表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

5

性格の差

私は桜ノ宮美月。ごく一般的な高校に通うごく一般的な女子高生だ。家庭構成は両親に姉、そして私の四人家族で自分で言うのもなんだけど家族仲はかなりいいと思う。


「おはよー」

「おはよー美月」


こうして挨拶をすれば返してくれる友人がいる程度には交友関係もいいと思う。


「今朝のニュース怖いよねー」

「そうね、早く犯人が捕まってくれることを祈るわ」


ここで言う今朝のニュースとは比較的近所のテーマパークで殺人事件があったという報道だろう、私はお姉ちゃんから聞いていて知っていたがやはり恐怖は感じるものだった。そんな私だが今日はそれにも関係した目的がある。


窓際を見ると本を読んでたたずんでいる一人の少年がいる。結構イケメンだと思うけど近寄るなオーラを出しているというかそんな感じで話しかける人はいない、悪く言うとボッチという奴だろうか。


だが私はそんな彼、深黒狂也(みくろきょうや)くんに用がある。それは警察官をやっているお姉ちゃんのお願いで彼に話を聞くことだ。お姉ちゃんの第六感(シックスセンス)は私も知っていてたびたびその能力で反応した人への聞き込みなどの協力もしている。


というのも私の能力が関係している。私の能力は審判(ジャッジ)。平たく言えば話した相手が言ったことを本当かウソかを見分けられるっていう能力。ただ事実とは違っても本人が本当だと思っていたら嘘とは反応しないなんかの欠点もあるけど。


普段は封魔石で能力を制限してもらってるけど今日は能力が必要だから許可を取って外してもらった。本来私はつけなくてもいいんだけど毎回毎回嘘が分かるなんて嫌だからつけさせてもらった。


ともあれ私はちゃんと彼に話をつけよう。それで何か重要なことを知っているようだったらそれで捜査が進むかもしれない。


でも今は朝でもうすぐ朝礼が始まるので時間がない、狙うなら昼休みだろう。それなら今は待つだけだ、決戦は昼休みなり。


そして時が過ぎ昼休み、すでに私は友人たちとお昼も食べ終え彼も既に食べ終わって今は本を読んでいる。話しかけるとしたら今しかないだろう。


「ねぇ、ちょっといいかしら」


私がおもむろに彼の机の前に近づいて話しかけると彼はその視線をゆっくりと本から私へ変えてこちらを見据えた。


「何かな?確か……桜ノ宮さんだったっけ?」

「ええそうよ。ちょっと話したいことがあるからついてきてもらえるかしら?時間は取らせないわ」

「いいよ、暇してたしね」


彼はパタンと本を閉じると立ち上がり私に続いてきた。


そのまま人気の無い空き教室に入るとカチャリと鍵を閉めた。一応他の人には聞かれないようにしたいから。


「それで、こんな所まで連れてきて何の用?もしかして告白?」

「違うわ、期待してたならごめんなさい」

「そっか、残念」


彼は全く残念だと思っていなさそうで今までの発言でもいっさい表情を動かさなかった。


「ちょっと聞きたいことがあっただけよ」

「ふーん、そう」

「それでさっそく本題なんだけど、深黒くん休日中に最近事件の合ったテーマパークにいた?」

「いたけど、どうして?」

「一応ね」

「ふーん」


嘘はついてないわね、映像で入場したことは確認したらしいけど一応必要よね。


「それで、そこに何か怪しげな行動をしてた人とか怪しげな人とかはいなかったかしら」

「うーん……どうだろうね、見てない気もするね」

「……どういうことよ」

「うーん、秘密」

「そう……」


何とも微妙な反応を……私の能力は具体的に何々をした、してないっていってもらわないとうまく発動しない、次からは質問を変えようかしら。


「何でそんなこと聞くの?」

「趣味なのよ」

「へぇ、変わってるね」


それだけ言うとまたすぐに興味を失ったように無表情で見つめてくる。


「それじゃあ、もう率直に聞くんだけど深黒くん、あなたあの事件の犯人は知らないかしら」


いちいち聞くのも私に合わないので一気に聞いてしまうことにした。こう聞いてしまえばはぐらかされてもyesかnoに持ってくことも容易にできるだろうから。


ここでyesとでたらそれをどうにか聞き出してnoとでたら他に何か事件に関わることを知ってるはずだからまた質問を繰り返すだけ、やっぱり今の質問が最適解な気がする。


「うーん……」

「どうしたの?」


何故か彼はすぐに答えを返さずに腕を組んで唸っている。


「いやね、正直に話そうが嘘をつこうが結局は変わらないしやっぱりあまり自分に被害がなさそうな方にするよ」

「……?」

「俺はその事件の犯人、()()()()()

「――!」


キーンコーン


「おっとチャイムだ。それじゃ、たぶん質問はもうないだろうし帰るね。次の授業もあることだし」

「まっ――――!」


彼に向かって手を伸ばすも既に扉は閉められ空き教室に一人取り残される形になった。


「今の……」


今の質問で私の審判(ジャッジ)は彼の言ったことが嘘だと示していた。つまり彼はあの事件の犯人を知っているということになる。


それに今考えたらあの質問のした後の彼の言動を思い出すとまるで私の能力が分かってるかのような口ぶりだった。自分に被害がなさそうな方っていうことは肯定したら時間を取られるからという意味ともとらえられるし……もしくは彼自身が犯人と関わっているということかもしれない。


そこまで考えると思わず身震いした。


「深黒狂也……彼は何者なの?」


その後も授業に身が入らず気が付けば放課後になっていた。ひとまず今日のことをお姉ちゃんに報告しなくちゃ。



普通妹使うとかありえんくね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ