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雨降りの巫女と氷結の魔法士  作者: 渡辺 佐倉


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邪木

* * *


冒険者と呼ばれる傭兵が、魔物を倒してもその場所に逆にその魔物が増える。

そういう話がそこかしこでされ始めたと聞いたのはいつだっただろうか。


その魔物は邪木というものに分類される動く植物の魔物で焼き尽くせば倒されるものとして一般的には知られていた。

けれど、その一群は、燃やされるとその瞬間大量の種子を放ち数週間後にはむしろ最初より数を増やしてしまうという事が分かった。


それが分かったのはずいぶんと数を増やした後で、剣で一体ずつ切り裂くというのが物量的にはもはや不可能な域に達した後だった。


増えすぎた邪木は今も何もしなくても数を増やし、魔物ではない普通の森を枯らしながら増えている。


火の魔法では数を増やしてしまう。

土の魔法は植物の魔物と相性が悪すぎる。


そして、物理攻撃をしようにももうすでに数を増やしてしまった邪木には焼け石に水という状況。


水も勿論、植物の魔物との相性はあまりよくない。

水分は彼らの食料だからだ。


八方塞がりの中、ディーデリヒ様の元に討伐要請が来た。

フィリップス様曰く、そうなる様にディーデリヒ様が手配したと聞いた。


一体どういう事だろうとお聞きすると、ディーデリヒ様はすべてを凍らせてしまえばいい。そう答えた。


体外から水をかけてそれごと体外の水分も体内の水分も凍らせつくして討伐する。

ディーデリヒ様だからこそできることをすると決めたそうだ。


「この討伐で一気に水魔法士の地位を向上させよう」


そうディーデリヒ様は言った。


「そのためにはユイ、君の協力も不可欠だ。」


私が雨雲を邪木の群れの近くに呼びよせ、それを利用して水魔法士の皆さんが水を邪木にまとわせ、そしてすべてをディーデリヒ様が凍らせる。


他のものを凍らせてしまえば森が駄目になってしまう。

細かな魔法の使い分けが必要になる仕事だという事だった。


「雪は降らせられますか?」


あの時のことを言っているのだろう。ディーデリヒ様が言った。

まだ、意図的に雪を降らせることはできていない。


今日も外は霧雨が降っている。


辺境伯家とは正式に養子縁組を結ぶこととなった。

私の巫女の衣装には辺境伯家の紋章とディーデリヒ様の家門の紋章の二つが追加で刺繍されることになった。


「貴族ですから家門を誇るのは当然のことです」


そうラウラ先生は言っていた。

出征はいったん家に帰ってから部隊を組んで行う。

それまでに研究チームが邪木の凍らせ方を研究するそうだ。


研究方法については怖くて聞けなかったけれど、私を含めて皆帰り支度をした。


辺境伯家の皆さんは見送りの際にまるで本物の娘の様に別れを惜しんでくれて、養母様にいたってはドレスやアクセサリー等お土産まで用意してくれた上、最後にぎゅうと私を抱きしめてくださった。

そして、「あなたの帰る場所はここにもあります。いつでも帰っていらっしゃい」と言ってくださった。

目頭が熱くなった気がしたけれど、なんとか笑顔を浮かべて別れを告げた。


知り合って間もないのに、優しかった人たちと別れてディーデリヒ様のお屋敷に戻ってきた。


それから二週間ほど毎日雪を降らせるための訓練をした。

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