4話
オレの名前は五十嵐友祈
二十一才無職だ
ヤクザに追われてガケから落ちた所を二人の男に助けられた
カミサマだと言うソウとアクマだと言うマロン
現在オレはこの二人の家にイソーロー中
そして今日はカミサマの会議があるからと言って出掛けて行ったソウが帰って来る日だ
「ただいま」
オレが夕飯の準備をしているとソウが帰って来た
「あっ、いい匂いだね」
「今日はカレーだよ、もうすぐできるから」
「そうだ、これ、おみやげ、はい」
そう言って渡されたのは温泉まんじゅうだった
「あれ、マロンは?」
「自分の部屋にいる」
「ボクが一週間ぐらいと言って出掛けたのに十日も帰って来なかったからすねてるんでしょ」
その通りだ
『イマ、ソウの顔みたら文句言いそうでイヤだから』
と、言って自分の部屋に閉じ込もってしまった
「マロンずっとキゲン悪くて大変だったでしょ、ごめんね」
まあ、確かにずっとキゲンは悪かった
でも、買い出しに行ってくれたり、境内の掃除(ソウの家は神社だ)を手伝ってくれたりした
なんだかんだでマロンは優しい
「大変と言うことはなかった、色々手伝ってくれたし」
「ボク、マロンと話ししてくるね」
ソウはマロンの部屋へ入って行った
ソウとマロンがどんな話をしたのか分からないが、
夕飯を食べる時にはマロンのキゲンは直っていた
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「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
ソウとマロンが同時に言う
マロンは普段食べるの遅いがカレーの時だけは早い
「ごちそうさまでした」
オレが最後に食べ終わった
「トモキ、話があるんだけど」
ソウが言う
「何?」
「トモキは、やりたいこととか、なりたいものとか何かないの?」
「えっ?」
「例えばさ、大学に行きたいとか、アイドルになりたいとか、、」
「うーん、別に」
「何もない?」
「特にないな」
「じゃあさ、お願いがあるんだ」
「?」
「この神社継いで欲しいんだよね」
はっ?ソウは何を言っているんだ?
オレはマロンの方を見た
てっきり
『はぁ?カミサマなんて信じてないなんて言うヤツにこの神社を継がせる?冗談じゃない』
とか言われるのかと思ったのだが
マロンはそのことについては何も言わなかった
もしかしたら、すでにもうこの話は聞いていたのかも知れない
「片付けはオレがやるからソウとトモキはリビングで話ししたら」
と、言うとテーブルの上の食器を片付け始めた
「ありがとう、マロン。トモキ、リビングで話そう」