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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

守り神様は魔法少女

作者: lassh-leyline

このお話には残酷な表現や描写が含まれております。


ご注意ください。

11月5日大幅改稿



守り神様は魔法少女


むかしむかし____というのは世界で一番有名な書き出しなんですがほかに言いようが無いのでがまんしてね。



ここは犬さんたちの村

熊さんが暴れていました。

彼の後ろには大けがをした犬さんや亡くなった子供達も居ます。

誰も止めることは出来ません。

大きな熊さんの周りを囲んでいるのは小さな犬さんばかり。

あまりの怖さに誰も近づきません。このままでは村は滅んでしまいます。


 そこまでです!


どこからか見知らぬ犬の少女が現れました。

人間の服を着ています。白くて明るい色でひらひらです。

魔法少女です。犬さんですが・・・


くるくる回りながらキラキラ光るステッキを熊さんに向けました。


 私は大地の女神の巫女これい”ごちん!”


まさに問答無用です。熊さんの一撃は強烈でした。


空中に飛ばされた時には体の半分が別の方を向いていました。

ステッキは折れ、綺麗だった服もボロボロで真っ赤に染まっています。

誰もが目を背けました。

しかし、ゆっくりと立ち上がった少女。


首は折れ頭は真後ろを向いて地面を見上げています。

沈黙が辺りを包みます。

あまりの光景に熊さんも動きを止めました。


 じょうあばれるならわた・・・あれ何処に行かれました?


きょろきょろと見回してみますが見えるのは大地とそこに生えた草ばかりです。


得体の知れないものを感じた熊さんはまたもや一撃を放ちます。

腰が砕けお腹の中身が飛び散りました。


しかしまたもや立ち上がります。

すでに生きているとは思えません。


もはや恐怖に突き動かされた熊さんは何度も殴りかかりました。

しかし、立てないまでも這い寄ってくる肉塊少女に怯えてしまい、泣き出してしまいました。

それでも攻撃は辞めません。


 いい加減にしなさい!


少しいらついた声と共に唯一無事だった右腕が熊さんに振り下ろされました。

熊さんはそれだけで彼女と同じような姿に・・・・殴った腕も飛び散ってしまいました。

流石にあなたこそいい加減に死になさいという突っ込みは出ませんでしたが。




ようやく自分の姿に気付いた少女は魔法一つで元通りの姿に。

ふつう死んでるはずですが気付かなかったそうです。

何でも死ななければ大丈夫だそうです。

彼女は全てのけが人の手当を一瞬で済ませました。

熊さんの魂の方はすでに旅だってしまわれたようです。


熊さんが何故暴れていたのか調べましたが誰も知りません。

原因を調べることにした少女は森の奥に入っていきました。


森の奥に熊さんの村がありました。


狼さんが暴れていました。

熊の人たちは右往左往、けが人や死人も出ています。


 またですか?


ため息をつきながら、今度は死なないように電撃の魔法で・・・・あ。

突然、燃え上がる目の前の家。

急いで鎮火の魔法で火を消します。

狼さん避雷の護符なんか持ってるのでしょうか?

さっきの熊さんとは違ってこの狼さんは素直に大人しくなりました。


家の人には謝って何とか許してもらいました。

改めて狼さんに聞きます。


狼さんは一人娘が行方不明になったのだと言いました。


 娘が一晩中森を逃げ回って最後に崖から落ちてしまったのは足跡とにおいで分かった。

 だが、崖下には血と追い回していた熊達の足跡、そしてお前だ!

 においで分かった。一緒に居たろう!

 娘はどこだ!答えよ道化姿の娘!

 

 あの、魔法少女の服ですよぉ。


にらみつける狼さん。

可愛らしく答える犬の少女。


 ごめんなさい、持ってっちゃいました、女神様が・・・・てへっ。

 

 きさまあぁ!!


火に油ですね。

胸ぐらを掴まれ今にも噛みつかれそうです。


少女は慌てずに言いました。


 私が見付けたときには娘さんはもう事切れていらっしゃいました。


覚悟をしていたのか唸りながらも聞いている狼さん。


 それに私の仕える女神様が依り代になる体をお探しでしたので贄として捧げさせてもらいました。



さっきの家が崩れ落ちました。

少女が投げつけられてその衝撃で倒れてしまいました。


 ゆるさん!ゆるさんぞ!道化!


 ですから魔法少女ですって。


がれきをかき分けて現れた少女はやはりボロボロ。でも平気な顔です。


 たとえ死んだとしても何処の神かわからんやつに捧げただと?

 なら、おまえを娘の供養のために我が神に捧げてやる。


 我が一族を守護せし山の神よ我が願いを聞き届けよ!我が導きによりて今一度我が前に顕現されよ!


あたりに魔力が放たれます。

沈黙があたりを包みます。

しかし何も起こりません。

ざわつく熊さん達。

でも、狼さんはみた。魔力が目の前の少女に流れていくのを。


 あの、私を呼ばれました?


再び沈黙があたりを包む。


 今私を呼びましたよね?

 

 お前何者だ?


呆然と訪ねる狼さん。


 今朝方この辺りの土地神様が引退するから、後は任せたと言って泣きながら駈けて行かれました。

 状況がよく分からなかったですが取りあえず私が代理です。


 ば・・かな・・こんな小娘が?


信じられないという風な狼さんを前に、言い放ちます。


 これでも地母神様の筆頭巫女でしたのよ。神様の修行も頑張ったのよ。


小さく薄いむ・・・ゲフンゲフン!

だからもやさないで!熱いから!

不思議そうな顔で魔力を送ってこないで!恐いから!




お話に戻ります。


得意げに腰に手を当てふんぞり返る少女。


 娘はもうじきあの方の元に修行に出るはずだったのだ。


ぽつりと漏らす狼さん。足下に落ちる物がありました。


 確かにもの凄い澄んだ魔力を持っておられましたね。


そっと抱きしめられた狼さんははっとして少女をみる。


 大丈夫、女神様がちゃんと面倒を見てくださいますよ。


 え?どういう・・・


何のことか分からず聞き返す狼さん。


 魂はまだ近くにいらしたので一緒に送っておきました。

 きっと立派な土地神様になって帰っていらっしゃいますよ。


泣き崩れる狼さん。抱き合う二人を遠巻きにする熊さん達。

狼さんは小さかった頃の娘を見いだしているのでしょう・・・


ただ彼女は大けがをしていまだ血だらけです。



なるほど、前任の土地神は弟子になるはずの彼女を守れなかったのがよほど堪えたみたいですね。

そう結論づけた少女は改めてこの地を守ることを女神に誓う。

あの神は修行の旅に出たのでしょう。

そこまで頑張っていた人の後を継ぐのだから頑張らないと。


狼さんの後始末をしたあとで熊さんたちに犬の村に来た熊さんの話を聞きに行きました。





その家は村の端にあったため被害に遭わなかったようです。

三人の子供の熊さんの亡きがらを前に呆然と佇む女性。

彼女は入ってきたのが犬の少女と知って怯えて部屋の外に逃げてしまいました。

ボロボロの服で血をした垂らした少女が入ってくればそれは怖ろしいでしょう。


話は聞けそうにないので、亡きがらの方を調べに行きました。

子供達は布を掛けられていました。

少しめくってみると見えるところはまんべんなく犬か子供の狼の噛み跡がびっしり。

何か引っかかります。


 ああ!あの時の小熊さん達!


そういえば、倒れた狼の娘を見付けた私に、口封じしようと襲いかかってきた子達がいました。

幻獣の魔法で追い払ったんだっけ。

えらく大慌てで逃げ出したのは憶えています。


幻獣の魔法は幻で出来た獣が襲いかかってくる幻を見せる魔法で、目の前の獣が幻だと気が付くと消えてしまうはずなんですけど・・・


彼女は気付きませんでしたが、強力な魔力で生まれた幻の犬は半ば実体となり簡単に彼等の命をかみ砕いてしまいました。


たぶんあの熊さんは沢山の犬の人にかみ殺されたと思い込んじゃったんだ。




 ちょっとあなた大丈夫?ひどい怪我じゃないのちょっとじっとしてなさい。


後ろから声を掛けられてふり返ると、先ほどの女性が帰ってきていました。

そして足下には綺麗な水の入った桶とタオルと包帯。あと薬草の類。

濡れタオルと清水で優しく傷を清めて優しく薬を塗ってくださいます。


ああ、治すのを忘れていました。

でもこんなに優しく手当てしてもらったのは勇者のパーティーに居たとき以来です。

でも優しさに甘えている訳にはいきません。

回復の呪文を唱え傷を治します。

みるみる消えていく傷や破れが消えていく服をみて女性は目を見開く。


 まああなたは聖なる魔法が使えるのね。

 だったらお願い、私に掛かっている呪いを解いて。


 あなたに何があったの?話してくれる?


 私は若い頃はこの村で一番と言われるほどでした。

 自分でもそれなりにいけていると思っていました。

 でもあいつが無理矢理・・・

 それからも何度も逃げ出したし、そのたびに殴られて大けがをして。

 それでも反抗して、しびれを切らしたあいつは服従の魔法を私に掛けたの。

 以来私は否定の言葉や反抗的な態度すら取れなくなってしまったの。

 子供も出来たけどどの子もなじめず、こうして死んでもほっとしている自分も嫌で。

 何もかもあいつが私の全てを奪っていったために・・・


以後、愚痴と怨みつらみ考えられ得る罵詈雑言を延々聞かされる事になりますが取りあえずここは割愛。

ちなみに少女には言ってることの半分も意味が解りませんでしたが。

 

 だからわたしは・・・え、なんで私あいつの悪口を?ああ、解けてる!


 たぶんあなたの言ってるのは私が殺しちゃった熊さんのことですね。

 死んでしまったために全ての魔法が解けたのでしょう。


声にならない歓声と安堵の涙いろんな物が混ざった声を上げながら少女を抱きしめ大声で泣きながらのキスの嵐。

泣き疲れ眠りにつくまで一緒に抱き合っていた少女は、彼女をベットに寝かすと癒やしと祝福を込めた魔法を彼女に注ぎ込みました。






数日後の犬さんの村


 巫女様は私がお世話します。わたしには大きな恩があります。

 地獄のような生活から救っていただけたのですから。


 いや土地神様はちゃんとした魔法の使い方をまなばねば。

 無詠唱でとても強力な魔法を使えるが、暴発させてもっと沢山の人に被害が及ぶことになる。彼女の面倒を見るのは儂の使命だ。


何故か熊のお姉さんと狼のおじさんがケンカしています。


あれから一晩で熊の女性は昔の若さと美貌を取り戻し今は元気を取り戻しました。今日も朝から色々と家事に雑用にと手を貸してくださいます。


狼さんは新たな土地神のことを近隣の主だった方達に説明してまわり、私の神殿と信者の取りまとめをしてくれました。


なんだか私のことで言い争っています。


 あの、私のために争うのはやめて。


お姉さんは叫びます。


 巫女様は黙っていてください!


おじさんは怒鳴ります


 土地神様は口出し無用!これは我らの問題です!


熊の乱暴者を葬り、狼の戦士を押しとどめた巫女を奉る熊の一族。

片や、代々土地神の眷属として周辺の山野を掌握していた狼の一族。新たな土地神も引き続き奉るため引く気はない。



戸惑いおろおろとその周りで遠巻きにしている犬の一族と少女。


結果、周囲の村が集まって一つの町になるまでそれほど時間は掛かりませんでした。


そしてこの大陸の動物たちの国の元になりました。






戦国時代の人間界から獣人を守りきったコボルト生まれの山神の話でした。






____________

師匠からのコメント

ええ、あの子がどうしても着たいからって無理矢理着ていたんであって私の趣味じゃあ・・・こほん!

お兄様が転生してきたら殴っておきます。あっさり老衰で逝っちゃうんだから。

魔法オタクのお兄様が、どこからか持ってきた服を律義に着ようとするから、ダメっていえなかったのよ。

・・・いくらあの子の体を借りていても恥ずかしかった。


以上、西の大陸を守護する女神コロネさんからのコメントでした。




このお話は以前蝉杯として書いたお話の後日談となっています。

第3稿です。

修行をして神格を得たコボルトの少女。

独立することになり故郷に帰ってきました。


師匠は娘に体を返し妖狼族の娘の体に乗り換えました。

魂が離れてしまったためすぐには生き返れませんが同化して神格を得れば体に戻せるでしょう。


コボルトの少女もあの熊さんが子供の時にひどい目に遭わされていたので、仕返しに来た&ゾンビ化してるwで、熊さんは必死で抵抗しましたがあっさり・・・彼女は憶えても居ませんでしたが。


将来有望な子供を始末させていたのは前の土地神。

地位を脅かされないようにしていました。

事がバレないよう逃げ出しましたが、熊さんの仲間と認識した幻獣により延々と追われることになりました。

しかも不審に思ったコボルト少女が無意識に張った結界から出ることも出来ずに・・・。残念なことに彼女はそれに気付いていません。


いずれ彼女を頂点とした魔獣の帝国に進化しますがそれはまた別の話

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほのぼのとした世界感と、周囲は凄惨ながらもほのぼのととぼけた魔法少女の神様。 どこか牧歌的でパステルカラーな森をイメージできました。絵本のような落ち着きがあると思いました。 [気になる点]…
2012/11/04 00:30 退会済み
管理
[一言] 普通に会話は「」つけて欲しかったかもですね。 あと何かのスピンオフの場合は最初に一言あると助かります。 読んでてよくわからなんだ。 あと昔話調なら、 > ちなみに普通の犬さんたちは貫頭衣の…
2012/10/31 14:13 退会済み
管理
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