第1話 最弱までのカウントダウン
小説 第1話 最弱までのカウントダウン
騒がしい朝だ。今日は4月1日。どこもかしこもお祭りムード。
朝8時過ぎだというのに外では無邪気な子供たちがきゃあきゃあ騒いでいる。遠くの方では太鼓の音や、笛の音、神輿を担ぐ掛け声も聞こえる。どうやら大人たちも興奮を隠しきれないようだ。
正直うるさい。だが、それも仕方がないだろう。今日は剣選会の日だ。
「レイ~ご飯できてる!」
サキの声がする。サキは僕と幼稚園、小学校と同じ学校に通っている親友だ。小学校ではノリが良く、誰からも慕われている存在だった。所謂上位カーストの子だ。しかしキャピキャピした感じではなく、ショートヘアでパッと見は清楚系の女の子だ。そんなサキも今日が剣選会なだけあって少々テンションが高い。そんなサキの声に適当に返事をしてリビングに向かう。サキの両親はもう食べ終わって自室で準備をしていた。
僕には両親がいない。いや居たが事故で死んだ。行く当てもない中、拾ってくれたのが幼馴染のサキの家という事だ。
「早く食べちゃってよ?どうせ準備終わってないんだから。じゃあ私は準備してきちゃうね」
「分かった。それよりお前その髪の毛どうにかしろよ?すげぇことになってんぞ」
「え?マジで?ありがと!」
全員の準備が終わるころには9時を過ぎていた。
「剣選会は10時からだったか、、、会場までは30分くらいか」
「そうね、、、じゃあそろそろ行きましょう!」
道中色々な屋台によりサキが買い物するものだから会場に着いたのは剣選会開始の10分前だった。
剣選会会場前にはもう人があふれていて、やっとの思いで受付に辿り着き、自分の身分証明証を出し、会場内へ入る。
そこにはなんとも幻想的な空間が広がっていた。円柱状の建物の壁一面には様々な形の剣が立てかけてあり、その剣たちを辿って上を見上げるとそこには天井はなく、だが空も見えない。代わりに宇宙空間のようなものが広がっており、無限に広がっている事が感じ取れる。
サキは感激等といった様々な感情が湧き出てきていてどんな表情をすればいいのか迷っているようだった。
「すげぇな、、、」
僕も思わずそう口にした。すると、横から
「お?レイじゃねえか!まさかこんなに早く見つかるとは!なぁアヤ!」
「えぇそうね、、、あとカズ?うるさいわよ、、、声が大きい、、、」
相変わらずの温度差である。いつも元気で大声で喋るカズ。いつも小声で喋っているアヤ。この二人も幼稚園、小学校と同じ学校に通っていた親友だ。カズは運動神経が良く、校庭でいつもサッカーやら野球やらとはしゃぎ回っていて、体格もいい。一方、アヤはいつも教室の隅っこの方で本を読んでいて、あまり僕ら以外とは喋らない、大人しめの子だ。この二人が付き合っているのだから驚きだ。一体二人ともどこに惹かれたのか、、、まさか家が隣同士だからというわけでもあるまい。気になる、、、
それから4人でぺちゃくちゃ喋っていると、、、
『うぃーす!皆元気か~!』
と、いきなり館内放送で呼び掛けられた。
これどこにスピーカーあんだよ、、、ってか誰?
『驚かせちゃったかな?と、まぁ斬新な登場の仕方をしてみたわけだが、おふざけはこの程度にしておいて、、、皆さん今日から新年度ですね。去年度12歳になった諸君には義務が、、、』
ここから30分ほど永遠と歴史の説明をされた。
要約すると、昔までは戦闘機や戦車、ミサイル、銃などにによるいわゆる近代兵器を用いた戦闘しか存在していなかった。だが、ある時、太古の王族の墓地から出土した剣があり、それを調べると不思議な力があることが分かり、その後全世界で続々と剣が出土した。終いにはその類の剣を製造できる輩まで出てきて、銃火器なんぞ使い物にならない時代になってしまった。と言うようなものだった。
『、、、という事で!君達には剣の宿主になってもらう。だが、、、君達には剣を選ぶ権利は無い。剣が君達を選ぶのだ。当然選ばれないものも出てくるだろう。では健闘を祈る』
そこからの記憶は曖昧で、部分的にしか思い出せない。気がついた時には剣選会は終わっていた。
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