表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/8

第3話 フワフワもふもふ、守護聖獣様が現れた!

『おんおん、登場だおん』

『責任者……違った! おんおん様!』

 責任者を呼んだら、超レアキャラがふわふわ飛んできた!

 おんおん様。

 クリアしたばかりのあのルートに出てきた、聖女の守護聖獣様だ。

 おんおん、音々? 恩々? 考えながらゲームしてたけど、それはけっきょく分からなかったな。

 フワフワもふもふ。猫みたいな耳、兎のような丸しっぽ。

 色は、多分、シルバーグレイ。かわいいかわいい毛玉ちゃん。


 かわいい姿でこれがまあ、すごい。

 守護聖獣様に守護された存在は、この国では王子どころか王太子よりも立場が上。国王陛下と王妃様、聖教会の総司教様以外の人間にはこうべを垂れなくてもよいという、ハイパーキャラになるのだから。

 守護聖獣様は、この方々よりも立場がさらに上。

 そんな守護聖獣様のお力で、聖女ちゃんは聖なるのぞみを叶えるのだ。


 あのルートでの、希。

 悪役令嬢様とともに、この国のために力を尽くすこと。

 悪役令嬢様も、ご実家公爵家も、王子なんかより聖女ちゃんの方が一億倍よりも上、と大賛成。もともと、ご実家的には頼まれて仕方なく、の婚約関係だったし。


『おんおん様、なんで……』

『さすがはあのルートをクリアした猛者だおん。念話で話してくれるなんて、だおん』

『夢、じゃないんですね、これ』

『わかりみも深いおんね。音々とかの考察もネタバレせず、でありがとうだおん、のあなたには、聖女様になってもらうおん。向こうのあなたにはコーパルの魂が入ってるおん。悪役令嬢アントラサイトを敬愛するもの同士、魂が惹かれ合ったので、心配ないんだおん』

『魂? 聖女ちゃん、私になっちゃったの? 無事ですか? 魔法がない世界だなんて! とかなんとか、パニック起こして騒ぎになったりとかは? 電子レンジ壊した! とか』

 無事で、はもちろんだけど、騒ぎも困る。マンションの賃貸更新料、払ったばかり!


『大丈夫だおん、偉大なる聖霊王様の伝手つてで、異世界への魂の転移をつつがなく行うために、コーパルとおんおん、一緒に異世界についてたくさん学んだおん。あなたがクリアをしてくれてから、あちらは約ひと月が経過してるおん。今はルート解放されて、異世界のみんながあのルートを楽しんでるんだおん。ただし、おんおんは、聖獣様、で登場だおん。あと、聖女コーパルはばっちり、異世界人の常識をゲットしてるんだおん。掲示板も見たおん? ゲームクリア後も、スマホで毎日朝昼晩のログインボーナスをもらってるくらいだおんよ!』

 あのコメをしてた私、コーパルちゃんだったんだ。

『……信じます、おんおん様。あと、日に三度のログボ、ほんとうにありがとうございます』

 おかしな話だけど、今の私の中に、聖女コーパルちゃんの記憶もあったのだ。 

 そりゃもう、しっかりと。


 寝る間も惜しんで、おんおん様とお勉強。

 そんな記憶のうちのひとつ、聖女ちゃんが見ていた像を映す水晶の中にいたのは、最寄り駅のホームで朝のログボをもらう私だった。

 あれは、ルート到達直前のときだ。


 私はまあ、一応同年代よりは稼いでいる社会人。

 社畜とかじゃないし、週休二日はきちんと、リモートワークも割と可能な、この間読んだ悪役令嬢が社畜に転生、とかのスマホアプリのコミックよりは、はるかにいい会社勤めだと思う。

 一人暮らしのマンションはまあまあ片付いてるし、今は彼氏もいない。家族や友達も、会えないからと文句を言うような人たちじゃないし。

 有給も、余ってるからそろそろ使えって言われてるし。


 ……しばらくなら、大丈夫かな?


『よかったおん。じゃあ、とりあえず、こいつらを滅するおん』

『滅する?』  

 いや、それは……。

 全年齢対象スマホゲーの攻略対象者を葬り去るのは……ねえ。 

『たとえだおん。ここから去らせるだけだおん』


 よかった……それなら、大賛成。

 むしろ、とっととやっちゃってください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
聖女とか令嬢モノいいですね〜自分も今似たような作品作ろうとしてるんですけど全然上手くいかない笑 (一応短編は書いたが中途半端……) 文も読みやすく頭に内容がしっかりと入って来ました。活動頑張ってくだ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ