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雨降りの巫女と氷結の魔法士  作者: 渡辺 佐倉


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水魔法士

 雨は毎日本格的に振ったり、小雨になったりを繰り返していた。


 野菜は、雨が小降りの時にラウラさんと見に行った。

 雨は相変わらず降り続けていたけれど、雲の合間から日差しが少しだけ差し込んでいた。


 野菜の葉はイキイキとしていて雲間から差し込む日差しが葉についていた水滴に反射してとてもきれいだった。



 その話をディーデリヒ様にすると、彼にとっては別に目新しい事なんてないだろうに、静かに耳を傾けてくれた。

 畑を管理している人に聞いた、水分をより多く含んだスイカの話をすると、ディーデリヒ様の品種改良に関わっていると教えてくださった。


「水魔法使いには水は絶対に必要だからね」


 ディーデリヒ様はそう言った。


 彼は最悪の場合、体内の水分を使って魔法を使うと教えてくれた。

 その時のために必要なのだろうことは私にも分かる。


「水魔法の訓練も今度見せてもらうんですよ」


 私が言うと、ディーデリヒ様は「それなら俺が案内するよ」と言った。


「みんなにもユイを紹介したいしね」


 それがいつか私がお役に立てる時のためなのだと気が付いて、嬉しかった。

 それにまるでいい事の様に私を紹介したいと言われるのも初めてのことだった。


* * *


 その場所は石造りの広場の様なところだった。


「周囲を特殊な側溝で囲んでいて水路とつないでいるんだよ」


 ディーデリヒ様がそう説明してくれる。


 軍人以外の魔法士は皆ローブを着ていると思っていたけれどそうでもないらしい。

 軍服に似た灰色の揃いの服を着た魔法士達は木製の的に向かって水魔法を放ったり、対戦形式で組手と魔法を組み合わせて戦ったりしていた。


「集合!」


 ディーデリヒ様がそう声をかけると魔法士の人たちが彼の前に集まった。


「傾聴」


 とディーデリヒ様の隣に立ったフェリクスさんが言う。


「彼女が今我が家門で保護している、『雨降りの巫女』である」


 雨降りの巫女という言葉を初めて聞いた。

 けれどそれが私のことを指しているのだろうという事はすぐに理解できた。


「よろしくお願いいたします」


 私が頭を下げると、魔法士の人たちがわっと沸く。

 それは彼ら、彼女らの喜びを表していることが明らかで、本当に私のこの呪いの様な常に雨が降り続けることを喜んでくれる人がいるという事実に心が震える。



「哨戒任務に出ている者等はここにはいないが、基本的に我が部隊の者はここで鍛錬をして討伐任務に向かう」


 この人たちがディーデリヒ様の仲間だと私に紹介してくれたのだ。

 それが嬉しかった。


 それからすぐに魔法士の人たちは訓練に戻っていった。


「ここ以外に研究業務に携わっているメンバーがいるからまた紹介しよう」


 訓練を見学しながらディーデリヒ様はそう言った。


「研究?」

「主に新しい水魔法の開発と、効率化、魔道具を使った支援について研究しているんだ」


 そうディーデリヒ様は答えた。


「そこで私の研究もするんですか?」


 私がそう聞くと、ディーデリヒ様は一瞬言葉に詰まった後、「……君の可能性についていくつか調査をさせてもらおうと思っているよ」と答えた。

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