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番外編(後半):娘よ、まずいことになっています

お読みくださりまして、ありがとうございます。

番外編、前半からの続きとなります。





「お邪魔しますね~。私も参加して、よいかしら?麗しのご令嬢方。」

 現れた客人は、マリ姉であった。


 リナは侍女に席を用意させ、マリ姉を座らせ、皆に紹介した。


兄の婚約者だと皆に紹介すると、例のあの御方だと、皆は興味津々な目で見つめる。

皆、すでに知っているようだった。


「今日は、どうしたのですか、マリ姉。兄さんは、父さまの手伝いで王城へ行ってしまっているのですが、お約束でしたか?」

「違うのよ。これを預かってきたのよ。」

 そう言って、リナに一通の手紙を手渡した。


 これは、ハロルドからだ。

 あの植物園以来、こうして、時折、手紙をマリ姉経由で渡してくるようになった。

 内容は、恋愛の相談事が多い。


 具体的な内容は、父の薦めで、10も離れた年若き令嬢と会うことになったのだが、移動動物園へ連れて行こうかと考えているのだが、どうであろうか?君は行ったことあるかい?君のような女性は、どんな動物が好きなのかな?などである。


 お誘いなどは全くしてこないので、気軽に恋愛相談が出来る女友達と思ってくれているのだろう。


「ハロルドからね。今回はどうなさったのかしら?」

「リナ?アーハイム様と手紙の交換をしているの?大丈夫なの、それ?殿下は知っているの?」

 ソフィアが心配そうに聞いてくる。


「え?殿下には知らせていないわよ?内容は恋の悩み相談が多いから、きっと気軽に女性の意見を聞ける相手に、私が丁度良いのだと思うの。人の悩みを、特に恋愛の悩みを勝手に他の人に話すのは悪いし。」

 皆が渋い顔をして黙っている。


ん?何で、皆、その表情?


 ソフィアがマリ姉の後ろで、コソッと聞く。

「これって、リナを狙っていますよね?」

「そうよ。今、王族が忙しくて大変だから、その隙を狙ってきているのよ。あれでハロルドも、逃がした魚は大きいと植物園で会ってから悟ったようで、それから地道に自分を売り込んでいく戦法で今、頑張っているのよ。従兄だし、少しは応援したいじゃない。まあ、負け戦だけど。」


「いいんですか?アルム様は、怒りませんか?」

 リナを横目で見ながら、コソコソと不安げな顔を悟られないように尋ねる。


「だって、アルったら、王族を貶めるのに夢中で、私にかまってくれないのですもの。色々と、けしかけちゃえば、皆、おのおの頑張るでしょ!すると、とっても(私が)楽しくなるわ。」


 (あっ、この人、退屈なんだ)


そう、ソフィアが心の中で思っているなんて、考えもしないだろうリナは、温かい紅茶を飲んで、ニコニコとクッキーを食べていると、


「そうだわ、リナ。この手紙を明日、大臣室に居るアルに届けてくれる?それと、こっちは、宰相室のハロルドに。」

 そう言って、2通の手紙をマリ姉はリナに手渡した。


「それじゃあ、リナ、手紙を頼むわね。そうそう、ソフィアさん、アレクシス殿下へも、よろしくお伝えしておいてね。はあ~これからが、楽しみね!」

 そう言って去っていく、マリ姉の背中を見つめるソフィアの顔は、酷く青ざめていた。



 それから、半年も経たないうちに、リナは結婚した。


   ***


さらに、結婚から3年後。

 今では、アレクシス殿下が陛下に、ソフィアが王妃となっている。


 昨年、ソフィアが王子を産んだことにより、エドワード殿下は臣下にくだり、ハートフィル侯爵領からほど近い、前陛下から分け与えられた領地に、リナと移り住むこととなった。


 そしてそこで、リナは、三月前、女の子を産んだ。

その娘の将来は、ほぼ毎日領地にやってくる母さまの着せ替え人形となることが確定しており、アルム夫妻か陛下のお子と婚約するのではと、噂されている。


 カイルも時々やってきて、娘をとても可愛がってくれている。


 クリスティーナは世界中を夫婦で飛び回りながら、商売をしているようだ。

 定期的に、楽しそうな手紙が届く。


 先日、シャーロットとフィリップがようやく結婚した。


 フィリップの剣の腕が見込まれ、モントローズ辺境伯が婿に欲しがったようだが、実家を継がないといけないからと、丁寧にお断りしたところ、またもや決闘になった。


 三戦勝負で、先に二勝した方が勝ち。

 フィリップが勝ったならば、婿入りを諦めると条件を出された為、一敗した後、鍛錬を積み直した。

その為に時間がかかってしまい、ようやく決着がついたのだ。


 ハロルドは、宰相補佐として働いている。

 未だに結婚はおろか、婚約もしていない。

 時々、父さまの大臣室へ、愚痴りにやってくるらしい。

 内容は教えてもらえない。


 兄さんとマリ姉も結婚し、マリ姉は双子の男女を出産した。

 双子は、とても似ている。

 これでまた、交換ごっこが出来ると、マリ姉が、ほくそ笑みを浮かべたとか?


 現在、私は大変困った事態に陥っている。

 それは、愛娘オリヴィアこと、リヴィちゃんの縁談話が、大量に押し寄せているという事だ。


 まだ産まれたばかりであり、王族ではなくなったので、公表も大々的にはしていないと言うのに。

 1歳に満たない娘のもとへ……何故?


「娘よ、まずいことになっています。」


 溜息をつきながら先日、兄夫婦が我が家に遊びに来た時の話を思い出していた。

 相変わらずラブラブな2人に、縁談話を話したところ、アルムがこう言っていた。


「その縁談話が来るのは、お前の夫、エドワード殿下じゃなかった。今はフォード公爵、あいつが原因だぞ。あいつ、今、毎日アレクの補佐で王城に来ているだろう?そこで、リナに会いたい!娘に会いたい!リナも娘も可愛い!女神だ!天使だ!ってベタ褒めしまくり、無自覚で妻子自慢を、スピーカーのようにアチコチで触れ回っているんだ。お陰で、公爵の愛娘は、神様が天使と見間違うほど、絶世の美しき少女であると言う噂が、市井まで届くほど伝わってるぞ。」


「テッドったら…………この子の将来が心配だわ。兄さん、まずいですよね、どうしたらよいのでしょうか?」


 真剣に相談するリナを横目に、マリ姉は紅茶を口に運び、飲み終えると、ゆっくりカップを置き、

「もうさ、離縁しちゃえば?リナを妻にと望む声は多いわよ。ぶっちゃけ、順番待ちよ。」

 と、発した。


「マリ姉!」

真剣に悩んで相談しているのにと、怒るリナ。


「冗談よ。そうね、リナが王都のタウンハウスに住めばよいのでは?公爵も煩くなくなるし。あっ、そうなったら、私も王都へ住もうかしら?」


「マリアが王都に!?それは良い案だね!リナが我が家の近くに家を持てば、僕も嬉しいよ。父さまも、そうだ、王妃様も喜ぶだろうね。」

「また、毎日楽しくなるわね~。」

 名案だと言い残し、夫婦は満足した顔をして帰っていくのであった。


 それから、リナは、王都にタウンハウスを購入させられ、移り住むことになる。


そこでは、離ればなれが解消され歓喜の涙を流したテッドとリナの間に、第2子、第3子の男子が誕生したり、成長した娘が、貴族達の色恋沙汰に巻き込まれ、よく知るあの男性に助けられて、恋に落ちてしまったり……まあ、それはまた、別の話。



 リナは、これからも、家族と共に力を合わせて、幸せを掴み取るために、信頼する者達の力を借りて、努力を重ねていくのである。


 「兄さん、まずいことになりました。ご教授、お願いします!!」


          --- END---



リナの物語は、完結となります。

番外編の殿下sideは、どうしようか・・。

きっと、殿下御乱心で、凄い事になるだろう。


不細工な文章に、お付き合いくださり、

誠にありがとうございました。

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