5話
オレの名前は五十嵐友祈
二十一才無職だ
ヤクザに追われてガケから落ちた所を二人の男に助けられた
カミサマだと言うソウとアクマだと言うマロン
現在オレはこの二人の家にイソーロー中
そして、ソウから
『この神社を継いで欲しい』
と、言われたのは数日前のことだ
ソウも前の持ち主に気に入られて、この神社を継いだらしい
前の持ち主から、ソウが継いで貰いたいと思う人が現れたら、その人に継がせても良いと言われているとのことだった
何故オレがソウに気に入られたのか分からないが、特にやりたいこととかなりたい職業とかがなかったら継いで欲しいとのことだった
それには、大学で神道や宗教の勉強をしなければならないらしい
『この世界では、学校の授業料は無料だからお金の心配も要らないし、家事全般や、神社の仕事の手伝いをしてくれているから、これからはお給料を払うから生活費も、心配しなくても良い』
と言われたが、やはり、ずっとここに世話になるわけには行かない
断ろう
そしてここも出て行こう
オレはソウの部屋へ向かった
ドアをノックする
「ソウ、話しがあるんだけど」
ソウが部屋のドアを開ける
「入って」
「うん」
「こないだの話の件?」
「うん、えっと、やっぱりオレ、神社は継げない」
「他にやりたいこと見つかった?」
「そうじゃないんだけど、、、オレ、ここ出て行こうと思って、、、だって、いつまでもここで世話になるわけにはいかないだろ」
「どうして?」
「どうしてって言われても、、」
ソウはオレの顔をマジマジと見ると何かを察したように
「あー、なるほど、マロンが何か紛らわしい言い方したんでしょ」
「?」
「ボクが浮気旅行に行ったとかなんとか、トモキはそれでボクとマロンが恋人同士だと思い、自分がいたらジャマだと思って出て行こうとしたってとこかな?」
まあ、その通りなのだがなぜマロンが言ったことも、オレが考えていることもわかったのだろう
やはりカミサマだからなんでもお見通しなのか?
「マロンが言いそうなことはだいたい分かるよ、マロンとは長い付き合いだからね、トモキはやっぱり優しいイイコだね」
オレが優しいイイコ?
「優しいイイコだよ、恋人同士のジャマになるから出て行こうと思うなんて、、だって、人間界には人の恋路をジャマしようとする人達たくさんいるのにさ、、でも、、大丈夫だよ、、ボクとマロンは恋人同士なんかじゃないから、そんなこと気にしなくて良いんだよ」
「でも、いつまでもここにイソーローと言うわけには行かないよ」
オレが言うとソウは少し考えてから
「これからはお給料を、払うって言ったでしょ。だから、これからは、トモキは、イソーローではなく、住み込みの家政夫兼ボクの助手。今まで通り家事全般と、神社の事を手伝ってもらえば良いから」
「、、、」
「そして、神社を継ぐかどうかは大学の受験日までに決めれば良いよ、受験日まではまだまだ日にちがあるからね、、そして、もし、その日までにトモキがやりたいことが見つかったらそれをやれば良いし、見つからなかったら大学に、行くというのはどう?」
「でも、それだと受験勉強が、、」
「あー、それなら心配ないよ、受験と言っても書類提出して、面接するだけだから」