第一章 第三話
??「未だになんかやってるような感じがしていませんが………これからどんどん天使候補生たちには難題が降りかかっていく予定です!そして、私の名前も未だに不明!これはゆゆしき事態です!」
三、
「えーと、何であなたの妹さんが帰ってきたらゲーム、消しちゃったんですか?」
のほほ〜んとした調子でそんなことを言ってくるが、それにも理由がある。
「………妹はああいうゲームが嫌いなんだ」
「ああいうゲーム?」
「さっきやってたようなゲーム。ありえないだろってつっこみたくなるだろ?あんなにとんとん拍子にいくようじゃないって言う夢も希望もないようなことばっかり言うんだぜ?置いてただけで俺のことを不潔扱いだ。たまったもんじゃない」
まぁ、内容は確かにたまったものじゃなかったがな……………
「はぁ、とりあえず………ここまで来ればあの妹さんも追いかけてこないとおもいますけど?」
「そうだな、少々走りすぎた………はぁ」
今までバレルを抱いて走っていたのだからさぞや見ものだっただろう。
「っと、気がつきゃ夕方だし…………結局、お前の協力者は今日中に見つけられなかったな?」
俺がそういうとバレルはまるで他人事みたいに頷く。
「そうですね〜やっぱり人間界って言うのは恐いところなんですね?」
ここに来てようやく理解できたかと俺はおもったのだが………
「あんなにのめりこむようなゲームがあるとは恐いものです!」
そっちか?そっちじゃないだろう?路頭に迷ったらご飯も何も食べれないんだぞ〜……と、言ってみたところ彼女は着ている白い服をがさごそと探り始める。
「えーと、実は厄介になるところだけは決まっているんです。ほら、まだこの封筒を開けてませんけど…………」
俺は絶句した。
「その封筒に入っている名前の奴が協力者じゃないのか?」
「…………ああ、確かにそうですね♪あなた、頭いいですね〜」
バレルは手をぽんっと叩いて頷いた。
「……………」
「ええとですね、協力者さんは一番相性がいい人が選ばれるんです………選び方は女神様が決めるのですが、聞いた話では初対面ながらも息のあった行動が出来るとか♪」
「へぇ、けど女神様はなんでもする人なんだな?」
悪魔雇ったり、天使を決めるとても大事そうなことを人間界で決めるとかさぁ………
「ええ、とてもすごい方だっておねえちゃんもいってました。お姉ちゃんは女神様がいるから世界は回っているんだといってましたよ?あれは狂信的なまでにすごかったですね〜♪」
どうやらバレルには姉がいるようで、その人も女神を崇拝しているようだった。
「さて、話がわき道に逸れちまったが………結局のところその相手は誰なんだ?早くいって事情を説明したほうがいいんじゃないのか?それとも、相手は既に事情を知っている相手なのか?」
封筒に手をかけるバレルは首をかしげる。
「さぁ?天使になりたいと思っている人たちに与えられる情報は少ないですからね〜最後に食べてくる食事の内容もわかりませんでした……えっと、私の主となる人は……」
そこに書かれていた文字は………
『生野 雪人』
思わず、絶句しちまった。
「う〜ん、雪の人?雪山にいるんでしょうか?私の主は?」
「…………俺」
「え?何ですか?」
「俺だって」
「?」
俺は不思議そうな顔をしているバレルの肩を掴んで言った。
「俺が生野雪人じゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
――――
母親にどう説明しようか迷っていた。
「マスター、夕日が綺麗ですね〜」
「…………ああ、明日もきっと綺麗な夕日になるぜ?」
父親にどう説明しようか悩んでいた。
「マスター、商店街のおばさんたちが微笑んでくれてますよ〜?」
「…………あれは俺たちを見て懐かしんでるんじゃないのか?」
妹に…………どう言い訳しよう。
「あら、雪人じゃない?」
「あ、か、か、母さん………」
そこに立っていたのは鬼…………ではなく、俺の母さんである生野良子だ。さて、どういった風にいいわけをしようか?あれか?ダンボールにはいってて風邪ひきそうだったからつれてきたとか、にんじんあげたらなついたとか…………
「手を繋いでるその子がバレルちゃん?」
「あれ?バレルのこと知ってるの?」
「勿論よ〜ああ、そういえば雪人には話してなかったわね、いっつも自分の部屋にいっちゃうんだからこまったものよね……」
母さんのお叱りを道の真ん中で受けながらも、俺は大体の事情を察することが出来た。どうやら、外国からホームステイでやってきたということになっているらしい。知らないのは俺だけで、一週間ほど前に夕食のせきで話したそうなのだが、俺の記憶の中にはない。
「なんだ、別に気張る必要はなかったのか…………まぁ、考えればいきなりやってきてここに住んじゃいま〜すとかいう展開はさすがにないよな」
バレルに同意を求めてみると彼女はそうですねと呟いた。
「そんな一方的な物言いが通るのはそれこそあんまり役に立ちそうもない恋愛シュミレーションゲームだけですね〜」
彼女の言うとおりだ。
「じゃ、夕食前にバレルに町を教えておくから…………」
「ええ、気をつけていくのよ?」
両親が知っているのならよかったぁ…………俺はそうおもいながらバレルと共に歩き出す。
「マスター、今夜の晩ご飯なんですか〜?」
「さぁな?さっき聞いておけばよかったな………」
俺がそう呟いたときに俺の右斜め四十五度の方角から知り合いがやってきた。
「おや?雪人じゃないか?」
「誠か…………珍しいな、街中で会うなんて?」
夕日を浴びてさまになった格好をしている友人兼幼馴染。
「雪人、人類はいつ滅亡するとおもう?」
そして、どこか頭のねじが一ダースほどかけているのか、それとも人よりも多くつけられすぎているのか、常套句のようにして俺に毎度尋ねてくる。まぁ、まともに答えたことなんてないけどな。
しかし、俺以外にそのことについて答える奴が一人いた。
「………それは人の手によって人類が滅びるのか、天変地異によって滅びるのか………どちらの場合を仮定してマスターに尋ねているのですか?」
「おっと?見ない顔だとはおもったけど…………変わった子だね?」
確かにな、お前に対抗できる奴はもしかしたらこの程度おかしくないといけないのかもしれないな?
見てくる誠に俺は首をすくめると奴はとても面白そうに呟いた。
「驚いた、ここまで食いついてくるのは雪人に貸したゲームの先生ルート以来だ」
「って、お前も先生に手を出したんかい!」
「え?この人が幸人さんの持っていたゲームの持ち主ですか………成る程、深い」
「まぁ、もっと泥沼系もあるから今度貸してあげるよ………深いだろ?」
俺は不快だ。お前ら、何について激論をかわしているんだと俺は聞きたい。




