第7話 聖女様と悪役令嬢様、共闘す。
「私が聖魔法にて魔獣を弱体化させます。皆様は、次いで得意魔法を。その旨、ご指示を願います」
「畏まりました、聖女様。皆さん、聖女様をお助けいたしますよ!」
「承知いたしました」「承りましてございます」
聖女コーパルが先駆け、悪役令嬢アントラサイト様が適切に指示。
かつて、学院を襲った魔獣を再び封じるために。
再封印は聖女の役目だけれど、協力者であるアントラサイト様と連中の元婚約者様たちには、『聖女様の補佐をしたご立派なご令嬢方』という高い評価が加わるのだ。
なんて、解説モードのまま、戦闘終了。
『ふつうに封印、で大丈夫?』
『大丈夫だおん』
おんおんのお墨付きで、あっさりと再封印。昔むかしの聖女様が施された、もともとの封印のおかげだ。
聖なる封印の力で、魔獣の魔力はかなり弱体化してたみたい。よかった。
あれから、一月ほどが過ぎていた。
確かに、異世界に戻るのはまだ、だった。
私は、アントラサイト様と(重要)! さらに、ほかの元婚約者様たちとも気の置けない仲になれていた。ばんざい。
そして、この再封印は、『まななび』のゲーム内イベントだ。
通称、春の封印。
本来は、とんまたちからの好感度のために必要なイベントなんだけど、私はほら、ルート解放のために必要な虚無作業としてやってただけだから、思い入れはなかった。
けど、今はめちゃくちゃ楽しいし嬉しいよ!
ある意味、特等席。
臨場感が、たまらない!
このあとは、夏の幽霊屋敷の悪霊退治、秋の魔力超増強果実収穫、冬の雪の高位精霊様との協力イベント……。
今は1年次だから、2年に上がったらまた別の四季イベント。そして、3年終了と、学院卒業イベント……。
ん? もしかして。
『おんおん、断罪イベント以外、全部私にやらせるつもり?』
『そうだおん。よろしくねだおん。間近で見たいだおん?』
『え、うん。見たいよ』
『よかったおん!』
いや、見たいよ。見たいけどさ。
当事者じゃなくて!
最前列で、見学したいんですけど!
「コー……、聖女様、無事に再度の封印をご付与頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。偏に、聖獣様と聖女コーパル様のお力のおかげでございます」
「いえ、アントラサイト様、皆様のご協力の賜物です。学院長にご報告をしましたら、教室に向かいましょう」
「いかなるときにも学業をご優先! 聖女様は、学院生皆の規範でございますわ! アントラサイト様、今日の講義、わたくしが聖女様のお隣に座りたいですわ」
「いえ、私が」
「このアントラサイト、学院内ではいついかなるときも聖女様のおそばに在るのです。これは聖獣様のおぼし召しですわ」
「でしたら、片側はわたくしが」
「それなら、私がですわ!」
あれ、聖女コーパル、大人気。
えへへ。気分いいね。
アントラサイト様は別格としても、いずれ劣らぬ素敵なご令嬢様、勢揃いだもんね。
期間限定聖女、楽しい!