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タイトルだけはいいと思うんですよタイトルだけは
翌日。休日ということもあって俺は暇潰しを始めるための目的地、テーマパークに来ていた。あらかじめ下調べも済ませ必要なものもカバンに入れている。
長蛇の列に並んだ後にやっと中へと入場する。するとカップルや家族などが各々目的の場所に向かい乗り物に乗るなどを行っているようだ。
俺も事前に調べていくところは決まっている。もちろんここに来たのも暇つぶしのためだ。ただ別に俺がアトラクションに乗るというわけではない。
列ができているアトラクション関係の場所から離れ目立たない位置にあるベンチに座りこむ。ここにはめったに人が来ないことも確認済みだ。監視カメラもない、ここに来るときも入口以外ではほぼ映っていないだろう。
しばらくそこでスマホをいじりながら時間をつぶす。すぐに始めてもいいがやはり昼前くらいがちょうどいい時間帯だろう。
「……そろそろか」
時計を見ると十一時半をさしているのが分かる。実行するならこの時間帯がちょうどいいだろう。
荷物を持ったままトイレの裏に移動する。そこにバッグの中から持ってきた服を全てだす。そして――――
「交換」
俺の服と今出した服を入れ替え最後に長めの髪のウィッグを着ける。ついでにちゃちゃっとメイクをすると外見は完全に女性になった。
「……こんなところか」
自身が女装したことに対しては思いの外、戸惑いも羞恥も感じなかった。女装もメイクも今回初めてしたが思ったよりうまくできてよかった。
別に女装する必要は無かったが念のためといったところか。そのまま俺はマスクをつけて黒色だったバッグをひっくり返し赤にしたところで歩き出した。
人通りの多い所に出ると幾人かの人に見られはしたがナンパなどは無くて安心した。もしされても流石に声は出せなくて面倒だったからな。
そのまま目的の位置が見えるかつ人目につかず監視カメラもない場所に着いた。
「交換」
そこの空気と俺の位置を交換し目的の位置……屋上についた。ここはこのテーマパークでほぼ一番高くこれより高いとなるとジェットコースターのもっとも高い位置だけになるだろう。
一応スタッフの巡回用かわからない扉があるがここにはほぼ人が来ないのも事前にリサーチしていた。
まぁ別段見られたところで問題ない……それどころか目撃者はいて欲しい気もする。わざわざそのために女装もしたのだし。
警察の優秀さは信頼しているが最悪自分でどうにかするか。まぁそれはそうと。
「まずは標的探しかな」
バッグの中から双眼鏡を取り出す。そしておもむろに覗きこむと適当に下を歩いてる人々を見下ろした。
「流石に暇つぶしに善人を使うのはわるいからな」
探すのは指名手配されている凶悪犯、もしくは何か悪事を行う悪人だ。
前者はともかく後者は粘ればすぐに見つかるだろう。こういう場所ははめをはずしすぎてそういう行動に出るものがいくらかいるらしい。
だが今見つけられるのはカップルや家族、男集団のみだ。俺の暇つぶしのターゲットになりうるやつがいない。まぁこればっかりは時間だ、気長に行こう。
「……おっと?」
長いこと探していると丁度男が気弱そうな女を路地裏に連れ込んでいる様子が見えた。いくら女性が能力を封魔石で封じられているとはいってもいざ危機的な状況になったら解除されるというのに、勇気のあるやつだ。
ふむ……どうやら見ているとカツアゲだろうか?何やら脅して女性の方が怯えているように見える。能力を発動すればどうにでもなると思うがこの状況じゃ使えない能力か怯えすぎてうまく発動できないんだろう。
まぁ丁度いい、長い時間探したかいがあった。俺の暇つぶしに付き合ってもらうのは彼でいいだろう。
俺はバッグから取り出した清掃用手袋をつけ、ごみ袋を取り出し再び片手で双眼鏡を持ち二人をみた。
そして
「交換」
文才は……ね・・・




