東の国からの知らせ
まだ続きます。
西の国オエステは物作りの国である。人の生活に役立つもの、戦いに使うもの、様々な物を生産してきた。その国から発足された、自治体。
自治体により戦いの道具を使う冒険者ギルド、道具を作り出し売る役割を担った商業ギルドが発足され、西の国に留まらず5つの国へと発展し現在では都市ならず村にまで出来るほどになった。
それと同時代に出来たのが神を信仰する教会。この世界の神の主神は5柱おり、その神によってもたらされる神託は違い、水の神からは恵みの雨など様々である。
教会をまとめあげ、5つの国の都市に存在するのが神殿。神殿には神の教えに従う教主がおり、教主から教えを乞うのが主任神官。主任神官たちから各地にある教会へとさらに教えは広がっていくのだ。
その教会の信仰の一つに聖竜がおり5つの国の真ん中に存在する聖竜の森の主、聖竜様を信仰している。
東の国から来るという勇者一行の知らせもオステンの教会から知らせが入り、知らせを受けたのが西の国の教会の主任神官である。
主任神官はその知らせを受け取り、教主へ報告し終えると王宮への使者を立ててから勇者一行を出迎える準備をすべく行動を開始した。
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side:西の国教会 主任神官ネチャル
聖竜の森、そこは古代から生きる竜により作られ未だ我々人間が安易に立ち入ることが出来ない場所の一つである。
ここ、オエステではその森に年に1回だけ5つの国の代表が集まり森に儀式を行うため立ち入ることができる。これは小さい子供でも常識である。今年の儀式は無事に終え、国をお守り頂くよう竜様にも願いを届け明くる年まで森に入ることも無くなるはずだった。
ちょうど七日前に届けられた一報によってそのそれは覆されたのである。
東の国オステンより、勇者様一行が森に立ち入る事を望む。
ここ近年、魔王による被害はオエステでは深刻な状況とはいわないがそれなりに増えてきた。ただ、魔物たちは自分たちの領域に入るならば襲うだけなので我々人間達もそれを気を付けていれば特に生活には困らなかった。ただでさえ、こちらには聖竜様がおられるのだ。魔物達が国を侵攻する事など不可能である。
聖竜種白竜様、この世界では知らないものはおらず魔物が嫌がる聖域を作りその一帯に暮らす者達の加護を与えてくださっている。
年に1回の儀式はその年に生まれた子供に、加護を与えて下さるようお願いしている意味も込められていた。
なのになぜ、オステンは勇者などを召喚したのだろうか。
そう疑問に感じたが、事情は彼らに聞けばもっと詳しく聞けるだろうと考え勇者一行の到着を待つべく神官たちに指示を出した。
「東の国オステンより知らせが入り、勇者様一行が聖竜様の森へと立ち入る事を望んでおられる!王宮からの使者が帰り次第、至急対応出来るよう各自気を抜かぬように!」
「了解致しました!ネチャル様」