第3話 異世界の歴史
アルバ 3歳
俺はようやく一人で歩けるくらいに成長した。
更に、言葉の方もほぼ理解したうえで喋れるようになった、まだ読み書きは出来ないが。
一応今までハイハイは出来たが、やはり歩けるほうが行動範囲は広い。
歩けるというのは素晴らしいことなのだと実感した。
俺はあちらこちらへ行って色々と情報を集めようとした、行けるのは家の範囲内だけだが。
まずは何をしなければならないか、この世界で生きていくのだからまず文字が読めなければならない。
この世界の識字率がどのくらいかは知らないが、読めなければ後々苦労することになるだろう。
そう思って俺は家にある本を手に取って勝手に勉強を始めた。
その他にはこの世界の歴史を知らなければならない。
これについては字が読めなくても親に教えてもらったら良いだろう。
読み聞かせみたいにやってくれるのなら大丈夫なはずだ。
俺はそう考え、母ラーナに聞きに行こうとした。
ついでにラーニャも誘ってみたがあっさりと断られてしまい、逆に自分がおままごとに付き合わさせることとなった。
そのためこの日は聞きに行くことが出来なかった。
どうやらラーニャは歴史には興味がないらしい。
いや、どちらかと言えばこの年齢で歴史に興味を持つことはあまりない。
3歳といえば物心がついた頃で遊んでいる事のほうが多いはずだ、無理も無い。
俺は生まれた時から前世の記憶を引き継いでおり、実際転生していなければ今頃23歳なのだ。
そう考えれば俺のほうが特殊なのかもしれない。
そう思った俺は、歴史については一人で聞きに行こうと決めた。
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それから3ヶ月ほどが過ぎた。
字はまだまだ読めないが、歴史はラーナに教えてほしいと頼んでみたら、あっさり承諾されたために思いの他さくさくと覚えることが出来た。
ついでにこの世界のことなんかも教えてくれた。
俺が聞いた話しを大体纏めるとこんな感じになる。
今からおよそ20万年ほど前に、神の怒りを買った人類と神々との間で《最期の聖戦》と呼ばれる戦争が起こり高度に栄えた超古代文明が崩壊、その戦争で地上のほぼすべての生物が死滅した。
戦争は終わったが、その戦いで世界は荒廃、その惨状を見た神『トロムス』が世界を復活させることを決めた。
しかし、戦争で荒廃、汚染された大地を元に戻すことは難しかったため、『トロムス』は、この大地に結界を張り、海の底へ沈めた。
そして、その上に新たな大地を創り、それが今自分たちの暮らす五大陸となった。
そのため、今でも自分たちの足元には旧世界の街が埋まっているらしい。
『トロムス』は新たな大地に人間を含め、滅びた生物を復活させた。
また、戦争で生き残ったごく僅かな人類の暮らす場所として、五大陸とは別に、荒廃した大地の中でも比較的大丈夫だった土地を集めて南に別の大地を創りだした。
そして、人類は《新人類》と《旧人類》と別れることとなった。
これがこの世界の始まりの歴史らしい。
次は、その始まりの状態から今の世界にどのようにしてなったのかという歴史だ。
この世界には迷宮が存在する。
迷宮は地底深くに続いており、そこでは魔物が出現し、下に行けば行くほど強力になっていく。
新たな大地が出来た当初は資源がほとんどなかった。
そのため『トロムス』は旧世界との結界にところどころ穴を開け、そこに地下へ続く迷宮を生み出し、旧世界へ資源を取りに行けるようにした。
だが、迷宮には魔物を放ち、それを倒せる強さを持った者だけが通ることが出来るようにした。
それだけ旧世界は過酷な環境だということだ。
だが、そこで問題が発生する。
かつて旧人類と戦争をした神々の一部は、人類が再び力を持つことを恐れた。
そして、その神々は『トロムス』が迷宮に放った魔物を地上にも放ったのだ。
そして、対抗する術を持たない新人類は次々に駆逐されていった。
それを見た『トロムス』はある決断をする。
それは、地上に《魔法》を与えるというものだった。
そのために『トロムス』は地上に魔法を扱うことが出来る《エルフ族》を生み出した。
更には、獣の血を受け継ぎ、身体能力の高い《獣人族》、高い知性を持ち、戦闘力も高い《竜人族》、戦闘力は高くないが、強力な武器を作れる高い技術力を持つ《ドワーフ族》
そして、この新たな種族と新人類が結束して魔物を撃退、更に各種族の戦士達が5人で迷宮を突破し、旧世界の武器を回収、その武器を使って戦い、常に味方の先頭に立ち、最後には魔物に勝利して新人類を滅亡の危機から救ったのだった。
そして、その5人は今でも勇者としてこの世界で讃えられている。
ちなみにその勇者たちが使った武器は、彼らが自分たちの手で破壊したらしい。
そして、その5種族の血は世代が進んでいく中で交わっていき、魔法適正のあるエルフの血が別の種族にも引き継がれ、結果としてすべての種族で魔法が使えるようになった。
以上が、この世界の歴史らしい。
どうも、天津風です。
なんだか書いていたら長くなってきたので変なところですが一回切りました。
誤字などがあればまたご指摘ください。