ボス戦
~死獣の迷宮 15階 ボス階層~
俺ことロッドは今、リーネさんと共にボス階層の門前に居た。
「じゃ、じゃあリーネ。もう準備は出来てるな…?」
「ふっ、さっきから言っているだろう。全く以って問題ない!」
そう言いながら剣を振る。すると、凄い強い風が俺の頬に当たる。
「どうだ?これでも不安か?」
と言って笑いかける。俺はその表情を見て、怖いわぁ…。と感じた。それと同時にリーネには逆らわないようにしておこう。と思い、無理やり口角を上げ、
「お、おう。分かった。なら行こうか。」
そう声を震わせながら言い、ドアを力を込めて開ける!……あれ?
「何か、開かないなぁ?」
そう原因が分からず困惑していると、
「少し避けてくれ。」
とリーネが言ってきたので俺は今までの経験の元、1秒もかからず避ける。リーネは俺にジト目を向けて来る。何でだろうか?そうしていると、
「……はぁ、では行くぞ。ハア!」
とリーネが叫び、剣に手を掛け、横振りする。と、ドアに切れ込みが入る。そこに、
「ハア!」
と、剣を鞘に戻したリーネは拳でドアに追撃を入れる。すると、ドアが崩れ落ちていく。そしてこちらを向き、笑顔で
「ロッド、開いたぞ!」
と言ってくる。俺は、顔を引き攣らせながら、
「ま、マジか…。」
と呟きながらボス部屋に向かう。中は腐ったような臭いが。
「うっ、これは、キツイな…。眼も痛くなってきた…。」
そうして俺はきつくなり、バッグを漁り始める。リーネはそんな俺を不思議そうに見て来る。
「ロッド、それは何をやっているんだ?」
と聞いてきたので、
「ちょっと待てって。確か、ここら辺に…。」
そう言い、探していると、目当てのものを見つける。
「お、あったあった。低位聖水!まあ、これも気休めにしかならないだろうけど…。」
そう言いながら開けると、リーネの方から金属を落とす音が聞こえた。
「ど、どうした!?もう何者かに襲われたか!?」
そう心配に、ってか自分が次に襲われるかも!と、心配になり、リーネの返事を待つ。すると、
「い、いや、そういうわけではない!な、な、なんで中位聖水があるんだ!?かなり高いやつのはずだぞ!?」
と言ってくる。俺は、またこのパターンか…。と呆れ、
「あのな、そんな凄いもんが俺のバッグに入ってるわけねえだろ?まあ、銀貨30枚は手痛かったけどさ…。」
ま、そのお金も『獣王の双牙』の経費から出てるからもう関係ないけどな。そう裏切られたことをまた思いだす。
俺はやけくそになり、低位聖水をぶちまける。すると、腐臭はほぼしなくなった。うん、これ良いな。中位聖水になるとどれほどの効果になるのやら…。そう考えていると、
〈GURUURURUUUUUUU…!〉
と奥から唸り声が。それに交って金属が地面と擦れる音が。俺とリーネはすぐさま音のなるほうへと視線を向ける。そこには、
「ロットナイトと、ロットビースト…!?しかもロットナイトがロットビーストに乗っている…!?これが、死獣の迷宮と呼ばれるゆえんか!」
と、俺は思わず後ずさる。するとリーネは、
「大丈夫、私が守ってみせる…!」
と俺に言ってからロットナイトに突っ込んでいく。リーネが目にも止まらぬ速さで剣を振る。が、ロットナイトが剣で弾く。そしてロットビーストがリーネに爪が襲い掛かる。
「くっ!」
リーネは力をあまり込められていない剣で防御を試みる。が、勢いがついた爪が押し勝ちリーネが吹き飛ばされる。
「かはっ!」
そうして力なく座り込む。手足が四つあるかのような連撃、流石にリーネにも一人じゃ荷が重かったか…。って、そんなこと考えている暇ない!俺はバッグを置き、低位聖水と低品質HPポーションを持つ。そして聖水をロットナイトに向けてほん投げる。ロットナイトは途中で気付き剣で斬る。だが、中身の聖水は避けきれず頭から被る。すると、
〈GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!〉
と叫び、悶えている。俺はその間にリーネの元に向かう。
「酷い怪我だ。リーネ、まっとけ。今ポーションを飲ませてやる…!」
そう言い気を失っているリーネの口を開け、ポーションを流し込む。すると、
「かはっ!はぁ、はぁ、はぁ。す、すまないロッド。守るといったのに助けられてしまった。」
と申し訳そうに謝るリーネを見て、
「うるせえ!たった一回の心配で落ち込んでんじゃねぇ!これからパーティとして一緒に返せばいい!だから取りあえず、早く飲んで治せ!」
すると、リーネは笑って、
「ああ、ありがとう。」
とお礼を言ってくる。俺もその顔を見て安心する。すると、リーネの顔が少し引きつり、
「ロッド、う、後ろ…。早く避けろ…!」
と言われ、俺は後ろを咄嗟に見る。後ろには剣を振り上げていたロットナイトが。そうして勢い良く振り下ろされる。俺はその情景を見て、一つの言葉が浮かんできた。
「……『白刃取り』」
すると、腕が勝手に動く。そして眼前で剣を両手で挟む。……ミノタウロスの時も、今回も、同じ結果だ。これでこのスキルの効果が確定した。このスキルは、両手で挟んだ攻撃を防ぐことができるスキル。だが、今はそんなことを考えてる暇はない!
「り、リーネ、早く、こいつらを斬れ!」
そう叫ぶ。すると、
「了解した!我求む。汝を守れるほどの力を。神よ、我が願いを聞き、魔力を贄に力を貸したまえ!!『聖剣』!!」
そう叫び、ロットナイト、ロットビーストが粉微塵になっていく。こうして、ボス戦は幕を閉じた。
倒し終えた後、
「ロッド、ありがとう。ロッドのお陰で最後あいつらを倒せた。これからも、よろしくしてくれるか…?」
俺はその疑問に対して、笑ってしまう。
「な、なんで笑うんだ!」
「いや、わりい。そりゃあそうに決まってんだろって思ってたからな。さっきのポーションや聖水の分まで頑張ってもらわないとな!」
と言うと、
「フフッ、ありがとう。なら、これからもよろしくな!」
こうして、俺らは新しくパーティができるのであった。
「うっし、なら速く冒険者ギルドへ行こう!」
そうして俺らは冒険者ギルドへ向かうのであった。