13話
『トモキ、今日はニシさんの神社に手伝いに行って、今日は袴着の儀、帯解きの儀の日だからニシさんのところ人手が足りないみたいなんだ』
と、ソウに言われてオレは今、西澤太朗さんの神社に向かっている
ソウはヤクザに追われてガケから落ちたオレをこの世界に連れてきて助けてくれたカミサマだ。そしてオレの雇い主
オレはこの世界に来てからソウの家の家政夫兼助手として働いている
ソウの家は神社だ。ソウの神社にははるか昔この世界を救った巳乃松さんと言う人が、西澤さんの神社には巳之助さんと言う人が祀られているそうだ
「おはようございます、トモキさま。こんなに朝早くから申し訳ありません」
神社に着くと西澤さんが出迎えてくれた
「おはようございます、西澤さん。あと、その『トモキさま』って言うのやめてもらえませんか?」
「何故ですか?」
「何故って言われても、西澤さんの方が年上だし、『さま』なんて付けられてよばれると」
「でも、ソウさまとマロンさまの身近に仕えられているお方ですから」
「えっ?ソウより西澤さんの方が偉いんじゃないの?だって、西澤さんはこんなに大きい神社の宮司さんでしょ?」
ソウの神社は小さい。それに比べて西澤さんの神社は大きいし、西澤さんの方が年も上だよね、多分。オレ、ソウの年齢も西澤さんの年齢も知らないけど
「神社の大きさは、関係ありません。ソウさまは本当はこの世界の神社を全て取り仕切ることのできるお方なのです。でも、全然偉ぶらないので」
偉ぶらない?確かにそうだな。ソウよりマロンの方が偉そうにしているもんな
マロンはソウと一緒にオレを助けてくれたアクマだ
そしてソウの秘書。ソウは神社の仕事の他に居酒屋を二店舗経営している。いわば社長だ
「ところでさ、西澤さん、今日オレ、何すれば良いの?」
「今日は、袴着の儀、帯解きの儀のご祈祷の予約がたくさん入っているので受け付け係をしていただきたいとおもいまして」
「受け付け?」
「はい、これが、予約の、入っている方々の名簿です。それに、書いてある方々と照らし合わせて名前を確認したら、中の方にご案内してください」
「はい、わかりました」
ところで、袴着の儀、帯解きの儀ってなんだ?
「西澤さん、袴着の儀、帯解きの儀って何?」
「ソウさまとマロンさまは教えて下さらなかったのですか?」
「うん」
「相変わらずお二人とも口下手なのですね」
口下手?ソウとマロンって口下手か?大事なことを言わないのは口下手って言うのか?
「袴着の儀は五才の男の子が袴を身に付けて、帯解きの儀は七才の女の子が帯を締めて、神社でご祈祷し、健やかな成長を願うんです」
オレが元いた世界で言う七五三みたいなものなんだだろうか




