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「僕は歌うことに集中するので、皆さん頑張ってください」
「うん、よろしくね!クレハさん」
今日は強化種との戦いの日。全員に歌唱のバフが乗る。
目の前にはゴブリンエンペラー・オルタナ改が迫っていた。
『黒翼』セルフィとメイが弓で牽制しながら飛び上がる。
私とゼムが双剣で切り結ぶことに成功した。
斬撃が肌を掠める。致命的なケガを負わないにしても、㏋が徐々に削られていく。
『ヒール』が無ければものの数分で㏋が削りきられるであろう。
『飛燕剣』斬撃が8方向に飛ぶ、幸い全てにターゲッティングされる訳ではないらしく、何とか撃ち落すことに成功する。事前に『双翼撃』で上空のものは防いでいる。
弓が斬撃がゴブリンエンペラー・オルタナ改の㏋を削っていく。そんなことを繰り返しながら㏋を削り『双翼撃』でチャンスが生まれる。それに合わせて『エレメンタルバースト』を放つ。全弾命中、㏋を1/3まで削ることに成功した。後一撃『エレメンタルバースト』を放つことが出来れば勝利出来るというところまできた。
エンペラーの攻撃速度が上昇、それに合わせて『飛燕剣』の頻度が上がる。撃ち落すことが間に合わず被弾の頻度も増えてきた。『エレメンタルバースト』を放つためにはまだクールタイムが10分もある。
ここからは斬撃との戦いだ。腕が痺れる。頭は常にフル回転し続ける。酸素を求めて、体が休めと言っている。それでもここが踏ん張り時だ。負けるな私。ファイトだ。おー!自分をこっそり鼓舞する。
視界にゼムが映る。楽しそうに剣線を結んでいる。私だって出来るんだから。私は楽しむことにする。
心の持ちようなのか少し楽になってきた。時間が経つのが早く感じる。
ゲーム世界になってから、もう数百年も経っている。そろそろ攻略してあげなければいけない。管理者になってから私はなにをなすのか?そんな思考が一瞬よぎる。いけない集中力まで削ぐわけにはいかない。
思考を一旦切り替えて、目の前の敵に集中する。
腕を一本ずつ破壊する事に成功する。部位破壊出来ると事前情報があった。私たちは1番下の腕を集中的に狙っていた。これでまた余裕ができる。
『飛燕剣』空中にいたセルフィとメイが撃ち落された。メイが気絶する。
メイが復帰するまで、『ヒール』のない状態で、剣線を切り結ばなければいけない。
㏋が徐々に削られていく、残り1割を切ったところで『ヒール』が飛んできた。危ない。ここまできて前線も崩壊するところだった。
再び『黒翼』で二人とも飛び上がる。上空から弓の攻撃が始まる。
エンペラーはその対処もしなければ行けなくなった。
このままならいける!『双翼撃』腕を2本拘束する事に成功する。
「これで止めだよ!」『エレメンタルバースト』を放ちエンペラーは黒い靄へと姿を変えた。
「皆さんお疲れさまでした!素晴らしい戦いでした!」
「おぉお疲れークレハさん」
「途中危なかったですわね。守り切れず申し訳ございませんわ」
「いえいえ、私が気絶しなければ…なので…」
「まぁ勝てたんだからいいんじゃね」
「んっ…次に生かせばいい」
私たちはドロップ品を確認する。苦労しただけあってなかなかの戦利品だ。
特にゴブリンエンペラー・オルタナ改の双剣は現状で最強の武器になっている。私かゼムどちらが使用するかという事でジャンケン大会が始まる。私の勝利!という事で、私のものとなった。
それから私が求めていたもの『ディアの日記帳』私達血族のみにドロップするというご先祖様を追体験できる日記帳だ。ミリシアも『アリシアの日記帳』をドロップしていた。
このまま順調に日記帳を集めていけば、私かミリシアどちらかが管理者となる。
私にとって最後の敵はミリシアなのかもしれない。ミリシアは管理者などメンドーなものになるものですかと言っているが、幼いころはよく管理者になるのは私だと言って喧嘩していた。
私はスフィアガーデンへと戻り、この日記帳を見るのがとても楽しみだった。
「皆さん、おかえりなさいお風呂の準備しておきました」
「クレハさん、ありがとー」
「くたくたですわ、さっさと行きますわよ皆さん」
「「「「はーい」」」」
お風呂から上がり、宴会の準備をする。今日は大盤振る舞いだ。DPを消費して豪華なディナーとする。
オルタナは珍しく実体化していた。なんというか私の黒い版だ。それでも一応、男性らしい。
美味しそうにお酒を飲んでいる。
ディア様とオルタナの血族それが私達。これはここだけの秘密だ。




