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セカンドダンジョンの最奥。そこにはオルタナ・スコーピオンが待ち受けていた。
環境はゴッドカブトと同じ、雷鳴エリア。悪天候の中戦わなければいけない。
「足場が悪いですわね」
「うん、でもこれは経験済みだよ!」
「んっ今度は空を飛んだりしちゃダメ…」
「回復は任せてくださいです」
「堅そーだな!こいつも行くぜっ!」
「皆さん、お気をつけて!」
まずは牽制の為、弓矢を放つ。オリハルコンに覆われた外殻に弾かれてしまう。効果はほとんどない。
BOSSが動き出す。その動きは思いのほか鈍重だった。
鋏を振りかざし、攻撃を仕掛けてくる。それをハンマーで防いだ。が、5m程後退させられてしまう。
どうやら攻撃と防御に特化したタイプらしい。
「4方向から、攻めますわよ」
そう言いながらミリシアが糸でハンマーを紡ぎだし、後方に回り込み攻撃を仕掛ける。
「分かった正面は任せて!」
「私も正面から行くぜっ」
「んっ了解…」
「私は支援に回りますです!」
尻尾の攻撃が槍のように降り注ぐ、鋏の攻撃よりも重く素早く、猛毒を纏っている。
オルタナ・スコーピオンはその場で一回転して尻尾攻撃を繰り出す。
薙ぎ払われる私達。一旦、武器をしまい。態勢を立て直す。
「相変わらずポーっとしますわね」
「うん、慣れないねポーション」
再び、駆け出しハンマーの攻撃を加える。試しにイベントで手に入れた属性武器を私達は使用してみる事にした。
雷属性を帯びたハンマーをゼムが叩き込む。セルフィが節を狙って槍を突き刺し。メイが弓で目を狙う。
エリアに騙されていたが、効果は抜群だった。雷がオルタナ・スコーピオンの体内を駆け巡る。
「攻撃が通りましたわ!」
「うん、みんなその調子だよ!」
「んっ攻撃さえ通ればこちらのもの」
「おう!任せろ!」
「はい!頑張るです!」
再び、薙ぎ払い攻撃を仕掛けてきたが今回は落ち着いて対処する。
距離を取り、それぞれが攻撃を加えていく。
両腕の鋏を持ち上げた瞬間にミニシアの糸が絡まる。カウンターとばかりに『エレメンタルバースト』を叩き込んだ。
「ランク2に上昇しました。レベルの上限が80まで解放されます」
ランクアップを告げるアナウンスが流れる。
「やりましたわね!」
「うん、硬いだけで、飛ばない分ゴッドカブトより楽だったかも」
「んっそれよりもドロップが楽しみ」
「あぁ、なんせ外殻がオリハルコンだからな」
「とりあえず治癒するです!」
「皆さん。お疲れ様でした!」
目論見通り、いくつかのオリハルコンを手に入れる。私達は周回するつもりだった。
これで攻撃面・防御面ともに向上する。
人数分インゴット化するには、何十周もする必要がある。しばらくの日課となりそうだった。
スフィア・ガーデンへと戻る。もはや恒例となったみんなでお風呂の時間を得て、みんなそれぞれの日常へと戻っていく。
私は、次の強化種との戦いに備えて鍛錬する事にした。
使用してくる概念は『七天槍』2本の尻尾の槍が7方向から同時に降り注ぐという技だ。
回避の訓練をしておかなければ、一瞬のうちに㏋を消耗してしまうだろう。
私は訓練場に向かい、訓練相手がいないか探し始める。
そこでミリシアを見つける。
「あら、あなたも訓練ですの」
「うん、次の概念は厄介だからね」
「それじゃあ私がお手伝いしてさしあげますわ」
願ってもない申し出だった。ミリシアならば疑似的に『七転槍』を再現できる。
糸で紡ぎだされたそれを、ハンマーでさばきながら、回避する。
ミリシアは自身に対しても、同じことを同時に行っていた。
数十の武器の同時操作、既にミリシアはそこまで成長していた。
並列処理を私はそこまで行うことが出来ない。
「すごいね…ミリシアは」
「まだまだですわ!まだ同時にぶつけているだけですもの。自由自在とまではいきませんわ」
「まだ増やせる?」
「当然ですわ!私にお任せなさい!」
そういって槍の数が倍になる。いうなれば疑似概念の再現完了の瞬間だった。
「私も負けないからね!」
「管理者を目指すのでしょう?これくらいできて当然ですわ」
とても有意義な時間が過ぎるのであった。それを目撃していた冒険者達は次元が違うと賞賛を送るのだった。




