第五話 家康兵法ミニ四駆セッティング
第五話です。
ミニ四駆に詳しい葵と、戦国オタクの祖父。
この二人が出会ったことで、蒼太のミニ四駆は思わぬ方向へ進化していきます。
祖父と葵は、僕のミニ四駆をテーブルの上に置いて見つめていた。
なんだか嫌な予感がする。
祖父は腕を組みながら言った。
「ほう……」
葵もマシンをじっと見ている。
「なるほど」
二人とも、なぜか真剣だ。
僕は言った。
「なに?」
葵が先に口を開いた。
「このマシン、速くなれると思う」
「本当に?」
祖父がうなずく。
「ただし」
「兵法が足りぬ」
僕はため息をついた。
「またそれ?」
祖父は真顔だ。
「戦には形がある」
葵も少し考えながら言った。
「確かに」
「速いだけじゃ、コースで負ける」
祖父はミニ四駆を指さす。
「まず重心」
葵が続ける。
「次に安定」
祖父
「そして状況」
葵
「つまりバランス」
僕は二人を見比べた。
「なんか息合ってない?」
祖父はうなずく。
「うむ」
葵は笑った。
「ちょっと楽しくなってきた」
そしてマシンを持ち上げる。
「ここに重りつけよう」
祖父はうなずく。
「よい」
「後方が安定する」
僕は聞いた。
「なんで?」
葵が説明する。
「前が軽くて後ろが重いと」
「カーブで安定する」
祖父が付け加える。
「騎馬隊と同じじゃ」
「前だけ突っ込めば崩れる」
僕は笑った。
「ミニ四駆で騎馬隊…」
でも、二人は真剣だった。
葵は工具を手に取る。
「ここ、少し変える」
祖父
「そのローラーも調整じゃ」
二人は楽しそうに改造を始めた。
僕は少し呆れながら見ていた。
でも――
どこかワクワクしていた。
葵が言う。
「できた」
祖父もうなずく。
「うむ」
「兵法マシンじゃ」
僕は苦笑する。
「名前ダサくない?」
葵は笑った。
「じゃあ」
「兵法セッティング」
祖父は満足そうに言う。
「よい名じゃ」
僕はマシンを手に取った。
さっきより少し重い。
でも、なんだか強そうだった。
祖父が言う。
「蒼太」
「もう一度走らせてみよ」
僕はうなずいた。
「うん」
このとき僕はまだ知らなかった。
このセッティングが――
静岡のミニ四駆大会を驚かせることになるなんて。
第五話を読んでいただきありがとうございます!
祖父と葵によって、蒼太のミニ四駆は「兵法セッティング」に進化しました。
次回は
ついにリベンジレースです。
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