第1話 異世界転生
どれほど時間が経ったのだろうか。
俺は意識を取り戻し、まぶたをそっと開けた。
(ん?何処だ?ここは?)
まず最初に目に入ったのは天井だった。
(ここは病院なのか?)
だが、最近の病院で木の板材をまんま天井に使っているのは見たことがない。
どう考えてもここは病院じゃない、なら一体何なんだ。
(知らない天井だ・・・)
某エヴァン○リオン風につぶやいてみたが声が出なかった。
(まさか、言語障害にでもなってしまったのか?)
そう思って俺は慌てて最後の記憶を整理した。
最後の記憶は確かチンピラに銃で撃たれた挙句ナイフで刺されたということだ。
流石にあそこまでやられたら死んでもおかしくないはずだ、もし一命を取り留めても後遺症の一つや二つが残ってもおかしくはない。
体を起こして周りを確認しようと思ったが起こすことが出来なかった。
(これは本格的に不味いぞ・・・)
もしこのまま体を動かせない上に話すことが出来なかったらこの先どうするのだ、仕事も続けられず頼れる親族も居ない。
小牧の家族に迷惑をかけることは出来ないから、どのように生活していけば良いのだ?
そのような不安が頭の中をぐるぐると回る。
なんとか気を紛らわそうとした。
幸い首は回るようなので首を横にむけて隣を見てみると。
(・・・なんで隣に赤ん坊が寝ているんだ?・・・って!?)
その赤ん坊は銀髪の子で、頭にはケモ耳がついていた。いや、流石に赤ん坊と寝ているはずがない上にケモ耳がある人間なんて聞いたことがないので隣にいるのは人形だとしておく。
チンピラにやられる前の記憶を思い出してみた。
(そういえば小牧の奴に俺の好みは銀髪碧眼ケモ耳ロリ巨乳と暴露していたっけ、もしかして既に小牧が見舞いに来てその時に俺の好みの人形をおいて行ったのか?それだとしたらあいつは俺のことを何だと思っているんだ!ロリが良いとは言ったが流石にここまでではないぞ!逆にこの域へ到達していたらそれはそれで不味いだろ・・・)
(そうだ、これは小牧が置いていった人形だ、そうに違いない。)
そう思って俺はもう一回その赤ん坊を見た。
・・・耳が動いた!
俺はとっさに目を逸らした。
(いや、今のはきっと小牧が仕掛けたイタズラの何かだ、それかただの見間違いだ、本物ワケがない。)
そう思って俺は思い切って隣を見た。
「んん・・おぎゃぁぁぁぁ、おぎゃぁ!」
(な、泣いたァァァァァァァ!)
(ゆ、夢じゃない、現実逃避をしても無駄だ、横にいる銀髪ケモ耳の赤ん坊は本物だ!)
そんなことを一人で思っていると誰かが部屋に入ってきた。
その人・・・いや、女性はその泣き始めた赤ん坊を抱き上げてあやし始めた。
その女性は金髪の若い美少女・・・いや、美女といったほうが良いだろう。
モデルのようなスタイルで身長が高く、腰あたりまで伸びた長い髪に巨乳、日本ではお目にかかれないような美貌の持ち主だ。
その赤ん坊はその金髪の女性の子なのだろうか?それにしては髪の色が合わない、父親の髪の色でも受け継いでいるのだろうか?
しかしケモ耳があるというわけではないのでやはり父親からの遺伝なのか、父親はどのような姿なんだ。
そんなことを考えていると赤ん坊が泣き止んだらしく、その赤ん坊をベットに寝かせると、今度はこっちへやってきた。
すると、俺に手を伸ばして俺を抱きかかえようとした。
(嘘だろ!?流石に俺は女に抱きかかえられるほど小柄じゃないぞ!第一なんでこんな誰かもわからないような男を初対面で抱きかかえようとするのか!?)
そう思っていたがその美女はいとも容易く俺を抱き上げた。
そして俺をあやすように揺すったりし始めた。
「-----・・・・、---・・?・・--」
すると何やら聞いたことのない言葉を話し始めた。
(英語か?いや、違う、ドイツ語でもフランス語でもイタリア語でもロシア語でもない、この言葉は初めて聞いたぞ?)
世界にはおよそ5000ほどの言語が存在すると言われているが、この言葉の響きは独特で、この地球には存在しないのではないかと思うほどであった。
そして、部屋の窓ガラスに薄っすらと映った影を見て、俺は初めて自分の現在の姿を見た。
(な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)
窓ガラスには、金髪の美女に抱き上げられあやされている黒髪の赤ん坊の姿が映っていたのだ。
「ぁう、あー、ぅあー」
俺はあまりの驚きで大声で叫んだつもりだったが、実際に出た声は赤ん坊の出すような声だけだった。
どうも、天津風です。
いつ投稿できるかわからないと言いましたがまさかここまで早く次が投稿出来るとは思いませんでした。
見切り発車で始めたために話の大まかな軸しか定まってないので色々浮かんだ案を忘れないうちに書き上げていたらこうなりました。
次の話もできるだけ急いで投稿出来るよう頑張ります。
誤字などがあればまたご指摘ください