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ローソンなんて大嫌いです

作者: 青い鴉
掲載日:2011/05/05

 拝啓 ローソン様。僕はローソンが嫌いです。

 一年半前、僕は病院を退院し、統合失調症の薬、ジプレキサを飲みながら、東京の立川で働いていました。東京で借りた三鷹の物件は、ローソンまたはセブンイレブンまで十五分というそこそこの立地でした。

 しかし僕は専らローソンを利用していました。通勤経路上にあるというのがその理由の一つです。距離から言えばセブンイレブンのほうが近かったのかもしれませんが、通勤で慣れた道路のほうが、いくぶん歩きやすそうに僕には思えたのです。

 僕はいつも、菓子パンとペットボトル飲料を買いだめしました。数日分の菓子パンと飲料は、両手にずしりと喰い込み、僕は何度か歩くのをやめて休憩するほどでした。

 もっとローソンが近くにあれば、何ということも無かったのでしょう。しかし僕はローソンを憎みました。不当な意見であることは承知しておりますが、憎まずにはいられませんでした。

 僕の食生活はローソンの品揃えに依存しており、僕は食費上の理由から菓子パンを買うのですが、しかし僕には菓子パンというものが、どうにも好きになれなかったのです。時には食パンを買う日もありました。しかしジャムの無い食パンほど食べ辛いものはないのです。だから僕は嫌々ながらも菓子パンを買って、そして当然のことながらペットボトル飲料と共に胃に流し込みました。ビタミン剤を飲んでいるとはいえ、それはそれは不健康な生活であったと断言できます。

 職場の立川にもローソンがありました。僕は助六寿司と雪印のコーヒー牛乳が好きでしたので、この際食費のことは忘れて、毎日助六寿司を食べました。半ば自棄になっていたのかもしれません。君はよく助六寿司を食べるね、と上司が言っていたような気も致します。正直に述べれば、僕は職場の近くのローソンで、助六寿司以外を買ったこともあるのでしょうが、それは僕の記憶からすっぽり抜け落ちてしまっているのです。

 しばらくして、僕の職場は横浜に移りました。

 毎日以前より一時間早起きして、電車を乗り換えねばならなくなりました。それは僕にとってとても苦痛なことでした。 

 無論、横浜の職場近くにもローソンがありました。僕の運命はローソンに呪われているのではないかと疑ったほどです。そこでも、やはり僕は、助六寿司とコーヒー牛乳を買いました。おにぎりや弁当も買ったかもしれません。でもそれはどうでもいいことです。ローソンで僕が食べるに足ると判断されたものは、味がついていないご飯を主原料とするものだけでした。そして専ら助六寿司を買いました。

 助六寿司というのは、まず太巻寿司の切ったやつが四個入っています。具材は、玉子・椎茸・干瓢・おぼろです。一口目を食べる方向によって、味が違います。おぼろがこぼれやすいので、そこは注意して食べねばなりません。そして、これは僕は苦手なのですが、いなり寿司が三つ入っているのです。僕はときどき、油を摂取したくなくなります。そういうときは、いなり寿司の中身だけ取り出して、皮となっている油揚げをゴミ箱に捨てました。

 その次の職場に移って、一週間ほどすると、僕はもう働けなくなりました。統合失調症は、薬で抑えられるのですが、代わりにうつになりやすくなるのです。陰性症状というやつです。朝の決まった時間に起きられなくなり、会社を休むことが多くなりました。新しい職場はインターネットができるという点では自由でしたが、僕の苦手な書類仕事ばかりをやらせるのです。僕はプログラマでした。だから、その書類仕事のせいでうつが余計にひどくなりました。

 僕は退職しました。適切な仕事を与えられなかったこと、うつが酷くなってきたことが理由でした。僕は帰り道、ローソンでいつものように菓子パンとペットボトル飲料を買いました。そして、それがローソンを利用する最後だと思うと、知らないうちに涙がこぼれてきました。

 このような次第ですから、僕はローソンが嫌いです。ローソンなんて大嫌いです。

 今、僕は実家で療養生活を送っています。実家は田舎で、近くにローソンはありません。だから、僕は仕事をしていた時期を、とても辛かった時期を、ローソンのことを思い出さずに済んでいるのです。

 ローソン様。もし御慈悲をいただけるなら、どうか僕のことをこのまま放っておいてください。

 敬具

注意)この小説はローソンを貶す目的で書いたものではありません。僕のローソンへの嫌悪感は、あくまで個人的なトラウマに基づくものです。

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