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第一章 第十話

??「夢の二桁!って意外と小さい夢でしたかね?ま、まぁ………地道にがんばっていくことが大きいことを成し遂げるということで……記念すべき?第十話、どうぞ」

十、

 気がつけばバレルが俺の家にやってきて数週間が過ぎていた。明日から夏休みで今日は終業式…………俺とバレルは既に終わった終業式についての感想を話し合っていた。

「校長先生ってどこも話が長いんですね〜」

「何だ?前にも学校に行っていたのか?」

「う〜ん、まぁ、そんなものですね………校長先生、同じことを延々と繰り返していましたから」

 う〜む、校長先生としてはいいことを連発したいのだろうが、一度聞けば大体わかるんだが………

「それより、あれからずっと下級悪魔とかこないな?」

 微妙に距離を置かれたあのころから結構時間が経ったのだが俺とバレル、そしてシェルの前には一体たりとて悪魔が姿を現すことはなかった。

「風邪にでもなったのでしょうかね?ええと、期間が長いですからインフレエンザですかね?」

「なんだ、そのインフレエンザって?」

 政治と会社関係にありそうな言葉だな?どういう症状が出るのだろうか?

「でも、戦わなくてよかったですよ〜?マスターが怪我しませんから」

「…………まぁ、そうだな」

 俺だって怪我するのはいやなので来てくれないのは嬉しいものだ。

「師匠、バレル………お待たせしました」

 俺たち二人が待っていた相手がやってくる。

「じゃ、帰りますか……………」

 普通は部活をやっている時間帯なのだが俺たち三人は所用で入っていなかった。

 帰ろうとする俺たちの前に誠が姿を現す。

「や、お帰りかい?」

「ああ、そうだが?」

 そう答えると奴はにこっと…………その瞬間、俺は背筋に悪寒がした………笑った。

「そうかい、たまには犬の散歩をしてあげるといいと思うね」

「……………わかった………それより、笑っているけどなんかいいことがあったのか?」

 奴がにこっと笑うときは厄介ごとが始まる前だ。他人の不幸を平気で笑い飛ばす奴だからな………そういえば、奴があせったところなんて一度も見たことがないな。

「ああ、そうだよ?実に面白い人を見つけてね」

「?」

 さわやかな笑みを浮かべながら俺たちにさよならを告げると奴はいなくなったのだった。

「………石井さん、なんだかとても機嫌が良かったようですね、師匠?」

「ああ、なんか怖かったな…………」

「そうですか?さわやかな笑顔でしたけど?」

 バレル、お前は素直でいい子だな………いつか、絶対に騙されるに違いないけど。

「とりあえず、奴が言ったことをしたほうがいいだろうな〜………」

「犬さんのお散歩ですか?」

 俺の家には犬が一匹おり、青い屋根の犬小屋に住んでいる。名前は『オイデ』である。この変な名前にもれっきとしたエピソードがあり、名前が決められていない間においで!おいで!と連呼していたところあの犬は

「オイデ、おいで!」

と聞き取ってしまったらしい。その結果として名前がオイデとなったのである。

―――――

「じゃ、二人とも散歩に行ってくるからな?」

「ええ、気をつけて行ってきてください」

「マスター、信号に気をつけて下さいね〜」

 俺は二人に手を振ってオイデの散歩を開始する。悪魔が襲ってくるのは主と候補生がいるときだけなので俺一人でいても大丈夫だそうだ。

 オイデは雑種の犬で、俺が拾ってきた犬でもある。可愛いというより不細工で普段は犬小屋から一歩も出ようとしないという引きこもりなのだが、名前を呼べばどこにでもやってくるというかっこいい?犬なのである。ちなみに犬小屋の名前欄には『花子』とかかれていたりもするがこの犬にはオイデしか通用しない。

「オイデ、何か食べたいものでもあるか?」

「…………」

 首を振る………と、俺の後ろを見る。

「何だ?かわいいメス犬でもいたか?」

 振り返るが、そこには何もいない。

「あら、ゆゆゆゆ……雪人じゃない?」

「お、舞か………」

 歩き出そうとすると右斜めから今度は話しかけられた。

「い、犬の散歩?」

 俺に対して何か苦手意識でもあるのかこいつはよくかむ。

「ああ、お前は?」

「あ、あたしも散歩………奇遇ね?」

「まぁ、お隣同士だからな〜………別に奇遇ってわけじゃないだろ?」

「む、何よ!奇遇って言うのよ!」

「はいはい、奇遇だな〜」

 すぐに怒るのは相変わらずで俺は首をすくめたのだった。

「ほら、オイデちゃんも呆れた顔をしているわ」

「………元からこんな顔だぞ?」

 人を小ばかにしたような面をしているのがうちのオイデの特徴である。

「きっと心の中じゃ雪人のことを馬鹿にしているに違いないわ」

「そうかい、じゃ、俺はまだ散歩の途中だから………」

 ゆびぱっちんをするとうちのオイデはいきなり走り出すという一種の特技?を所有している。これは面倒な友人と会ったときに脱出方法として発見したものである。

「よしよし、やっぱりオイデは賢い奴だな………後でなんかかってやるから」

 小さくなっていく舞に手を振って俺はその場を後にしたのだった。

――――

「…………」

 なぜだろう、誰かに見られている気がする………そうおもい始めたのは誰もいない公園…………平日にしても珍しい、この時間帯ならおばちゃんたちがくだらない話をしているはずなのに…………いるときだった。

「う〜…………わんっ!!」

 めったに吼えないオイデが吼える。

「ん?どうしたっていうんだ?」

 オイデが吼えた方向に視線を送ると………そこには右腕が異様に発達している人型の何かがいた。

「…………」

「悪魔………」

「え?」

 俺の隣には気がつけばロングヘアーの女の子が立っており、彼女は静かな目で一言悪魔と呟いた。

「…………排除」

 彼女は懐から拳銃を取り出すとそれを相手に一発、撃ち込んだ………そんなものが効くのか?と疑問におもったのだがどうやら心配後無用だったようで見事に相手は消滅した。

「………完了」

「え〜と、君は?」

「自分?自分は………スプレ・ロング」

 主はオイデ………と呟くとオイデの頭を撫で始めた。は?オイデが主だと?

――――――

「………主の言葉が理解できない」

「そりゃそうだろうな」

 いつかのカタツムリは見事にしゃべっていたがうちの犬がしゃべったところなど一度も見たことがない。しゃべらせようと小さい頃がんばってみたがこいつがしゃべれる言葉はう〜とかわんとかがるるる………ぐらいだろうか?お手も出来ないような犬だ。


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