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ジークハルト2

リリアーナが弟にエスコートされ、会場に入ってきたところを見つけ、男爵令嬢を連れて挨拶に行った。

喧嘩中であることを思い出し、リリアーナを家名で呼んだ。

リリアーナは、わたしが彼女以外の女性をエスコートしていることがわかると、一瞬顔を強ばらせた。対の衣装を見て、彼女の顔が一瞬曇ったことをわたしは見逃さなかった。しかし、表情が変わったのは見間違ったかと思う程一瞬だけで、毅然とした態度でわたしたちに対応し、彼女は第二王子に挨拶に行ってしまった。わたしがエスコートしている男爵令嬢は、リリアーナに話しかけられる前に彼女に話しかけており、高位貴族から話しかけるまで話してはならないというルールさえ身に付いていなかった。

彼女がくっついてくることが、本当に鬱陶しい。


リステネ侯爵姉弟が戻ってくるところを見計らい、男爵令嬢をダンスに誘った。リリアーナに気にしてもらいたかったのだ。男爵令嬢はダンスもまともに踊れなくて、改めてリリアーナの素晴しさを実感した。彼女とのダンスは楽しくて、いつまででも踊っていられるのに…どうして、今わたしの側にいるのがリリアーナではないのか。

ダンスが終わったら、リリアーナに声をかけに行こう。変な意地を張らず、仲直りしたいことを伝えよう。そう思ったが、ダンスが終わる頃にはリリアーナの姿はどこにもなくなっていた。


男爵令嬢と一曲だけ踊ると、彼女とは解散した。彼女はまだパーティーにいたがったが、これ以上礼儀のなっていない女性と一緒にいることに耐えられなかった。

リリアーナの素晴しさを再確認した。


明日、彼女に仲直りしたいと伝えよう。

それとも、彼女の方から「いったい、あの方は何なんですの?」と声をかけてくれるだろうか。

屋敷への帰りの馬車の中で、そんなことを考えていた。

今日の第二王子の誕生パーティーでのわたしの行いが、婚約者である彼女の面子を潰したことなど、思い付きもしなかった。

いつもなら、考えなくてもわかることだっのに。あの時のわたしは、自分のことしか頭になかった。


次の日、彼女は学園に来なかった。




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