2話
オレの名前は五十嵐友祈
二十一才無職だ
ヤクザに追われてガケから落ちた所を二人の男に助けられた
カミサマだと言うソウとアクマだと言うマロン
現在オレはこの二人の家に住まわさせてもらっている
この二人についてわかっていることは、どうやら死んだばあちゃんの知り合いらしいと言うこととマロンはソウには絶対服従だと言うこと
一見、ソウの方が、からだも小さくおっとりして可愛らしい感じだから、マロンの方が強そうだが、マロンはどんなに、怒り狂って怒鳴りちらしていてもソウがまるで飼い犬を叱るように、『マロン!!』と、言うと黙り込んでしまう
その姿は飼い主に従順な飼い犬のようだ
あっ!アクマだから犬ってことはないか?
まあ、でも、そんな感じだ
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ごちそうさまでした、美味しかった。ホント、トモキは料理上手だね」
オレの作った朝食を全部平らげてソウが言う
タダでここに住まわせてもらっているから(まあ、はっきり言えばイソーローなんだが)料理、掃除、洗濯、家事全般オレがしている
カミサマとアクマだからといって人間と違う食べ物を食べるわけではない
人間と同じものを食べるし、スーパーやコンビニにもオレが元居た世界と同じ食材が売っている
この世界を、何と言うか知らないがオレが元居た世界とは違うと言うことはわかる
ソウとマロンに助けられたとき、マロンが『ソウがこっちの世界に連れてこなければオマエはヤクザに捕まっていたんだぞ』と、言っていたし、何よりも住人たちが、カミサマ、テンシ、アクマ、ドラゴンやユニコーンなど、完全にそれ空想上の生き物だろうという方々ばかり
「トモキ、ボク明日から一週間ぐらい留守にするから、マロンと二人で留守番ヨロシクね」
ソウがそう言うと、まだ食事中だったマロンは持っていたご飯茶碗とお箸を少し乱暴にテーブルに置いて
「はっ?何でオレがこいつと留守番なんだよ」
と騒ぎたてた
「だって、トモキ一人おいていけないでしょ。だから今回はマロンは留守番」
「だいたいそんな会議意味あるのかよ」
マロンが少しふてくされた感じで言う
「会議?」
オレが聞き返すと
「年に何回かカミサマの会議があるんだよ!」
答えたのはマロンだった
そう言えば昔ばあちゃんが言ってたな
『カミサマは全国にたくさんいてね、年に一回大きな神社に集まって会議をするんだよ』
って、、、
「人間なんてワガママなんだから、人間の願い事なんて叶えてやる必要ないんだよ。普段はカミサマや神社なんて見向きもしないくせに、困った時だけ神頼みって言って神社に願い事しに行くだろ、それも、小さな神社は願い事叶わなそうだからって大きい神社に行くし、、それに、こいつみたいにいつも助けられていても、一度も、助けられたことなんてないって言うヤツもいるしさ」
「マロン!!」
「………」