表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

第2話「放課後と金の鶴。」

放課後の教室って、ちょっとだけ特別だ。

誰もいない教室に、夕日が差し込んで、机の影が長く伸びる。

さっきまでのざわめきが嘘みたいに静かで、チョークの粉の匂いだけが残ってる。


僕は宿題のプリントをするため、ひとり残っていた。

……のはずだった。


「……あれ?」


隣の席に、まだ人がいた。

朝、消しゴムで塔を建築してた女子だ。

静かに座って、かばんを開けて、何かを取り出している。 消しゴムか?

いや、違う。今回は違う。


……え、折り紙?しかも金色?

なんか、めっちゃ光ってる。


「……それ、何してるの?」


「折ってる」


「いや、それは見ればわかる!何を!?目的は!?金色の折り紙って何!?」


「……鶴」


「鶴!?なんで放課後に!?しかも金!?縁起よすぎない!?」


彼女は、無言で折り続ける。

机の上にはすでに3羽の金の鶴。

しかも、めちゃくちゃ精巧。プロか?


「……なんで鶴?」


「なんとなく」


「なんとなくで金の鶴折れる人、初めて見たよ!?」


彼女は、4羽目を完成させて、そっと並べた。

机の上に、金の鶴が4羽。

その並びが、妙に整っていて、なんか神々しい。

僕は、プリントを開いたまま、ペンを持つ手を止めた。

気づけば、真剣に鶴を折る彼女のことを目で追っていた。


「……木戸くん」


「はいっ」


「さっきから、ずっと見てる」


「いや、それは……その……鶴が神々しくて……」


「私の顔に何か憑いてる?」


「憑いてない!たぶん!いや、憑いてたら金の鶴が浄化してくれる気がする!」


彼女は、ふふっと笑った。

その笑顔は、金の鶴よりもまぶしかった。

いや、比喩じゃなくて、夕日が反射してほんとにまぶしかった。


「ふふ、木戸くんって面白い事言う人だね」


あなたがそれを言う!?


「そ、そうかな?」


「佐々木」


「え?」


「名前、まだ言ってなかったよね。よろしくね、木戸くん」


そう言って佐々木さんは、もう一度ふふっと笑った。

その笑顔に、僕はいっぱつで持ってかれたんだ。


その瞬間、僕は思った。

あれ。これって、もしかして――


……いや、まさか。

でも、たぶん。

いや、やっぱり。


この日から僕は、佐々木さんのことが気になってしょうがない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ