表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/52

勲章披露会当日

お読みくださりありがとうございます

披露会、会場入りです。

お心を宇宙のように広く持ち、お読みください。


 

勲章披露会の日。


 披露会は夕方からと言うのに朝から家の中は忙しく準備をしていた。

 母さまに呼ばれて、部屋へ行くと、 胸元が少し開き煌びやかな薔薇の刺繍が見事に映える瑠璃色のドレスが飾られていた。


「今日はこのドレスを着てね。」


「はい、母さま。あの、母さま、宝飾品ですが、このブローチを着けたいのですが。」

 そう言ってブローチを見せる。


「こ、これは?え……エドワード殿下からいただいたのですか?」

 母さまが、体をワナワナさせ、聞いてくる。


「ええ、分かりますか?高価なものですものね。この前のお茶会でのお詫びの品にといただきました。とても綺麗なので着けていきたいのですが……。」


「ダメです!いけません。あ、いえ、きょ、今日のドレスは胸元が少し開いたデザインですから、ブローチは絶対に似合わないでしょう。今度にいたしなさい。」

「そうですね。そうします。」


 残念そうに宝飾箱にブローチを仕舞いに行く娘を見ながら、


「くそっ、あいつは、やはり腹黒だったわ。」

 ボソッと母親が呟く。


至近距離にいた侍女以外、聞こえていない。

 この侍女は昔からの母さま就きで、慣れているので反応はしない。


 それから、ドレスを着る前の風呂場での磨き上げとコルセットを閉める儀式を終え、ドレスを着用し、化粧を施し、胸元に意識が集中しないように、首元に煌びやかな宝飾品を着け、頭をまとめ、白バラの髪飾りを着けて出来上がる。


 うんうんと大きく頷き。

 出来上がりに満足したようで、母さまも自分の準備に本腰を入れ取り掛かった。


 リナは、皆の用意が出来るまで、自室で本を読んで待っている。

 机の隅に手紙が置いてある。

 チラッとそれを垣間見る。


 昨日、ハロルドから届いたばかりの手紙で、内容は今度、王都の植物園へ2人で行かないかというデートの誘いだった。

 返事をどうしようか悩んでいるのだ。


 カイルも一緒だったのもあるだろうが、先日の遠乗りは楽しかった。

 それに、ドキドキもした。

 自分の全く知らない男性への感情や一面を知った。


 これが恋というものなのだろうか??


 そんな自分の気持ちをもっと知りたいという思いもある。

 しかし、誘いに乗れば、ハロルドに好意を持っているとみなされるだろう。

 自分の気持ちが分からない以上、この行動は軽率ではないか?


 指先で弄る本のページは捲られない。

 そうこうしているうちに迎えが呼びに来る、会場へと向かうための馬車に乗る。

 もうすでに兄さんが乗っており、リナの後に両親がきた。

ゆったりと4人が座れる馬車だ。


 馬車が動き始めてしばらくした時に

「今夜、リナは瑠璃色のドレスなんだね。とても似合ってる。」

 兄さんが話し掛けてきたので、母さまが選んだと教えた。


「母さまは、まだリナを手放す気はないようだね。そのドレスは、我が家の花の薔薇にバナーの色だ。」

「そう!そうやって気付く者がいると助かるわ。」

 そう母さまが言うと、父さまが苦笑いをした。


「そうだったのね。分からなかったわ。母さま、ありがとう。社交の苦手な私に、気を配ってくれたのね。」


ニコッと微笑むと、母さまは慈愛に満ちた眼差しを向けている。

 馬車にしばらく揺られたのち、会場に着く。


 会場へ入っていくと、かなり豪華で大規模であった。

 この勲章により、王家から得た信頼の証なのだろう。


 まずは、主催のモントローズ辺境伯のもとへ、家族で挨拶に向かった。


 カイルの情報通り、見た目は強面であるが、気のいい、気さくな方の様で、奥さまはもちろん、子息も大らかであった。

 赤毛の令嬢だけが、終始、怯えるような印象で、一歩下がり子息に隠れる様に縮こまっていた。


 リナは、家族が伯爵らと話している間に、彼女にそっと近づき、優しく語りかけてみた。


「ごきげんよう。シャーロット様。私はリナ・ハートフィル。今は、お忙しいようだから、あとで、ゆっくりお話しましょう。」

 そう伝え、ニコッと笑う。


 すると

「ぜ、ぜぜひ。」

 そう、シャーロットが小さくだが返事をしてきた。


 またねと小さく手を振りながら言い、歓談の終えた家族と共にその場を後にした。

 両親と共に付き合いのある貴族に挨拶をして、一曲、兄さんと踊り、いつものように会場の隅へと移動する。


 そこには、ソフィアがいた。


「やっと来たわね。待ちくたびれたわ。クリスはもう行動始めちゃったわよ。」

「ごめんなさい。久々だったから、挨拶周りが多かったのよ。」


 クリスとは、クリスティーナ・リンジー、 リンジー子爵家の令嬢だ。

 彼女は、容姿が可愛すぎるので、殿方にモテる。

兎に角、モテる。


彼女がある殿方に気に入られてしまった時に、それをひがんだ、彼女の家より爵位の高い令嬢が、取巻きと共に彼女を囲っていたのを、誤解を解き、助けたのがきっかけで、仲良くなった。


 彼女は、ピンクブロントの髪をなびかせ、愛嬌たっぷりで、とても話し上手である。

 それを武器に情報を集める凄腕諜報員なのではないかと、私達は密かに考えている。

中身はかなり男前である。


 彼女が言うには、リナ達が夜会にあまり出ないので、暇つぶしで始めたらしいのだが、それが結構面白く、趣味になってしまったらしい。


「あ、帰ってきたわよ。」

「リナ、やっと来たね。」

「ええ、遅くなってごめんなさい。」

「フフッ、今日も綺麗。」

「ありがとう、クリスこそ、今日はより一層、可愛いわ。」

「さすが、ご令嬢の挨拶。煽て合いはそれくらいにして。それでクリスは何を聞いてきたの?」


「そうそう、今夜は、あの噂のアーハイム公爵子息、ハロルド様が来ているから、情報を集めて来たわ。ほら、あそこの御令嬢達に囲まれている人がそうよ。」


クリスティーナが指さす方向を見ると、多くの令嬢の中心に一人の背の高い男が、にこやかに話をしている。


 ハロルドだ。



ご令嬢に囲まれるハロルド発見。

次回へつづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ