※ラウラ視点
初めてユイ様を見たとき、ガサガサの肌、青白い顔色、お聞きしてた十五歳という年齢から考えるとあり得ない小さな体、それにがりがりに痩せた体に息を飲んだ。
この館の主であるディーデリヒ様が自ら抱き上げて運んできた少女は一目見て、酷い虐待を受けてきたと分かる有様だった。
本人はそれに関してあまり自覚が無いようだった。
ディーデリヒ様からは「彼女がきちんと生きていけるように育ててやって欲しい」と頼まれた。
家庭教師としての仕事もしていた私に任された責任重大な仕事だった。
彼女はおどおどとしながらも少しずつこの屋敷での生活に慣れてきていた。
彼女が最初に私たちに求めたのは“勉強したい”だった。
酷く虐げられている様に見えた少女の最初の願いがそれだという事に驚いた。
そして、まず何を教えるべきかについて私とディーデリヒ様は話し合った。
読み書きはまず必要だろう。
それ以外は?
戦場で生きるための知恵を教えるべきか、それとも平民として生きていくための知恵を教えるべきか。
それとも……。
彼女を初めて抱きかかえてきた日に自分の主がしていた表情を思い出してそれから言葉を飲み込んだ。
優れた魔法士の中には貴族としての位をもらえる者がいる。
この国では奇跡を扱える人間は重用されることは事実だ。
けれど、公爵であるディーデリヒ様の相手となると話は別だ。
「彼女はこれから水魔法士の希望となる存在だ。
……近い将来、陛下にも謁見することになるだろう。そのための作法も教えておくように」
氷の魔法士と呼ばれるのにぴったりな固い声でディーデリヒ様は言った。
彼が何を考えているのか私がおし測っても仕方がない。
私は頭を下げて「かしこまりました」と答えた。




