り上げられ、全校朝礼でもネタにされました。

 クラスのHRでも同様の話題が挙がり、職員会議でもその是非が問われて大騒ぎでした。

 同時にこの出来事は、嘗てリラを虐めていた磯山達4人にとって理緒奈から離れる口実となり数日後、4人は次々と違う学校へと転校。残ったのは理緒奈とリラの2人だけでした。


 「ねぇ、磯山達4人とも引っ越したのってさ、もしかして八十島の所為じゃない?あいつ等、ずっと八十島とつるんでたじゃん?」


 「確かに磯山達が襲われて転校って出来過ぎてるよね。ってか取り巻きいなくなって八十島、今どんな気持ちだろ?」


 「虐めてた汐月まで一緒に強姦(レイプ)され掛けてたんでしょ?もしかして八十神が男に5人とも売ってたりして。分かんないけど!」


 「汐月はどーだって良いけど、それだったらマジ怖くない?政治家のお嬢様だからってやり過ぎだっての!」


 そしてクラスではこんな噂が有る事、無い事囁かれましたが、リラはまるで気にせずに平常運転で授業に臨んでいました。


 (許せない……!!)


 一方、面白くないのは当然の如く、理緒奈の方です。取り巻きだった4人をリラ諸共、滅茶苦茶に犯す心算が失敗し、あまつさえも転校して逃げられる始末。おまけに学校でこんな悪い噂が流れた事で、ますます表立ってリラを虐める事が出来なくなってしまったのです。その胸中は、文字通り時化の海の如く怒りと不満で荒れ狂っていました。


 (許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない……!!!こうなったのも全部リラの所為よ!!あいつが私の思い通りに動かないから悪いのよ!!)


 リラに対して深い怨嗟と憎しみを募らせた理緒奈。内側に宿る穢れの濃度はこれ以上無い所まで高まっており、本人だけではもうどうしようも無い所まで追い詰められているのが分かります。自身の思い通りに行かない処か、自分から人が離れて行く状況に理緒奈のフラストレーションは爆発寸前まで堆積。人間として、超えてはならない一線を何時超えても可笑しくない状況にまで追い詰められていました。

 ですが同時に、リラの虐めとの戦いはいよいよ終わりに近付いていたのでした。




 磯山達4人が転校した数日後、4月末から5月初頭と言う事でゴールデンウィークが訪れていました。


 「リラ、只今!」


 「帰ったぞ、リラ!」


 仕事で滅多に家に帰らないリラの両親が自宅に帰って来ました。リラの母の名は『汐月(しおつき)ミラ』、そして父の名は『汐月(しおつき) (うしお)』です。


 「お帰りなさいお父さん……お母さん!」


 久し振りに帰った両親に駆け寄り、思わずリラはハグをします。


 「リラ、何か変わった事は無い?学校で虐められたりとかはしてないわよね?」


 「う、うん……平気!1人でも何とかやってるから。」


 仕事の都合で何時も家にいないとは言え、1ヶ月に1度と言う頻度で両親はリラに会いに来ていました。無論、あの虐め自殺を思い立った2月も、アクアリウムの修行に励んでいた3月も―――――。

 ですがこれまで通り、学校で虐めに遭ってる事を何とか隠しつつ、リラは何とか気丈に振る舞って来たのです。


 「本当にそうか?この前、お前の学校の子達が暴漢に襲われたってニュースで言ってたぞ?」


 「そ、そうだね…。私もそう言う事が有って恐いって思った。気を付けなきゃなぁ~って思ったよ……。」


 幸い、十代の未成年者と言う事もあって新聞では名前が伏せられていました為、リラ達が事件の当事者である事までは両親にも知られていません。

 然し、リラの学校で犯罪が有ったと言う事実を知れば、両親としては心配するのは当然でしょう。


 「無理しないで良いのよ、リラ?学校で虐めや何か嫌な事が有って、どうしても耐えられないって言うなら、何時でも私達に言いなさい。」


 母のミラからそう告げられ、リラは思わず涙腺が刺激されます。一瞬、その藍色の目元が潤むのを感じました。

 一方、ミラもミラで、彼女と同じくその藍色の瞳で娘を真っ直ぐ見つめながら続けます。


 「何時も仕事で貴女の傍にいられなくって、こうやって1ヶ月に1度位しか会いに来れないけど私達、リラの事思ってるから……!」


 「うぅっ…お母さん……!!」


 優しく娘を抱く母の温もりに、リラはその海より深い愛情を感じ取っていました。滅多に会えない両親から感じる優しさや温かさ程、リラにとって心の支えであり救いとなる物は在りません。


 (お母さん、本当にもう大丈夫だから……。私を虐めてた子達も、アクアリウムの力でもう殆どいなくなったし、何よりテミスのお陰で私、少しだけ強くなれたから……。)


 本当なら、虐められてる事を伝えて楽になりたい……。それがリラにとって1番の本音です。然し、アクアリウムをテミスから授けられ、その力で虐めと戦う様になった今のリラはもう、そんな事で弱音を吐く事は有りません。

 実際、アクアリウムの力で虐められなくなってから、リラはまた平穏な日々を過ごせる様になり、気持ち的にもだいぶ楽になっていました。つまり、母のミラに苦しみを訴える必要はほぼ無くなっていたのです。

 後は理緒奈の心の穢れを癒し、彼女の心を救えばもうリラの虐めは無くなる!この時のリラは、そう考えていたのでした。


 (絶対に理緒奈ちゃんを癒して、仲直りしよう。虐めっ子と虐められっ子の関係じゃなくって、お互いに対等に付き合える様になるんだ―――!)


 然し、それが実現性の無い甘い考えである事を、この時のリラは知る由もありませんでした。



 一方、当の理緒奈は―――――。


 「リィィラァァ~~~~~~ッ……!!あいつだけは絶対に許さない!!どんな事してもあいつだけは殺してやる!!」


 自室でリラの顔写真に何度も何度もナイフを突き立て、やり場の無い鬱憤を撒き散らしていました。最早、理緒奈はリラを殺してでも排除する事に執心する様になっていたのです。

 ですがこの時、破滅の足音が理緒奈の元に思いも寄らぬ形で近付いて来ました。


 不意に部屋の外に響くサイレンの音。何事かと思って家の窓から外を見ると、1台のパトカーが自宅に停まっていました。


 (何?パトカー?)


 まさか、先日の強姦未遂事件の犯人が自分である事を警察が突き止めたのか?

 そう考えた理緒奈は思わず身構えますが、車内から降りて来た警察官の狙いは別にありました。


 「八十島議員、市の入札に関する汚職の容疑でご同行願います!」


 何と、調布の市議会議員を務める自身の父が、市の公共工事の入札に関する汚職で逮捕されてしまったのでした―――――。



 それから数日、ゴールデンウィークが明けた学校では、理緒奈の事が早速話題になっていました。


 「ねぇ、ニュース見た?八十島の父親、汚職で捕まったんだって!」


 「マジで!?ウケる~♪」


 「汐月達の肩持つ訳じゃないけど、虐めなんかやってたから罰当たったんだね!」


 そんな事を噂しては盛り上がるクラスメイト達の様子を、リラは半ば軽蔑しながら席に就いて授業の支度をしていました。

 虐めっ子の理緒奈を擁護する気など更々有りませんが、自分が虐められていた時も見て見ぬ振りをして助けもしなかった卑怯者の癖に、事情が変われば今度は虐めの主犯を頭ごなしに扱き下ろす身勝手さ………。

 所詮、この世は諸行無常であらゆる物事は移り変わって行く物。今回のこれも、その“変化に対応しただけ”と言えばそれまでかも知れませんが、それにしたって釈然としない。ともすれば唾棄すべきその醜さは、まさしく海底に沈殿したヘドロ其の物の様にリラの藍色の瞳には映っていました。


 然し、それにしても妙です。休み明けになって学校が始まっても、当の理緒奈は全く教室に現れません。

 次の日も、またその次の日も同じでした。


 「ねぇテミス、理緒奈ちゃん全然学校来てないけど、何か有ったのかな?」


 流石にこれは可笑しいと思ってテミスに相談すると、彼女は思いも寄らぬ言葉を返しました。


 (八十島理緒奈でしたら、もう間も無く動き出すでしょう。リラ、その時が来たら覚悟を決めなさい。たとえ、どんな結末が待っていたとしても―――――。)


 「結末って……一体何が起こるの?」


 (それはリラ、その時に確かめなさい。私からは以上です。只、事が動いたら私も出来る限り力になりますのでご安心を―――――。)


 何時も意味深な言葉を消すだけで、肝心な事は何も言わないテミスですが、それでもリラは信じていました。彼女が決して間違った事や嘘を言ったりしないと………。

 そしてゴールデンウィークが開けて3日目の夕方、何時もの通り下校していた時の事でした。

 正午まで晴れていた空が急に曇り、雨が降り出しました。

 雨脚が強まる中、急いで多摩川の橋を渡り、自宅に帰ろうと急いでいたその時です。 



 「リラ………………。」



 橋の半分を渡り掛けたリラの前に現れたのは、数日振りに姿を現した理緒奈でした。ジャージ姿で乱れた髪型をしており、まるでその佇まいは幽鬼の様です。最早、最初に出会った時の様なお嬢様としての面影など何処にも有りません。

 いるのは人としての道を踏み外し、堕ちる所まで堕ちた悪女でした。


 「理緒奈ちゃん……!?」


 変わり果てた理緒奈の風貌に唖然となるリラ。思わず後退りするリラに対し、当の理緒奈は何やらブツブツと早口で何かを呟いていました。


 「あんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたの所為よあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければあんたさえいなければ…………」


 それは彼女に対する呪詛の言葉でした。仲の良かった取り巻きを失い、あまつさえも議員だった父が汚職で逮捕されて失職する等、自身を立て続けに襲った不運の数々を、理緒奈は全てリラの所為にせずにはいられない程に精神を追い詰められていたのです。

 そして―――――。



 「あんたなんか死んじゃえぇぇェェェ――――――――――――――――――ッッッ!!!!!」



 そう叫んだ次の瞬間、理緒奈はナイフを手にリラに向かって襲い掛かったのです!



 (リラ、直ぐに後ろにジャンプして下がりなさい!)


 テミスの言葉を受け、直ぐにバックステップで理緒奈の一撃を避けるリラ。怒りに任せた大振りだった為、簡単に回避する事が出来ました。


 (リラ、そのまま河原まで走りなさい!)


 「うん!分かった!」


 そしてテミスに促されるまま、元来た道を逆走するリラは、そのまま橋の下の河原に場所を移します。祖母であるユラが倒れた、本人にとっても忌まわしいあの河原にです。

 無論、殺意に駆られた理緒奈もリラを追って河原にまで走って来ます。


 「逃がすか!!死ねぇッ!!」


 狩りのスイッチが入ったホオジロザメの様な殺意の眼差しを向けながら、理緒奈はナイフをリラに突き立てようと突進して来ます。

 どうにか左に躱すも、更に理緒奈は勢い良く振り回して追撃の手を緩めません。少しずつ、川の方へとリラを追い詰めて行きます。

 降り出した雨は短時間で土砂降りとなっており、多摩川の水は激しく荒れ狂い出しました。落下すれば命に関わるでしょう。

 

 (追い詰められた!?)


 (大丈夫よ、リラ。貴女は水霊士(アクアリスト)。溺れる心配は有りません。寧ろ、これはチャンスです。)


 (チャンス?)


 リラとテミスがテレパシーでそんな遣り取りをしている事など知る由も無い理緒奈は、勝ち誇った様に口角を邪悪に釣り上げます。


 「フッフッフ……もう逃げられないわよリラ。覚悟は出来てるでしょおねぇ~………?」


 1億%の悪意を含んだ笑みを浮かべながら、底なし沼の様な黒く淀んだ眼差しでリラを睨む理緒奈。

 然し、追い詰められたリラは動揺もせずに相手をじっと見つめるだけでした。


 「何よその目はぁ…?あんたのその目が前々からずっと気に入らなかったのよ私はアァァァァァァァァッ!!!!!」


 そう叫んで勢い良く突撃して来る理緒奈に対し、次の瞬間!!



 「え………?」


 ザッバァァァァ――――――――――――――――――――ン!!!



 何とリラは、勢い良く氾濫する多摩川の中にバックステップで飛び込んだのです。

 土砂降りの雨の影響で激しく強く、まるで龍の如くうねる水流に翻弄されそうになりますが、テミスの加護もあって何とか流されずに済んでいました。無論、水霊士(アクアリスト)なので水中に潜っても、リラはアクアリウムの力のお陰で溺れる事は有りません。

 そして川に落水したのは何もリラだけではありません。勢いに任せて突撃した弾みで、理緒奈もリラと一緒に川へダイブしていたのです。こちらは普通の人間である為、息が出来ない処か冷たい水流に翻弄され、そのままでは当然、死を待つばかり。

 因みに冷たい水中に長時間いるのは全裸で氷点下の中にいる様な物なので、当然ながら低体温症で命に関わります。息が続かず溺死するか、寒さで命を落とすか、その究極の二択を迫られる理緒奈。

 ですが、ここでリラは待ってましたとばかりに理緒奈を掴み上げ、川岸へと帰還しました。


 川岸に理緒奈を寝かせると、リラは周囲を見回して周りに誰もいない事を確認。幸い、この土砂降りの雨の中で外を出歩く者はおらず、車の往来の盛んな橋の辺りから離れた場所まで移動している為、誰も見られる心配は有りません。

 気を取り直してリラはブルーフィールドを発動させると、コバルトブルーの二重螺旋を形成。クラリファイイングスパイラルによって理緒奈の穢れを浄化し、彼女の内なる水霊(アクア)を活性化させる事でその心身を癒しました。因みに理緒奈の内なる水霊(アクア)はチョウチョウウオでした。


 (リラ、ついでです。貴女の中の記憶を八十島理緒奈の中に同期させては如何でしょう?)


 「えっ?同期って?」


 (貴女の内なる水霊(アクア)であるクラリアをこの者の体内に入れるのです。そうすれば貴女のこれまでの人生の記憶をクラリアは八十島理緒奈の脳内に流し込むでしょう。貴女の体験した哀しい経験や辛い経験を追体験させると同時に、この人間の中の共感力を呼び起こせば、さしもの彼女ももうリラを虐める気は萎える筈です。この術法を『アクアレミニセンス』と言います。)


 「うん…分かった!」


 テミスに促され、リラは自身のクラリアを理緒奈の脳内に放り込む事で『アクアレミニセンス』を発動。自身の辛い記憶を理緒奈の脳に刻み付けました。それと同時にクラリアは彼女の中のミラーニューロンを活性化させ、理緒奈の共感力を呼び覚ますのでした―――――。



 「う……んっ!」


 暫くすると、理緒奈は意識を取り戻してその重い瞼を開きます。気が付けば、先程まで土砂降りだった雨はもう止んでおり、雲の所々に日の差す切れ間が出来ていました。


 「気が付いた、理緒奈ちゃん?」


 「リラ…あんた……うっ!?」


 心配そうな目で自身を見つめるリラの顔を見て、一瞬殺意が浮かぶも、自身に虐められていた時のリラの記憶がフラッシュバックします。


 「うぅぅっ……あああぁぁぁぁぁぁぁっ………!!!」


 共感力を増幅させられた事により、自身がこれまでやって来た虐めや心無い言動の数々でリラや取り巻きだった4人を踏み付けていた事への後悔と後ろめたさ、罪悪感が彼女の脳内を埋め尽くして行きます。


 「何よ……何よ何よ何よ何よこれえぇぇぇぇっ!?うっ…うぅぅっ……うあああぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~ッ!!!」


 散々自身が相手に与えて来た痛みや悲しみを追体験させられた事で、理緒奈はこれまでに無い程の良心の呵責に苛まれていました。

 一頻り悶え叫んだ所で正気に戻ると、理緒奈はリラを睨み付けながら言いました。


 「何なのよ…これ……?これはあんたがやった事なの、リラ?」


 「そうだよ。理緒奈ちゃんの頭の中に、私の記憶を流し込んだの。」


 「私の頭の中に、あんたの記憶を?何馬鹿な事言って…」


 「馬鹿な事じゃないよ。現実だよ。ホラ!」


 そう言ってリラは再びアクアリウムの力を発動。周囲を泳ぐ水霊(アクア)達の光景を目の当たりにし、理緒奈は驚きを隠せません。


 「何よ…これ?まさか、小梅達が言ってた魚の幽霊って……!」


 「そう、全部本当の事なの。」


 「じゃあ、今まであんたを虐めようとして溺れる様な感覚に襲われたのも……!?」


 西堀の言っていた“魚の幽霊”の話が本当だったと知り、これまでの事も手伝い、理緒奈はいよいよ以てリラに対して恐怖を覚えました。


 「ばばば、化け物!!あんた、本物の化け物だったのね!!冗談じゃないわ!!こんな化け物とずっと一緒だったから、私の人生滅茶苦茶になったのね!!」


 「待って、理緒奈ちゃん!」


 「誰が待つモンですか!?あんたなんか……あぁっ!!」


 立ち上がってその場から逃げようとする理緒奈ですが、アクアリウムの余韻によって満足に走る事が出来ません。覚束ない足取りでそのまま転んでしまいます。


 「ヒィッ!!こ、来ないでぇぇッ……!!」


 怯える理緒奈に対し、リラは膝を突いて優しく歩み寄る様に言いました。


 「理緒奈ちゃん、私ね、ずっと嬉しかったの。」


 「はぁッ…!?」


 「私ね、仕事でお父さんもお母さんも殆ど家にいなくて、一緒にいてくれたお祖母ちゃんも小学生の時に死んで、ずっと1人で寂しかったの!そんな私に声を掛けて、友達になってくれるって言ってくれて、私はとっても嬉しかった!」


 「何言ってんのよ、あんた……?私は別にあんたの事なんて…」


 「たとえ理緒奈ちゃんが友達だなんて思ってなくっても、孤独から私を救い出してくれたのは事実でしょ!?その所為で虐められたり、辛い想いもしたけど、でもそのお陰で人間として何が大事なのか分かった!少しだけでも、世の中の事を知る事が出来た!!どう言う大人にこれからなって行けば良いか、理緒奈ちゃんは私に考える切っ掛けをくれた!!」


 リラからのカミングアウトの前に、理緒奈は声も出ません。


 「私、理緒奈ちゃんと仲直りしたい!今度こそ理緒奈ちゃんと友達になって、一緒にちゃんとした人生を歩いて行きたいの!ねぇ…また2人でもう1度やり直そ?」


 目に涙を浮かべながら、そう言ってリラは理緒奈に手を差し伸べ、祈る様にそう言葉を投げ掛けました。

 まさかの「仲直り」と言う単語(ワード)に呆気に取られる理緒奈ですが、数秒の沈黙を置いてから、無情にもこんな言葉を絞り出しました。


 「…ッカじゃないの?」


 「えっ?……あっ!」


 次の瞬間、リラを乱暴に蹴飛ばして理緒奈は叫びます。


 「あんた馬ッ鹿じゃないの!?私があんたと友達!?冗談顔だけにしなさいよ!!こんな……こんな……」


 「理緒奈ちゃん……?」


 再び怒りに任せて声を荒げる理緒奈ですが、次第に語気が尻すぼみして行き、やがて弱弱しい涙声になって行きました。



 「こんな犯罪者にまで堕ちた私と友達なんて……それこそあんたの人生、滅茶苦茶よ………!!それにあんたみたいな化け物の友達となんて、こっちから願い下げだっての………!!」



 そして理緒奈は踵を返すと、静かにそのまま歩き出します。


 「じゃあね、リラ。あんたとはもう、永遠に会う事は無いわ。あんたは私の人生で、最低最悪の厄病神だった………!!」



 筋違い極まりない悔やみ事と共に去って行く理緒奈の後姿を、リラは何も言わずに只々見送るだけでした。そして当のリラの心には、理緒奈の心を救えず、仲直り出来なかったと言うやり切れない思いばかりが渦を巻いていました。

 何にせよ、自身の虚栄心の為に同級生を虐めていた悪女は、取り巻きも学校での立場も、況してや政治家の娘としての社会的地位も全て失い、リラの前から永遠に姿を消したのでした―――――。



 翌日、クラスでは理緒奈の転校が告げられ、リラを虐めていた連中は完全に彼女の周りからいなくなりました。

 学校から消えた理緒奈がその後どうなったのか、テミスに訊けば分かるでしょうけれど、リラは恐ろしくてとても訊けた物ではありませんでしたし、知りたいとも思いませんでした。

 只、少なくともその後の新聞やネットのニュース等で、理緒奈と思しき少女が警察に逮捕されたか、自殺したと言った話は聞かなかった為、恐らく理緒奈は何処か遠い土地で生きているのでしょう。

 願わくば、新天地で人生を一からやり直して欲しい―――――それがリラの切なる願いでした。但し、その為には周りの人間を自分の欲求を満たす道具として利用する様な、フレネミーとしての気質を悔い改めない事には何の解決にもなりません。その事に関しては、リラのアクアレミニセンスによって増幅された彼女の中の共感力が何とかしてくれる事を願うばかりです。


 さて、自分自身の虐めは終わっても、彼女の戦いがこれで終わった訳ではありません。残りの中学生活の中で、リラは同じ様に虐められている人間をアクアリウムで人知れず癒すと同時に、テミスの入れ知恵によって虐めっ子を撃退する知恵を授けた事も有ります。虐めと言う程の問題でなくても、悩みや嫌な気持ちを抱えて穢れを発生させている人間を人気の無い場所へ誘導させ、アクアリウムで癒したりもしました。無論、第三者に見られない様に十分配慮しての行動です。


 この様にリラは卒業するまでの間、水霊士(アクアリスト)として穢れを抱えた者達を秘密裏に癒しては、人としての正道に沿った生き方が出来る様に少なからずケアして来たのでした。

 只穢れを癒すだけでは、根本的な解決にはならない。自分の力で乗り越えられる様に、水霊(アクア)達から授かった知恵を助言しつつも決して表に出ない様に振る舞う。リラの水霊士(アクアリスト)としてのスタンスは、そうやって作り出されて来たのです。

 尚、余談ですがリラは虐めとの戦いが一段落した後、美術部に入部。そして中学3年生になって卒業するまで、絵を描いて過ごしていました。作品がコンクールで入賞した事も有ったそうです。



 3年に上がると同時に高校受験を迎えると、リラは水霊士(アクアリスト)としての自分の能力を活かせる場所として、海に囲まれた場所に在る高校への進学を希望。テミスの勧めと、母であるミラの母校であった事も手伝い、蒼國市の霧船女子学園への進学を決めたのでした。

 無論、虐められている間に下がった成績を挽回し、内申点が水準に届く様に懸命に勉強したのは言うまでも有りません。


はい、と言う訳で漸くリラの過去を新年最初に書き切れて良かった!此処から時系列を現代に戻し、今までエタってた分をしっかり取り戻して行きますからね!


アクアリウム講座4


続・水霊(アクア)について


人間を始めとした動物の身体には『内なる水霊(アクア)』が宿っている。

内なる水霊(アクア)は人間やその他の動物問わず新たな生物が生まると共に、必ずその内に新たに生まれて来るが、宿主の肉体が滅ぶまでは決して自由の身にはなれない(水霊士(アクアリスト)の力を介せば一時的に外へは出られるが)。

この為、内なる水霊(アクア)は宿主である生き物の中のストレスや生活習慣等によって生じる穢れを絶えず浄化し続けているが、それを上回る穢れが発生すると苦しみ抜いた末に沈黙。

水霊(アクア)が正常に機能しなくなった生き物の身体は、病に罹ったり最悪死んだりする。そして極稀にではあるが、暴走して宿主の肉体其の物を作り変え、異形の魔物へと変貌させて破壊活動に駆り立ててしまう事も有る。

尚、人間の内側に宿る水霊(アクア)は1人につき1体ずつとは限らず、本人達の心の成長と、それに伴って新たな一面に目覚めた時に第2、第3の水霊(アクア)が誕生する。


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