12話
オレはいま真っ暗闇な場所に、一人っきりでいる
周りには誰もいない
『トモキ、こっちにおいで』
遠くからオレを呼ぶ声がする
誰だろう?
顔は見えない
『トモキ、そっちに行ってはいけないよ』
誰?ばあちゃん?そうだ、ばあちゃんの声がする
「トモキ、トモキ、ダイジョーブ?」
目を開けると、ソウが心配そうな表情でオレの顔をのぞきこんでいた。ソウはヤクザに追われてガケから落ちたオレを助けてくれたカミサマで、オレの雇い主だ。オレは今ソウの家の家政婦兼助手として働いている
「すごいうなされてたよ」
「なんか、ちょっと変な夢を見ただけだから」
「でも、なんか、顔赤いよ、熱でもあるんじゃない?待ってて、今、体温計もってくるから」
そういってすぐに救急箱を抱えてきた
「はい、きちんと計って」
「うん」
三十八度五分だ
「やっぱり、熱あるね、今、お粥作ってくるから、それ食べて、薬飲んで、今日は一日寝ているんだよ」
「でも、、」
「良いの、病人はおとなしく寝てるの」
そう言って、ソウは部屋を出て行った
家政夫が雇い主からお粥を作ってもらうなんて、オレって、なんてバチ当たりなニンゲンなんだろう
「トモキ、お粥できたから、食べて」
ソウが作ってくれたのは、昔、ばあちゃんが作ってくれたお粥と同じだった。ばあちゃんが作ってくれるのはいつもたまご粥でその上に紫蘇がのっかっている
「食べさせてあげようか?」
「何言ってるんだよ、一人で食べれるよ」
「ソウ、そろそろ出かける時間だぞ」
マロンが言いながら入って来た
マロンはソウと一緒にオレを助けてくれたアクマで
ソウの秘書だ
「マロン、今日の打ち合わせキャンセルできないかな?」
ソウは神社の仕事と居酒屋を二店舗経営している。確か今日は取り引き先との打ち合わせがあるって言ってた
「はあ?何言ってるんだよ、そんなことできるわけないだろ」
「トモキが熱あるんだ。一人おいてけないよ」
「はあ?ガキじゃねーんだから、一人でもダイジョーブだろう」
「オレはダイジョーブだから、ソウはきちんと仕事に行って」
「トモキも一人でダイジョーブって、言ってるだろう、行くぞ、ソウ」
「マロン!!お願い!!」
「わかったよ、しょうがない、打ち合わせにはオレ一人で行くから」
「ありがとう、マロン」
「オレ、一人でもダイジョーブだよ、仕事の方が大事だろう」
「トモキは、そんなこと心配しなくても良いんだよ。それに、ボクが行っても話しを進めるのはマロンだから、、マロンの方が商売上手だからね、マロンに、任せておけばまちがいないからね」
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お粥を食べて薬を飲んだら眠くなってきた。きっと、薬が効いてきたのだろう
どのくらい寝たのだろうか
気が付くとソウとマロンがオレの顔をのぞきこみ
「だいぶ顔色良くなったね」「だいぶ顔色良くなったな」
二人同時に言う
「うん、多分薬が効いた、あと、お粥も」
「これ、食べるか?」
そう言ってマロンが、桃缶を差し出した
「風邪をひいたときはこれが一番良いんだ」
なんだかんだでマロンも優しい。でも、なんでこの二人はこんなにも、親切にしてくるんだろう?そう言えばこの二人ばあちゃんの知り合いみたいなこと前に言ってた時があるけど
だからなのかな




