綾女の章 1
「……で、昭一。お前いつから金津園で働いとるんや?」
あ、ども。乙原の妹の綾女っす。社寺建築の普請で飯食ってます。
え? 女で宮大工は辛くないかって? いやいやいや、結構ガテンの男はスケベな奴が多いっすからね、それなりに良く面倒見てもらってますよ。
さて、なんかさっきからウチの父ちゃんと兄貴が問答をしてるんすけど、
「……昨日からだが?」
「あぁん!? 大工はどうしたんだよ? 辞めたんか!?」
「……景気悪くてな。」
あぁー、兄貴の転職の事が父ちゃんの耳に入りましたか。
「で、よりによって金津の※三助って、お前なんで一言相談せんかったんじゃ!?」
「……流石に賢者モードは解除されてやがんな」
あぁー、父ちゃんも説教モードに入ってますね。
こうなると長いっすよ……って、賢者モード!?
「……ちょっとお二人さん?
『賢者モード』の件について聞いてもいいかね……?」
「え? 賢者モード? なにそれ……?」
「親父よ、賢者モードってのは、イった後のマッタリとした状態の事だ。
……って綾女、お前なんでAK(電動ガン)持ってんの!?」
あぁ、昔買ったこのAKっすか? 郁恵先輩からメールが来たもんで、懐かしくなって久しぶりに充電してたんすよ。弾? もちろん装填済みっすよ。
「じゃ、おやすみ!」
「おい! 昭一、俺を見捨てて逃げんな!!」
「父ちゃん、ちょっとそこに座りなさい」
※【三助】昔、銭湯の下男の事をこう呼んでたらしいっす。