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自白と告白1

読んでくださりありがとうございます

 

リナは今日、ある決意を持ち登城していた。


 あの、ソフィア叱りのお茶会以降、リナは恋愛に対する気持ちも、きちんと向き合い、考えることにしている。


 その結果、殿下の気持ちに、自分が気が付いている以上、この変装をしていること、殿下を騙していることを、正直に話して謝罪したいと考えたのだ。


 そう、昨夜決意し、兄と父に伝えたのだった。

 家に迷惑を掛けるかもしれないが、殿下に真実を打ち明けたいと……。

 2人は了承してくれた。


 今日は、午前中に書類整理、午後は帝王学の講義があった。

 今は講義後で、いつもならば、この後はお茶会へと言う流れになっている。


 それと先程まで、講師の方が熱心に次の講義の誘いをしてくれていたけれど、リナは頑なにお断りをした。

 最後は残念そうに、講師は去っていった。


そして、二人は向かい合いお茶をする。


「今日はどうでした?また受けてみませんか?」

 エドワード殿下が、静かに尋ねてくる。


「帝王学は興味深いですが、私はこれ以上、この講義を共に受けることは出来ません。殿下も公務が増え、外部へ出かける機会が増えていますし、私が居ては講師の負担となり、御迷惑になっておりますので。これから講師の方々には、殿下おひとりの為に、力を注いでいただきたいのです。」


「そうですか……それではまた私の公務が落ち着いた頃に、一緒に受けましょう。」

 エドワード殿下が寂しげな顔で提案する。


 リナはそれに対する返答はしない。

「……例の案件の公務は始まったばかりです。国の管轄地域での道路整備とその周辺の領地の整備が整えば、行き来しやすくなりますね。どの領主もそこまで資金繰りが回らず、主要道路ではないので、やりたいけれど、後回しになっていた場所でしたから、国からの補助金と協力は、大変ありがたい発案であったと聞き存じております。」


「ええ、私も早く整備が完了し、その土地へ赴くのを楽しみにしている。そうだ、アルムは、どこか行ってみたい場所とかはないのかい?」

「行ってみたい場所ですか?そうですね、王都の植物園でしょうか。人気があると人伝に聞きまして……興味があるのですが、まだ行けてなくて。」


「そこなら私は、開園前に視察で行ったよ。温室には多くの種類の植物があって、見たことの無い変わった植物があって、とても興味深かったんだ。それに、色とりどりの花が咲き誇る綺麗な場所もあった。さらに進むと王城の庭園のようなバラ園があってね、いつものように、お茶が飲みたいなと思ってしまったよ。そうだ、今度、私と一緒に行かないか?」


嬉しそうな殿下とは対照的に、悲しい表情で、リナは黙り込んでいた。

殿下はその表情に気づき、笑顔をしまった。


 少しの沈黙のあと、リナが言った。


「殿下、お話しがあります。」


 エドワード殿下の話に返答せず、リナはいつもの無表情を作ろうことなく、思いつめた表情での言葉だった。


 その時の声がいつもよりハッキリと、そして、アルムに似せるための少し低くした声ではなく、リナの本来の少し高い女性の声で、強く発言したのだ。


 部屋の中にいた者達に、何かあるのだと、一瞬で感じさせ、緊張が走った。


 それにいち早く反応したカイルが、2人のいるテーブルに近寄り声を掛ける。

「おい、アルム。何かあったのか?」


 リナは、その言葉には返事をせず、行動を始めた。


 眼鏡を外し、左目下を擦り、メイクを落とす、泣き黒子が現れた。

 背中に閉まっていた髪の束を出し、リボンを解く。

 腰まである煌めくアッシュブロンドの長髪が、大きく揺れて露わになった。

 そして、告げた。


「私は、リナ・ハートフィルです。アルム・ハートフィルではありません。エドワード殿下。」

 そう言い放つと、リナは殿下をじっと見つめた。


 殿下が驚く様子ではなく、戸惑った表情をしているのに気づき、殿下は、やはり交換ごっこには気が付いていたのだと、リナは見抜いた。


 知っていて毎日会っているのならば、そこまで処罰は重くはならないだろうと予測し、リナは少し案著する。

 そして、話を続けた。


「3年前の冬、殿下への定期報告の日に、兄が高熱を出して王城へ行けなくなった為、私が兄に変装して、定期報告へ行きました。それからずっと、忙しい兄に代わり、私が来ておりました。今日まで、このことを隠し、騙していたことを謝罪いたします。申し訳ございませんでした。定期報告の件は、父は関与しておりません。昨夜、兄と話し合い、父にも報告し、本当の事を殿下に話すことを承諾してもらいました。2人で決めしてしまったことですので、殿下からの処罰は、ハートフィル侯爵家ではなく、私達兄妹、個人に下していただきたいのです。お願いいたします。」

深く頭を下げる。


浅く、息をひとつ吐き、続ける。


「それから、このブローチですが……このように王族をだますような私が、受け取ることは出来ません。お返しいたします。」


すっと、机の上にブローチを出し、殿下の目の前に置いた。


「このような私に、これまで良くしていただき、感謝いたします。私はどんな処罰でもお受けいたします。兄には、どうか温情を与えてください。処罰が決定するまで、兄と共に自宅で待機しております。それでは、これにて、失礼させていただきます。」


 最後の方、リナが早口で言い終わると、講義室には沈黙が流れた。


 殿下が何も言葉を発しないので、リナはスッと席を立ち、部屋をゆっくり静かに出て行った。


 リナは部屋を出て、一度、大きく深呼吸した。


 しかし、激しく動揺した気持ちが治まらない。

 そして、この動揺する気持ちが自分の中にあることが、さらに気持ちをかき乱した。


 冷静を取り戻すために、アルムの眼鏡を掛けた。


 無表情を作り、これから大変なことになるぞと、気持ちを無理やり切り替える。


すぐに父さまに報告しなければと、気合を入れ、急いで大臣室へ向かう。

 速足をしながら手早く髪の毛を一本に結びなおし、服の中にしまった。

王城(ここ)ではまだ、男装(アルム)でいなければ……。


 必死で足を動かしていた。

 何も考えないように。

ただひたすら大臣室を目指した。


 殿下……何も言ってくれなかったなぁ……。



長いので、2分割します。

殿下が頑張るところを

後程、投稿します。

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