番外編のエドワードside:最高に幸せな男 1
完結としておりましたが、書けたので投稿してしまいました。
すみません。
読んでくださりまして、ありがとうございます。
番外編のエドワード視点です。
おかしい、何かが、おかしいぞ。
どうして、こうなっている??
もうすでに、あのプロポーズから1年が過ぎた。
とっくの昔にリナと結婚して、俺の離宮で、ワハハウフフムッフ~ンと、幸せな新婚生活を送っているはずなのに。
なぜだ、なぜ俺達は、未だに結婚できていないのか?
あの日、そう、あの日までは、全てにおいて順調だったのに…。
***
王妃のお茶会以後、リナは側近では来なくなったが、王族教育を受けるために、ほぼ毎日のように王城へ来ていた。
だから、俺は必ず会いに行き、お茶したり、庭園に連れだしたり、俺の離宮を案内したり、キャッキャ ウフフ、このこのこの~って、イチャつきあって、楽しい毎日を送っていたのだ。
決して、けっして、リナの邪魔をしに行っていたわけではないぞ!
そうそう、リナを初めて俺の離宮に連れて行った時は、感激のあまり言葉を出せなくなっていたな。
離宮を出た直後、外で待機していた近衛騎士のダミアンが、
「ハートフィル侯爵令嬢の顔色が大変悪いようなので、休憩なされますか?」
と慌てて聞いてきた。
なんてことない、きっとリナは感激のあまり興奮しすぎて疲れが生じ、顔色が悪く見えただけだろうに。
だがしかし、万が一にもリナに何かあってはならぬと、急いで休憩は取ったけどな。
まだこの頃は、順風満帆だ。
それから、アルムの協力も得ていた 王族主催の俺の婚約者リナを、皆に披露しちゃうぞ舞踏会が開かれた。
そこでも、何事もなく、多くの者に祝福されて終わった。
ムフッ、相変わらずリナのドレス姿はキャワワだった。
あの日は俺の継いでいるバナーの色である碧と、王家の色を身にまとい、俺と共に華々しく登場したのだ。
ジャジャーン。
もうね、リナは俺のだーーー!!!って、皆に知らしめることが出来て、俺は感無量だった。
ぶっちゃけ、嬉しくて泣きそうになるのを下唇噛んで必死で我慢したよ。
まだ順調。
貴族たちに挨拶周りして、さらに俺の嫁を皆に知らしめ、念願だったリナとのダンスも踊れたのだ。
ああ、実に、至高のひとときであった。
「リナはダンスも上手だなあ~。」
と俺が褒めると、
「テッドのリードが素晴らしいからよ。」
って、天使が微笑えんで、俺を褒めてくれたんだ。
その一瞬、天使の背中にバッサーっと真っ白な大きな羽が見えたんだ。
軽やかで、優雅で、笑顔が眩しい、キラッキラした天界の生き物がそこに存在したのだ。
ああ、神様、彼女をこの世に産み落としてくれたことを、心から感謝いたします。
ね、順調でしょ。
舞踏会の終わりを告げる鐘が鳴り、貴族たちが挨拶し去る中、リナの家族もやってきた。
「エドワード殿下、リナを頼みます……今夜は。」
そう、大臣が貴族の笑みで言い残すと、あの家族があっさり帰っていった。
それには、少し拍子抜けであったのだ。
ふむ、まだ順調。
舞踏会を終えた後、リナを王家の馬車でハートフィル侯爵邸まで送り届けた。
もちろん、キッスと愛の囁きは、馬車内で済ませてあるぞ。
フフフッ、もうあの頃のガチガチの俺じゃないぜー!!!
まあまあまあ、諸君の言いたいことは、分かっている。
詳しく話せって言うんだろう。
チッチッチッ、それは聞けぬ願いである。
2人だけのヒ・ミ・ツだからな!
皆は知っているか?
2人の秘密と言うのはな、恋愛において盛り上がる為の最高のスパイスなんだぞ。
兄上から聞いたのだー!
まぁ、話せることと言ったら、R指定に引っ掛かる事はまだしておらぬということだな。
それは、結婚してからのお楽しみだからな!
男は我慢なのだ。
フッ、真の男と書いて、エドワードと読むのさ。
俺は、この国の正統なる高貴な一族、正真正銘のジェントルマンなのだからな!
そして、侯爵邸前に馬車は着き、リナと名残惜しく別れた俺は、帰路につくのだった。
ああマジで、リナを俺の離宮に早く、早く連れて帰りたい。
我慢は辛い、辛すぎる。
婚約しただろ、もうすぐだ。
あと半年、頑張れ、頑張れ俺!
ここまで順調。
そして帰城して私室へ戻った後に、兄上が、部屋に乗り込んできたのだ。
「遂に始まるぞ!」
そう一言、肩を震わせ静かに告げたのだった。
そうだ! ここからだ。
この瞬間から、俺はひたすら仕事に追われることになったんだ。
そして、愛しのマイスイートに会えなくなるのだ………ううぅ。
***
兄上から報告を受けたのは、先日、大商会グランツの倉庫が何者かに襲撃を受けたという事件の報告だった。
この事件からでは、俺が動くほどでは無かったのだが、都に居る兵士が詳しく調べてみると、小麦の値段がジリジリと値上がりしていることにより、グランツと取引のある商人が悪質な嫌がらせ目的で引き起こした事件と判明したのだった。
捕まった商人は、小麦の値段が上がっているのは、商会連合と貴族が結託し利益を得ている所為だと思い込んでおり、嫌がらせをしてやろうと、商会へ悪漢を向かわせたらしい。
しかし、倉庫や人を襲撃しろとは指示していないと、弁明していたのだ。
だが、罪である。
小麦が絡んでいるのと、このタイミングでの事件報告、何かがあるに違いないと兄上は助言した。
小麦の値上がりしている原因も俺は気になったので、しばしグランツの手を借り、探ることにした。
どうやら、俺が18歳の時に父上から分配された領地の一つに不穏な動きがあり、そこが値上げの流れを作り出しているようだとの報告があがったのだ。
悪い予感が的中した。
その領地は国の中でも有数な小麦の産地だ。
俺は直ぐに自領へと向かった。
その領地の管理は、代々王家で長年信頼を得ている一族の者に任せていた。
今の当主とも、俺に領地が分配された際に一度会っていて、とても信用の出来る人物であると認識している。
しかし、半年程前にその者が病に倒れ、臨時で息子が管理を行っているという。
その事を、領地に着くまで全く知らされていなかった。
そして、息子と対面したのだ…。
そう、こいつが、クソ狸だったんだ!!
現地では早急に調べようにもこいつがあらゆる手段を使い邪魔をしてきて、不正も人を何重にも介し、巧妙に隠ぺいしていたから、コイツが主犯だと言う証拠をなかなか揃えることが出来なかった。
仕舞いには、自分の娘を、俺に押し付けようとしてきたのだ。
俺、ブちぎれて、思わず本気モード出しちゃったよ。
だって、だってね、こいつの所為で、リナと三月も会えていなかったんだよ…。
俺、城館で、発狂しちゃった。
手紙のやり取りしか出来なくて、完全にリナ欠乏症。
もちろん、手紙でのリナもマジ天使なんだけどね。
ああ、直ぐに会って、この手で抱きしめたい、キスしたいって……もうね、夜はそればっかり考えてた。
寂しい夜が続きすぎて、リナから届く お手紙さんが、夜のおともだちさ…。
その間にも、ギ国の王太子とペネジル国のクソ王女が電撃婚したって聞いたけれど、正直、俺はそれどころじゃなかった。
早く王都帰って、リナに会いたかったから、そっちの件は、兄上に丸投げしといた。
兄上のお気に入りのリナの親友から聞きだした話は、殺意の湧くものだったから、闇に葬ろうと計画はすでに立ててあったし。
兄上は、即座に動いてくれたようだ。
テンペスト仲間のシュタルク帝国、大元帥の愛娘フランチェスカ嬢に連絡を取り、彼女から借りを返してもらうとかで、ギ国に父親を連れて行ってもらったようだ。
借りの内容は、以前に内務大臣と彼女とのテンペスト対決をセッティングしてやったとかだったかな。
俺がこっちにいる間に総て片付いていた。
さっすが、兄上!!
まあ、そんな中、俺も無事に問題を片付けて帰城したんだけど、半年後の目標の結婚には、準備が行き届いてなくて、延期にさせられたのだ。
早急に寝ずに準備して執り行ってしまおうと動いていたら、上位の貴族がこぞって押しかけてきて、準備をきちんと整えてから行うべきだろって、豪く厳しい反対にあったんだ。
あれは針の筵ってやつだった。
だから、文句言われないように、夜はちゃんと寝て、昼間は鬼人の如く動き結婚準備を整え始めたんだ。
そしたら今度、俺の進めていた行楽地への道路舗装計画の援助金について、不正が見つかったとかで、内務金融部門が解決と対策案を提出してくれって、宰相経由で言ってきたんだよ。
あの鬼の宰相経由だよ!
いつもなら、それあとでやるから~って言えるのに…あの人からじゃ、優先せざるをえなくて、泣く泣く結婚準備は中断だよ。
さらに、すぐ後に、俺の管轄区の下水道整備で問題が発覚したとかで、俺が動かなければならなくて…。
そして、さらに、宰相補佐がやらかして、その上、闇取引や裏賭博問題が出てきたから、もう王族はフル活動だよ。
それでも俺は結婚準備を、裏でちょこっとずつだけど、進めていたんだ。
俺、めっちゃ、エライでしょ。
忙し過ぎて、結婚が出来ないなんて、ありえない事だよね。
早く、リナを俺の離宮に連れて……もうこれ言うの何度目かな…。
なんて思っていたら、この忙しさに兄上がキレちゃった。
「お前は、婚約しているからいいだろう!俺は、婚約もまだなんだよ。少しの間、仕事代わりやがれーーー!」
って、俺に言い残し仕事を押し付けて、例のお気に入り令嬢へ求婚しに行ってしまった。
まあ、無事に兄上も婚約できたみたいだから、めでたしめでたし。
俺も嬉しかったよ。
しかし、この忙しさ、マジで半端ない!
まだ結婚できていません。
できるのか!?次回こそは…………(by殿下)




