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最終話 : 殿下、まずいことになりました

お読みくださりありがとうございます。

皆様の広いお心、大変感謝いたします。


 殿下との会話後、私は急いで兄さんを探した。


 先程のお茶会会場に行く途中で、ソフィアとアレクシス殿下に出くわした。

 何やら2人の間に、不穏な雰囲気が流れている。


 ニコニコと話しているアレクシス殿下に対し、傍から見たら無表情であるが、リナにだけ読み取れる、かなり怒っている表情で殿下を見つめるソフィアがいる。


相手が王族だから顔に出さないのだろうが……。

 何かあったのだろうか?


 私が来たことに気がつき、瞬時に優しい笑顔を向けてくるソフィア。

 顔が変わりすぎだよ~。

 その笑顔こそ王族に向ける顔なんじゃないの??


 そんな彼女を見て苦笑しながら、アレクシス殿下がアルムはもう会場にはいないと教えてくれた。

 会場に居ないのならば、別の場所を探しに行かなくては。

 あとで話そう連絡するとソフィアと約束し、その場を急いで立ち去る。


 少し歩いたところで、柱の陰からスッと、カイルが現れた。

 リナはビクッとして、立ち止まる。


「アルムなら、もうすでに家に帰ったぞ。エドワード殿下の側近の役目も終わったからって。」

「そうなの?」


「本当だよ。そうだ、リナ………………エドワード殿下との事、その……おめでとう……よかったな。幸せになれよ。」

 カイルは少しぎこちないが、笑顔で言ってくれた。


 兄妹のように育ってきたカイルに言われると、何だか照れくさい。

 そう思いながら、

「ええ、ありがとう。カイル。」

 と、微笑んで、お礼を言った。


 そう話し終わると、またねと、足早に我が家の馬車に向かう。


 後ろを振り向くと、カイルは姿を消していて、その向こう側で、アレクシス殿下とソフィアの2人が、じゃれあっているのが見えた。

 アレクシス殿下が積極的に話し掛け、ソフィアが怒った顔、困った顔を、素で出してしまっている。


 男性の前であんなに表情を変えるソフィア、珍しいわ。

 フフッ、何だか微笑ましい。


 馬車の停留場近くまで来ると、シャーロットが建物の柱の陰に隠れて、馬車が止めてある方をコソッと窺っているのが見えた。


「シャーリー、何しているの?」

そう背後から声を掛けると、キャッと声を上げた。


「ご、ごめん。驚かせちゃった?」

心臓を押さえて、息をハーハーと吐きながら、

「だだだ、大丈夫。」

と呟くシャーロット。


「それで、何しているの?」

「そうだよ。さっきから何をしているんだい?」

突然、質問さた私の背後から声がした。


 ヒッと驚いて、勢いよく後ろを振り返ると、真後ろにフィリップが居た。

さらに、ヒーと驚きの声を上げてしまった。


「お、驚かせないでよ。」

「すまん、すまん。ところで、シャーリーは、ずっとそこで何をやっているんですか?」


 ずっとって……。

 フィリップ、もしかして、シャーロットがこうしていたのを、ずっと、どこかから見ていたのかな?

キモいな。


「…………い……です。」

 ん?シャーロット、何か言っているな?

 小さくて聞こえない。

 そう思って、シャーロットに近づき耳を傾けた瞬間。


「ああああ、あなたがいないか、かかかか、確認していたんですよぉぉ。」

 そうシャーロットにしては、大きな声で発した。


 驚いた。


「へ?私、何かシャーリーに嫌われるようなことをやらかしちゃったの?」

「ちが、違います。しししていませんよ。リナではなくてですね、そ、そっちの、あああ、あなたです。」

 シャーロットがフィリップを指さす。


「え?私??あなたじゃなくて、フィリップって呼んでよ。それと、探してくれてありがとう。嬉しいな~私の願いを受け入れてくれるのかな?」

「フィッ、あああ、あなたを、さささ探していたのではないのです。ああ、会わないようにしていたんです。こん、こん、婚約を迫られるから~。」

 そう言ってソッポを向くシャーロット。


「どういう事?」

 ギロリとフィリップを睨みつけて問う。


「いやはや、兄さんが王都から療養で領地に向かった後、ここでずっと静かに暮らしたいから、家は継がないって言い出して、正式に私が家を継ぐことが決まってね。だから、シャーリーに求婚しているんだよ。もう私の趣向もバレているし、私の理想の花嫁。シャーリー、さあ、今すぐ結婚してくれ!!」


 両手を広げて、俺の胸に飛び込んでこいとポーズをとり、シャーロットを見つめるフィリップ。


「はあ~、理解した。シャーリー、あなたも後で私の家に集合よ。ソフィアも呼んでいるから、みんなで相談し合いましょう。フィリップ、あなたは少し待っていなさい。シャーリーが怯えているわよ。怖がらせてはいけないわ。嫌われたら元も子もないでしょう。必ず何かしら返答はさせるから、大人しく家で待っていなさい。」

リナが頭を抱えて、仲裁に入る。


 フィリップは、分かったと言って大人しく去っていった。

 まぁ、どんな返事かは、シャーロット次第だけど。


「ありがとう、リナ。後で話しましょう。」

「ええ、あとで、じっくりとね。連絡するわ。」

 挨拶し、シャーロットと別れ、急いで馬車に乗り込んだ。


 ***


 家に辿り着くと、馬車から飛び出し、駆け足で兄の部屋へ向かう。

ドアをノックし、ハイと返事があったので、息を整えながら入りますと言い、ドアを勢いよく開ける。


「兄さん、まずいことになりました。」


 ハッキリと告げた。


 またかと、兄は少し苦笑いをしながら、今度は何事だい?と聞いてくる。

 私は殿下から聞いた婚約と結婚の話をすると、兄さんの顔がみるみる怒りの表情へと変わっていく。


「ちょっと何だよそれ!手紙にはそんなこと、ひと言も……くそっ、ポンコツのくせに行動が早すぎるだろ。婚約の根回しは了承したけど、結婚はまた、それは別の話だよ。半年だなんて馬鹿げたことを。グァー、早すぎるだろうが。」


 兄さんがワナワナしている。


「そうです、兄さん!殿下に協力してたって、どう言うことですか?」

「えっ?だって、あいつもお前を大事にしてくれるし、嫁ぎ先としても悪くないから、婚約者には合格かなって。それよりも。」


 それから思い立ったように、執務机に駆け寄り、手紙を書き始めた。


「あのポンコツ王子……リナが結婚しちゃったら、あいつの離宮に入るから、会えなくなるじゃないか!リナは、まだまだ、家族と共に居るべきなんだぞ。」

 何やら紙にもの凄い勢いで書き殴っている。


 するとそこに、ドアのノック音が聞こえる。

「入るわよ。」

 言葉と同時に母さまが颯爽と入ってきた。


「リナ、帰ったようね。アルからエドワード殿下の事を少し聞いたのだけど、詳しく知りたいの、さあ、お茶を飲みながら話しましょう。アルも。」

「母さま、ゆっくりお茶を飲んでいる場合ではないかもしれません。」


 手紙を書いていた手を止めて、アルムが真剣な表情で告げる。


「え?どういうことですの?」

 母が怪訝な表情で聞き返した。


 その時、家の前で馬がヒヒーンと馬の鳴き声が響き渡り、馬車の止まる音がした。

 誰かが馬車で急ぎ、我が家に来たようだ。


 皆が誰だ?と、窓辺に近寄り、気にしていると、すぐにドアのノック音がした。

 許可を得て、家令が静かに入ってくる。


「失礼いたします。旦那様がお帰りになりました。皆様、居間へ集まるようにとのことです。」

 分かったと、みんなで返事をし、アルムの部屋を出る。


 どうやら緊急家族会議が開かれるらしい。


 居間のドアの前に立った時、腹黒王族ーーー!!と言った父さまの叫び声が部屋の中から聞こえてきた。


 だが、リナは聞かなかったことにして、ドアを静かにノックした。

 周りを見ると、母さまも兄さんも不敵な笑みを浮かべている。


 入れと父さまの声がして、皆で部屋に入って行く。

 それぞれが、自分の定位置のソファに腰かけ、顔を見合わせる。


「さあ、話を聞かせて貰おうか。」

 そう父さまがリナに、大臣室で部下に見せる威圧感を含んだ笑みを向けて言った。


 リナは、ゴクリと唾を飲み込む。

 殿下から聞いた話を一通り話し終えて、見渡す。

 皆がいい顔をしている。

とても、いい顔を……怖い。


 まずは兄さんが、懐から紐で括られた分厚い紙束を引っ張り出し、話始める。


「父さま、何から始めようか。内政大臣業務の為に、色々調べあげてはいるけど、どの案件を公表する?それとも、一気に全部公表しちゃう?あっ、僕はね、コレがオススメ。前々から早く公表したかったんだよね。殿下もだけど、陛下も度肝を抜くだろうね。」


 父さまが、先程とは違う優しい笑みを浮かべて答える。


「フッ、一気には駄目だ。じっくりゆっくり時間をかけて、王族様には苦しん……解決してもらおうじゃないか。それから、結婚の時期は早すぎると、世論を誘導しよう。私も手伝うが、アル、マリアに頼んで貰えるか?リナをまだ、ゆっくり家に居させてあげたいのだと。」


「ええ、もちろん頼んでみます。マリアは、リナが好きだから、会えなくなると知ったら寂しいでしょうから、喜んで協力してくれますよ。あのアホ令嬢の時も、もう飽きたからって、学院の皆を誘導し、カイルをけしかけ、アレクを動かし、貴族、王妃さえも裏で操作し、容易く動かしていましたからね。見事な手腕を発揮していました。マリアは本当に素晴らしい!」

「ハハッ、頼もしいな。我が家の未来の嫁さんは。」


 楽しそうな会話に、母さまが割って入ります。


「それもいいけど、どうせなら、エドワード殿下に公爵領に住んでもらいましょうよ~。確か、我が領の少し南に行った土地、あそこは王家管轄の領地だったはず。あそこを分配させて来てもらいましょう。あそこならば、馬車を走らせれば、半日と掛からないわ。いつでもリナに会いに行ける。離宮だと会いに行けないもの。善は急げよね。」


「それもいいね。我が家と親類関係になることを、エドワード殿下には、心から喜んでもらわないと。」

 兄さんが天使の笑みで、意味深な台詞を吐いています。

 

 どうやら、まだまだ家族会議は続くらしい。


 これからこの家族でどんな話し合いをして、何が決まるのか、不安でたまらない。


 「殿下、まずいことになりました。」


 心の中で、リナはそう呟き。


 これからは、エドワード殿下と2人で頑張っていこうと、

 密かに気合をいれるのであった。 


           - END -


ひとまず、完結いたしました。


このあと、ちょっと未来の話、続き?

書き足りなかった部分を、番外編として1つ書きました。


よかったら、また、お立ち寄りください。


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