第四話 祖父と葵
第四話です。
蒼太の前に現れたミニ四駆に詳しい女の子「葵」。
そんな葵が、ついに蒼太の祖父と出会います。
この二人、実はかなり相性がいいようで……。
「もう一回走らせてみる?」
葵に言われて、僕はうなずいた。
さっき教えてもらった通りに、少しだけパーツを変える。
前を少し軽くして。
後ろを少し重くする。
正直、半信半疑だった。
でも――
「いけ」
ミニ四駆をコースに置く。
ウィィィィィン!!
マシンが走り出す。
ストレートを抜ける。
そして、昨日コースアウトしたカーブ。
僕は少しだけ身を乗り出した。
(頼む……)
スッ。
マシンはそのまま曲がった。
飛ばない。
そのまま二周、三周と走る。
昨日とはまるで違う。
「……すごい」
僕が言うと、葵は少し笑った。
「ほらね」
僕はミニ四駆を手に取った。
ほんの少し変えただけなのに、全然違う。
そのとき。
「蒼太」
聞き慣れた声がした。
振り向く。
祖父だった。
「じいちゃん?」
祖父はゆっくり歩いてきて、ミニ四駆を見る。
「ほう」
それだけ言う。
僕は聞いた。
「わかるの?」
祖父はうなずいた。
「重心が変わっておる」
葵が少し驚いた顔をした。
「重心って言葉、普通に使うんですね」
祖父は葵を見る。
「おぬし、ミニ四駆をやるのか?」
葵はうなずいた。
「はい」
祖父はミニ四駆を見ながら言った。
「戦と同じじゃな」
僕は言った。
「またそれ?」
祖父は気にしない。
「戦は速さだけでは勝てぬ」
葵が少し考える。
それから言った。
「……確かに」
祖父が葵を見る。
葵は少し恥ずかしそうに言った。
「戦国時代も、バランスの戦いですよね」
祖父の眉が少し上がった。
「ほう」
葵は続けた。
「徳川家康も、無理な戦いをしないタイプでしたし」
祖父は少し黙った。
それから言う。
「……好きか」
「え?」
「家康公」
葵は笑った。
「好きです」
祖父も笑った。
「そうか」
僕は二人を見た。
……なんだろう。
妙に話が合っている。
祖父がミニ四駆を見て言う。
「この車」
少し間をおく。
「まだ強くなる」
葵もうなずく。
「うん」
祖父が言う。
「兵を知ればな」
葵が笑った。
「それ、いい言葉ですね」
僕は思った。
……この二人。
なんか、仲良くなりそうだ。
第四話を読んでいただきありがとうございます!
ついに葵と祖父が出会いました。
どうやらこの二人、かなり話が合いそうです。
次回は
「家康トーク炸裂回」です。
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