表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨降りの巫女と氷結の魔法士  作者: 渡辺 佐倉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/36

その言葉は多分これから戦いをするという事実を私から覆い隠そうとしてくれた言い回しなのだと思った。


後詰めからは前線はよく見えない。

だから本当に彼が無事なのかも分からない。


私にできることはただ祈ることだけだ。

季節外れの雪が邪木の群れの上にだけ降るように。


しんしんと降り積もるように。


ヨイヤミさんは異能を発動させる際の集中の仕方にルールはないと言っていた。

だからこそ難しい。

感情が関係していることはわかっている。


実際私がディーデリヒ様に告白されたときは雪が降った。


あの時のことを思い出せばというのは練習中に試したけれどうまくはいかなかった。

色々な要素がきっと複雑に絡んでいるのだろう。


そして今の段階ではそれについてはきちんと研究もされていないので分からない。


なら私は私の形でただ、祈るだけだ。

あの人の元に奇跡が降り注ぐように。


あの人の討伐が、願いが必ずかなう様に。


私の大切な人たちを守るように。

あの人の大切な人たちも守れるように。


少ない可能性にかけることの愚かさはもう学んだけれど、今の私にできることはそれしかない。

それにきっと、雪が降らなくてもあの人なら何とかしてしまうのだろうという予感もあった。


だけど、だからこそ、彼のために雪を降らせたかった。


あの人が私に青空を見せてくれたみたいに。


果たして、願いが届いたのだろうか。

それとも、文字通りの神様の悪戯だろうか。


黒く深い色の雲が私たちのいる場所を覆った。

雨が強くなる時に時々なる耳鳴りの様なものがする。


ひらり。


ひらり、ひらり。


灰色の雲から降り注ぐ雨はやがてみぞれになり、そして、白いふわふわとした雪がまるで円を描くように落ちてきた。


どっと歓声が起きた。


それで私の周りの人たちも固唾を飲んで見守っていたことに気が付く。


私は一人じゃないのだと。

みんなが私を見守ってくれていたのだと気が付く。


「こちら羽織ってください」


外套をわたされて羽織る。


雪が降ると周りの空気まで冷たくなるのだろうか。


思わずそんな質問をすると「勿論雪の影響もあるとは思いますが、始まった証拠です」と、そうラウラ先生は言葉を返した。


それでこの寒さはディーデリヒ様の魔法によるものなのだとわかった。


目に見えないほど先にいるのに寒さを感じられる。

どれだけ彼の魔法が稀有なものなのかが分かる。


吐く息も少しずつ白くなっていくのが分かる。


けれど、それにおどろいている人は一人もいない。

皆ディーデリヒ様を信頼しているのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ