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雨降りの巫女と氷結の魔法士  作者: 渡辺 佐倉


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ラウラ先生の考え

 やはり、直接ディーデリヒ様に報告するというのはためらわれて、ラウラ先生に状況を説明した。


「やっぱり……」


 婚約者の件を打診されることに確信があったらしいラウラ先生は最初にそう言って驚いてもいなかった。

 隠すようなことではないだろうと、ロマンスではなく実利をとった婚約の打診であったことも告げる。

 そうするとラウラは少し憤慨して「うちのお姫様をなんだと思ってるんでしょうね!?」と言った。


 私はお姫様じゃない。


「でも、恋愛感情があるって言われても私きっと困ってしまったから」


 私がそう言うとラウラ先生はこちらを見て「何故? 子息は好みのタイプじゃないかしら?」と聞いた。

 私は上手く答えられなかった。


 好みのタイプと言われてもディーデリヒ様のことしか思い浮かばなかった。


 アルノー様に嫌悪感があるとかそういう事じゃないという事だけ何とか伝えると、ラウラ先生はニマニマと面白い笑顔を浮かべていた。


 それから「まず、ユイにお友達が必要というのは私も賛成です」と言った。


「本当は私がお友達を兼ねて上げられればいいのだけど、私はあなたの師になってしまった部分があるから難しい部分もあるわ」


 だから、対等に話ができるお友達を作ることは今後の課題ね。

 そうラウラ先生は言った。


「もう一つのあなたが今決めかねて報告している話。

そっちは本当にそうなのかしら」


 本当にそう? 私にある選択肢はディーデリヒ様の元で働くか、ディーデリヒ様のためにアルノー様に嫁ぐかの二択だ。

 そこが間違っているとは思えない。


「本当にユイがしたいことはアルノー様と結婚することなの?

それとも巫女としてディーデリヒ様に仕えることなの?」


 それから。とラウラ先生は言葉を切った。

 じっと真剣な目で私を見た。


「力を制御できるようになったあなたは下手な貴族よりずっとずっと国のために価値のある存在になるはすよ。そのための私との勉強なの。

覚えておいて、あなたは誰かに選択肢を決められる様な立場じゃなくなるの。

あなたが選択肢を提示して相手に選ばせる。それができる立場になるべきなの」


 ラウラ先生の言っていることの全てが聞いた瞬間理解できたわけじゃない。

 けれど彼女は私に私が思ってるより私の力には価値があるのだと伝えていることは分かった。


 だけどそれは私が本当にやりたいこと、欲しいものを考えていいほどのものなのか私には分からなかった。


 結局私はある程度力が制御できても各地を転々としなければならない。

 巫女だと言っても、実際に活躍しているのは水魔法士の方たちだ。


 私一人がそこにいて価値が出ることは少ない。


 それに、ヨイヤミさんに会ってから気が付いたことがある。

 誰かに嫌がらせをするために私を一ところにとどまらせるという考え方があるという事に。

 ヨイヤミさんが二つの国で二重スパイをしている様に、いらないものとして私が一か所にとどまり続ければ災害を起こすことができるのだ。


 それは脅迫に近い何かになってしまわないのだろうか。


 そんな人間が何か希望を口にしていいものなのだろうか。


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