二度目のお茶会
「それでは、アルノー様にはお断りの連絡を入れないといけませんわね」
歌う様にラウラ先生は言った。
何故そんなに上機嫌なのか私にはよくわからなかった。
丁度ラウラ先生に伝言にきたフィリップスさんに聞いたけれど、「自分の主が上だと証明されると配下は誰でもそうなるんですよ」と言われてますます意味が分からなかった。
ラウラ先生に貴族特有のとてつもない回りくどいお断りの書き方を教わり、その通りに手紙を書いた。
同じ屋敷にいても書面の方が良いらしい。
顔を合わせてあなたとは結婚できません。というのも気まずいのでこれは仕方がないと思った。
それでこの話は終わりになると思っていたけれど、何故かもう一度とお茶会に呼ばれた。
お断りした方が良いのではと思い遠回しな遠慮する手紙を書いたけれど是非にと言われて応じることになった。
ラウラ先生が是非これを着るようにと言われた空色のワンピースを着て私はもう一度二人きりのお茶会に出ることになった。
「大丈夫ですよ。別にとって食ったりはしませんから」
この前のお茶会の時と同じ様な柔らかな口調でアルノー様はそう言って紅茶を口にした。
「私は別にあなたを恋愛的に好いている訳ではないのでそんな風に警戒しないでください」
外は小雨が降っていた。
私は何と言って答えていいのか分からず「ごめんなさい」と言った。
「なんで愛の告白をしていないのに振られたみたいになってるんだろう」
そう言いながらアルノー様は笑った。
「という訳で、今日ここに呼んだのはその件ではないんだよ」
婚約辞退はすでにもう何人ものご令嬢にされてるのでいちいちそれで呼び出したりはしないそうだ。
「あの、それで用件というのは」
今日の用件は何も書かれていなかった。
ただ、滞在先のホストとして是非にとごり押しされた形で用件があることさえ今知った。
「ねえ君、うちの養子にならない?」
そんな風に考えていた私は突然そんなことを言われて頭の中が真っ白になってしまった。
養子というのはこのうちの子供になること。
孤児院でも時々そうやって養子になってもらわれていく子はいた。
「へ!?」
あまりにも想定外の申し出過ぎてへんな声が出てしまった。
こういう時どう答えるのがいいのか。
彼が本気でそう言っているのか。
私には何も分からなかった。




