第一章 第十二話
??「あ〜っと…………ひ・ま・だ!ひ・ま・だ!めちゃくちゃひまだ!………一時期はやったフレーズ?で歌ったって何もないよ〜………さて、そろそろ終わりも近づいて?きました。どんな結末かはわかりませんが、皆さん、期待して?呼んでください!」
十二、
「ぐぅ………」
右手に一瞬だけ痛みが走る………
「………右手、なくなっちまったな………」
俺の目の前に右手が転がっていたように見えたのだが、それは霧消した。痛みがまったくないといって言いし、感覚がなんとなく夢っぽかった。
「ナイトメア………悪夢か………スプレ、じゃ、ここって夢の中なのか?」
「…………あいつが見ている夢の中………」
成る程、だから頭の中だって言ったのか………しっかしまぁ、気味の悪い夢を見るもんだ。俺に何か恨みでもあるのだろうか?
「…………ずっと、これまでずっと………こいつに主が倒されていった」
「ん?主が夢の中に取り込まれたのか?」
「違う、自分だけがここに取り込まれて………そのうちにやられた」
淡々としたその言葉はただ事実を述べているだけだった。
「………そうか………だがな、今度は大丈夫だとおもうぞ?」
「………何故?」
そこまで敵は迫ってきている。今度は確実にスプレの胴体を真っ二つにして俺が真っ二つにされる番だが………
「なぁに、隠れてこそこそと俺たちを見ていた二人組みがいるから、今頃どうにかしてくれているさ」
――――――
「ま、マスターがあいつに取り込まれてしまいましたよ〜」
「師匠なら大丈夫だ………それより、あいつを倒すことを考えろ」
「りょ、了解!」
シェルは相手を睨みつけ、大地を踏みしめて飛び上がり、バレルは光の矢を放つ。
「………見せてやろう、お前に!私たちのコンビネーションを………うわっち!」
飛び上がったシェルのすぐ右を矢が通り過ぎる。
「危ない!」
「ご、ごめん!」
自由に姿勢を制御しながら足場のない空中で相手に拳を叩き込む。そして、光の矢は動くことの出来ない羊ヤギへと刺さっていく…………
「これで!」
「終わりです!」
同時に放った一撃があたり、羊ヤギは光に包まれた…………
―――――
「な?言ったろ?」
気がつけば俺たち二人がいる場所はスプレと初めてあったあの公園だった。
「……………う」
「う?」
う○こか?とおもってしまった俺は空気が読めていない駄目な奴だ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁあぁあああああん!!!」
スプレはいきなり泣き出し、俺はなだめようとして………つらかったのだろうとおもって抱きしめてやった。
「う、ううう…………うわぁぁぁぁぁん!!」
「泣くなよ……てか、なんで泣いているんだ?」
「うう………ひぐっ………」
スプレの手も俺を抱きしめるようにして泣いている……
―――――
結局、彼女は泣きつかれたのか寝てしまい、俺はそんなスプレを背負って家に帰宅するはめになった。既にお空にはまん丸のお月様が輝いていて汗で体がべとついている。
「………ふぅ、ただいま」
「ま、マスター!お帰りなさい!」
「師匠、よくぞご無事で…………」
二人は俺に引っ付いてきて俺は倒れそうになったのだが何とか踏ん張ることが出来た。
「…………なぁ、二人とも……ちょっと重要な話があるんだ」
「………なんですか?」
「なんでしょうか?」
俺は重要な話を二人に耳打ちして、いやいやながらも承諾させたのだった。
―――――
「…………」
失態を見事に主の前でさらしてしまった。そして、主が寝ているうちにこの家を去るつもりだった。ずっとついてきていたあの悪魔を倒すことは出来たのだが、自分ひとりで倒すつもりだったのだが倒されてしまったのだ。
「…………」
気がつけばベッドに寝かされており、主の母が言っていた部屋のようだ………
「マスター」
「師匠」
左右にあの二人がおり、それぞれがそれぞれ、きっと都合いいことを想像しながら寝ているのだろう…………
たって部屋を出ようとするのだが…………立てない。
「!」
気がつけば自分の両手を左右からあの二人が掴んでいる。動けない状態だった。
「…………」
体をひねったりしたのだがどうしてか、とれない。足を動かそうとしたのだが縛られており、こちらも駄目だった。
「ふぅ…………」
ため息が自然と口から漏れる。
「どうした?動けなくて厄介か?」
「!?」
気がつけば近くに主の姿がある…………
―――――
先ほどから逃げようと必死になっていたスプレに俺は声をかけていた。
「…………主、ほどいて欲しい」
「駄目、お前逃げるだろ?」
黙りこむスプレに俺は告げた。
「………お前、自分の体を見てみろよ?ぼろぼろだぜ?」
いまさら気がついたのか自分が包帯ぐるぐる巻きになっていたことに驚いていたようだった。
「あいつの攻撃、受けたの本当はお前だからな………ま、俺も右肩と顔面けがしてたようなんだが………お前のほうが重傷だ。とりあえずその怪我が治ってここを出て行っても大丈夫だろ?」
「自分の怪我は………大丈夫、主は?」
「俺か?俺は大丈夫だ。右肩撃ち抜かれただけだし………お前の銃もあんまりたいしたことないな?痛くないからな」
そういってみると相手は顔を上げる。
「………次までには威力を上げておく」
それがスプレなりの冗談だということに俺は気づき、苦笑する。
「お手柔らかに頼むよ」
「………一撃で昇天するぐらいまでに威力を上げておく」
そうかいと俺は呟いて立ち上がる。
「じゃ、お休み………スプレ」
「…………てほしい」
「え?」
「朝までここにいて欲しい、主………たとえ、身勝手なわがままな願いだとはわかっていても」
「………わかった」
俺は立ち上がろうとしていたのをやめて座る。そして、朝までずっとスプレの昔のことを静かに聴いていたのだった。




