死神と自殺希望者
毎日小説連載 その1
俺は弱い人間だ。
いつからそう思い始めたのだろうか。覚えていない。気づいたら、小さなことで病んだり、少しのミスで壊れそうになったり、そうなっていた。
直そうとも思ってはいる。でも、やはりそう簡単に人間は変われないんだと、改めて思った。
いつかは、ネガティブでもない、弱くもない、そんな人間になりたいと、毎日思っている。
そう、「思っている」だけなのだ。内心は、自分が変わってしまうのが怖くて、どうなるかわからないから、「変わろうとしてる」自分を演じてるのだと、そう気づいた時にはどうすればいいか分からず、悩んでいる。
悩み続けている。答えも出ないまま。変われないまま。
果たして、将来の自分はどうなっているのだろう、それをかんがえると、自分でいるのが嫌になるが、それでも、こうして生まれてきてしまったからには、ちゃんと死ぬまで生きなければならないのだと思う。
自殺は何があってもやだ
そう思いつつも、時々そんなことを想像してしまう。そのたびに、「俺は死にたいのか」と自分に問いかける。もちろん、答えは返ってこないが。
いつになったら返ってくるのか…
恐らく人生で最も美しい瞬間に返ってくるだろう。
答えを聞けるかは定かではないが、その時に返ってくるだろう。ある「形」となって。
はぁ、いつもこうやって考えて、何も分からず寝ている。そんな生活の連続だ。特に楽しいこともなく、楽しめることもなく、ただ、ただ、寝て起きての連続。いっそ、いなくなりたい、そう思ったことが何度あるだろうか。
早く死にたい……
死にたい……
死ね、死ね、死ね、死ね、死ね死ね死ね死ねしね死ね死ね死ね
俺なんか、死ねばいいのに
生まれて来なければよかった。
「なら殺してやろうか?」
突然、俺目の前に現れたその人物はそう言ったのだ。
殺してやろうか?
って、は?いや、なんでアンタみたいなクズに殺されなきゃいけないんだよ
「そんなん、俺が神だからに決まってんだろ!」
は?神?いやいや、有り得ない。いくら死にたいって俺が言ってるからって、そこに神がくるかよ
「それも、神ではなく死神だけどな!」
は?死神?アホかあんた、何言ってんだよ。死神?そんなんいるわけないだろ!
ふざけるな!そんなんで俺から自殺願望を忘れさせる気か!?
「そんな馬鹿な、そんなことはしねーよ。いいか?俺はな、ただ普通にお前を殺したいだけだ」
何ほざいてんだ、このクズは。いいや、殺してくれるなら、それに越したことはねーし、こんなクズが豚小屋にでも入ってくれるなら、それでいいし。
「わかった、んじゃ殺してくれ」
目の前の「神」気取りが何処かからか持ってきた太刀を大きく振り上げる。
突然、目の前が暗くなる。
これが、ホントのハッピーエンドだと、そう思った。