第一話 電脳ゲイム、起動します。
ある日、灼熱の炎を纏った太陽の下、アキは汗を垂らしながらアルバイトから帰っていた。暑い、とにかく暑い、アキにはそんな感情が宿っていたであろう。
「暑い…頭が壊れる…。」
しょうがないのだ、アキの頭には生まれつき電子機械が搭載されている、汗で濡れてしまうと壊れてしまうのも仕方がないのだ。
そんなこんなで家に帰ったアキは、電子機械の頭の中でゲームをしていた。アキは密かにゲーム大会などで何度も優勝する凄腕のゲーマーなのだ。普通の人間じゃ不可能な事も、アキの電子機械の頭でなら当たり前の様に出来るのだ。
でも、そんなアキ、高校に通いながらバイトもしてるので、電子機械が熱くなるのもしばしば…その為、アキは高頻度に思考停止する。この時は、アキ自身で電子機械の電源を落とし、再起動させ、改善させる。
「!?…またバグだと?…。」
アキは困惑する。何十種類もゲームをしているのだからバグが起きるのは当たり前。だが、今回のバグはいつもと違う。おまけに、勝手にゲームが落ちてしまった。アキはすぐにゲームを再起動させようとするが、深刻な事にフリーズしてしまった。すると、突然画面が消え、可愛らしい女子の声がよぎった。
『アキ…私が分かりますか?』
「…どういう…こ…と?」
そこでアキが目にした物は何か、
そこは…
荒れた土地、
折れまくってる木々、
壊れた家、
まさに終わっている世界だった。
「どこ…ここ…。」
混乱するアキ、そして、あの女子の笑い声。
「やっと来た。良かった〜!。」
アキを呼び出せた事に安心している女子。でも、アキは、何かがおかしいと感じていたようだ。確かに急にこの世界に来させられた上、『アキ…私が分かりますか?』と言われたのだから。
「そしてここはゲームの世界。 私はゲームの女神、イルと申します。」
そしてイルはこのゲーム上のこの状態について話し始めたのだ。
「かつて、このゲームはウイルスや、バグもない健全なゲームだったんです。でも、そんな健全なゲームに刺客が現れたのです。」
どんどん開放されゆくその事実、アキは黙ってその事実を聞いていた。
「刺客とは…?。」
戸惑いながらもアキは質問してみる。イルは覚悟の目でアキの方を見た。
「それはですね…『アイズ』というゲーム破壊の集団。すなわち、ゲームを完全に壊すという悪の集団です。」
その名を聞き、アキは黙った。昔から好きなゲームがゲーム内の集団によって壊されてるのだから。
「…それで、俺をここに召喚したのはどうしてでしょうか?。」
「それは…。」
如何にも難しそうな顔をしたイルの口から出た言葉、それはアキにとって、これからの人生に関わることだった。
「私と共にゲーム内の悪の集団『アイズ』を消滅していただけないでしょうか?。」
そして、アキが衝撃を受けたのはその後だった。
「そして…アキ、あなたは…
悪の集団『アイズ』を消滅させるまで、
ここの空間から出られません。」
アキは息を飲んだ。焦った証だ。普段のアキは焦る事のない冷静沈着な男性なのだ。
「アキ、あなたはゲーム世界によって一番必要な存在なのです。知っています。あなたはゲーム大会などで何度も優勝していらっしゃるのでしょう?、そして、生まれながらにして、現実世界でたった一人だけ頭に電子機械が搭載されている。と。」
アキの全てをイルに知られていた事に関し、またもや驚きを隠せなかった。
「どうして…それを?。」
「ちょっとした風の知らせです。」
「…それで、答えはどうでしょうか……?。」
アキはイルの目を見た。その時のイルの目はとても優しさに満ちあふれ、闇など一切無い、まさに光のような目だった。
「……良い…です…。俺に出来るのであれば。」
その時だった。アキの頭の電子機械が再起動したのだ。それと同時にイルが笑顔になり、
「…っああっ…あっ…ありがとうございますぅ…!。」
と言ったのだ。
––––––電脳ゲイム、起動します。––––––
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あとがき
どうも、月神です。初投稿なのでこれから生暖かいけどちょっと冷たそうな目で見てくれると嬉しいです(笑)あと、他の作家さんより劣ってる所がありますんで、読者さん達もコメントなどでアドバイスしてくれると嬉しいです。
このシリーズは私の事情により、不定期更新となります。テスト勉もあるんでね(笑)ごめんなさい。
これからも宜しくお願いします!