番外編のエドワードside:最高に幸せな男 3
お読みくださりまして、ありがとうございます。
エドワード視点、最高に幸せな男 2の続きです。
おかしい、おかしいぞ?
どうしてこうなっている?
俺は、なぜまたリナ(嫁)に会えなくなっているのか?
それに、俺には可愛い娘が生まれたんだぞ。
それなのに、なぜ娘にも会えず、俺は王城で寝泊まりを強いられているのだ?
あの日までは、あの日まで順調であった。
クッ、またこのくだりだ……。
***
あれから問題が総て解決し結婚の準備も整い、念願叶って俺達は結婚した。
晴れて夫婦となったのだ。
パンパカパーン!
国民に祝福され、王都の中央に位置する大聖堂で挙式を行い、披露パレードは、大盛況。
国中がお祭り騒ぎとなり、その日から数日、王都は眠らない街と化したのだ。
そんな国中に祝福された俺達は、初夜を迎え、リナは心も体も、俺のもの!となったのである。
真の男の中に眠らされし、古の俺よ………今こそ、その力を呼び覚ませ! 解・放。
と言う訳で、念願であった離宮での暮らしは、まさにパラダイス。
そこまでは、順風満帆、一路順風、バッチグー。
俺の中の幸せな日々ランキングで、ぶっちぎり1位を獲得したんだ。
そして、それから半年内にアルム達が、半年後には兄上がリナの親友と結婚した。
怒涛の結婚ラッシュ!!
そして、さらに1年後には、兄上にお子が生まれた。
兄上、仕事早過ぎます…。
産まれたのは男の子ジョージ、後の第一王子である。
そして、俺はヒッソリと叔父さんになった。
ちっちゃくて、めんこい。
叔父さんの指を小さな掌に乗せると、その小さな手がこう にぎにぎと握り返してきてな~。
オホンッ、いいの、いいのだよ。
俺は2人きりのラブラブをじっくり堪能したいの。
そっち派だから、全然羨ましくなんてないんだぞ。
うん、皆これでもかと言うくらい春の幸せ祭り開催中だった。
それからしばらくしてからであった。
俺は父上、国王陛下に呼び出された。
そうだ…この時から、段々と雲行きが怪しくなっていったのだ。
「失礼します。父上、お呼びでしょうか?」
父の執務室へ入ってすぐである。
俺は思わぬ言葉を突きつけられた。
「来たか……テッド、お前に話があってだな。」
「なんでしょうか?」
「実は、お前にしてもらわなければならぬことがある……王位継承権を今すぐ放棄し、臣下となるのだ。そして、ココ、この土地をやるからココに住んでくれ。」
地図を執務机へ広げ、指さしながら父上が話す。
「ど、どういうことでしょうか?あまりにも唐突な話です。確かに、臣下となる事は前々から決定していたことですが、ジョージがもう少し成長してからと言う話であったかと。もしや、何かあったのですか?まさか、派閥争いに動きが?」
机に両手を勢いよく置き、問いかける。
「いいや、それは今のところ、無い。儂は、時期が来れば、王位をアレクに継承すると明言しているし、周囲もおおかた納得している。アレクの地盤が安定すれば、お前が臣下になるという確約も、皆、知るところだ。」
「では、なぜ?」
父上は言いづらそうに、言葉を一度飲み込んだ後、申し訳なさそうな顔でこう言った。
「負けたのだ……テンペストで……ジルドに。」
「はぁ??」
父上が言うには、兄上に王子が誕生した事が世に知られてすぐのこと、王妃の友人のハートフィル侯爵夫人が、母上に愚痴をこぼしたことが発端だった。
このように王妃様から王城へ招かれるような機会がないと、なかなか娘に会うことが出来なくて、寂しい。
それほど、エドワード殿下が娘を溺愛して、離宮へ閉じ込めてしまっていると、話したそうだ。
それを聞いた母上が、父上へ相談し、父上は大臣と話し合った。
そして、テンペストで勝負することになったのだ!!
んん?なぜ、大臣と話し合ったら、勝負することになるんだ?
そこ、おかしいだろう!?
理由は、のらりくらりとはぐらかされ、曖昧なままであったけれど、おそらく、父上はただ単に、“大臣と勝負がしたかったから”なのであろう。
こいつら、俺とリナの将来を、賭け事の景品にしやがった。
クッソー、腹立つ。
なんで負けるんだよ。
そこは何がなんでも勝てよ、オヤジ。
「何、勝手に俺の将来を賭け事にしているんですか!そんなの無効だ。無かったことにしてくださいよ。」
「ダメだ、あの場には、儂とジルドの他に、侯爵夫人、アレク、アルム、宰相、シュタルク帝国のフランチェスカ嬢が居て、証人となっていたのだ。」
「何ですか、その面子は?宰相とシュタルク帝国とか全く関係ないでしょう?あとは身内だから、揉み消してしまえばよいのです。」
その発言を父上が強く遮り、
「ダメだ。宰相の事は、お前が自ら招いたことなのだ。お前の不始末が原因だぞ。お前がリナと結婚したから、宰相補佐、アーハイム公爵がしばらく使い物にならなくなったらしい。仕事がきわめて忙しかった時期で、宰相室の面々が死にそうになったそうだ。宰相補佐の敵討ちに、宰相が報復しに来たと言っていた。ジルドが負けたら、彼が二番手で挑むつもりだったのだぞ。」
「は?逆恨みじゃん。え?シュタルク帝国の大元帥の娘もそうなの?」
「あの娘は、儂とジルドとの一戦をただ見に来ていただけじゃ。生の対決が見られて感激です!と、頬を紅潮させ話しておったぞ。」
いったい、お前ら何やっているんだよ……平和かよ。
「という事で、お前は直ぐここへ移住な~。」
そう言って、俺の住む領地が勝手に決められた。
そして、その事が内々に発表され、唯一、兄上の嫁だけが反対してくれて、王城へ留まるように抵抗するのだが、抵抗空しく、俺達は他の者達の力により、兄上の戴冠式が済み程なくして、城から追い出されたのである。
そして、現在、俺は兄上の激化する公務の手伝いをさせられ、王城で寝泊まりする生活を強いられている。
リナは娘を産むため、城を出てから領地のカントリーハウスへ行ってしまった。
娘が産まれてから、首がグラングランする赤子の長距離移動は心配だからって、空き時間を見つけては俺が早馬を飛ばして領地へ会いに行くといった日々となっているのだ。
あっ、それは生まれる前から、そうだったか?
嫌だー、もう嫌だー!!!!!
こんな体に鞭打つ生活、耐えられない。
ずっと、嫁と娘の傍に居たいよ~。
うぅぅぅ、もう、マジで逃走しちゃおうかな…。
「ダメですよ。フォード公爵。逃げたら、余計に辛くなりますからね。さあ、仕事してください。」
と、横で補佐するカイルが淡々と言った。
え?なんでカイルも、俺の考えていることが分かるんだ?
カイルは、俺の補佐と言ってここにいるが、俺は知っているんだぞ。
兄上に言われて、俺が逃げ出さないように監視していると言うことを。
最初の逃走で連れ戻されてから、補佐役がカイルに代わったんだ。
こいつ、何気に優秀だから、マジで逃れられないんだよ。
もう何回、逃走に失敗して、捕まっているか…。
「クソッ、カイルが邪魔するから、俺が家族に会いに行けないってリナに告げ口してやるからな。」
「いいですよ。告げ口でも何でもしてください。リナは俺の事をよーーーく知っていますから、今さらだと思いますよ。」
ニヤリと笑い、そう言い放った。
クッ、こいつ、幼馴染み自慢か!?
う、羨ましくなんかないんだぞ!
それにしても、俺がリナと結婚してから、カイルの俺への扱いが厳しくなったような気がするんだが…。
やはりカイルも……そうだったのか?
「俺は、妹のような愛しいリナの夫であり、リヴィの父親であるエドに、立派な人になっていただきたいだけなんですよ。」
「お、おう。分かっている。」
少し考えすぎていたか。
んん!?今の“愛しい”の位置、おかしくなかったか??
そんなことを考えていると、カイルが思わぬ朗報を口にした。
「そうだ。先日、姉さんがリナの所へ遊びに行ってきたらしいのですが、エドが彼方此方でリヴィの事を自慢しているから、1歳にも満たないのに縁談話が多数舞い込んで困っていると、リナから相談を受けたらしくて。その解決策に、王都にタウンハウスを買って移り住めば、エドも騒がなくなるだろうと言う案を出したそうです。姉さんも頗る乗り気で、今、大臣室でエドのタウンハウスをどこにするか話し合いが行われているんですよ。」
なにそれ、色々、おかしくない??
「リヴィに大量の縁談?アルムに相談?俺が原因!?ていうか、何で侯爵家が俺達の家を決めているんだよ…。カイル、それもっと早く言ってくれない?俺、ちょっと大臣室へ行ってくる。」
そう発しながら、俺は執務室を飛び出し大臣室へと急ぐのであった。
***
それから1年も経たないうちに、侯爵家のタウンハウスの近くに、見事な俺達のタウンハウスが建てられた。
権力ってスゴいね!
そこでの暮らしは、全てが順調とは言えず、まあ家族に色々あるのだが。
思い返すと、マジでムカムカしてくることも多々……おのれ、怒りが甦る。
今は医師にすぐ激高するのを咎められているから、心を落ち着かせよう。
よしよし、ヒッヒッフーだ。
俺は、リナとまだまだ長生きするのだからな。
そうだな、これだけは言える。
大好きな人と結ばれ、大切な人達に囲まれて、俺は最高に幸せな人生を歩んでいると。
そしてこれからも、それは皆が居る限り間違いなく続いていく。
誰が何と言おうとも、俺がそう思っているのだから、間違いないのだ。
俺は、世界一幸せな男だ!
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これで、エドワードの物語は完結です。
この作品に沢山の方々からブックマーク、評価いただきました。
驚きです。感謝です。
温かい心をお持ちの皆様、誠にありがとうございました。
貴重な体験でございました。
次話は、閑話となります。
よかったら、また御立ち寄りください。




