お詫びのブローチ
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少し短いです。
折り返し地点。少しずつ動きはじめます。
翌日、王城にて。
「それで、アルムはなんて?」
カイルが聞いてくる。
「騎士団の方へは行くことがないようにしてきたって、くれぐれも奴に気を付ける様に、カイルと行動しろって。」
「そうか、分かった。」
大臣室からの帰り道、カイルと話す。
「あっ、カイルは、モントローズ辺境伯って、知ってる?」
「もちろん、騎士で知らない奴は偽物だってくらい有名な人だ。あの一族は、騎乗戦に優れていて、どんな厳しい地形でも、見事に馬を操り勝利してしまうんだ。さらに、辺境伯は、弓の腕も、剣術も凄いんだ。一度でいいから、お手合わせしたい。」
「へぇ、有名な人だったのね。」
「それで?モントローズ辺境伯がなんだ……ああそうか、お前も行くのか?勲章披露会。」
「うん、行くことになったから、どんな人なのか知りたかったの。カイルも行くの?」
「俺は騎士だから、勲章披露に招待されれば顔を出す。辺境伯は……そうだな、顔は滅茶苦茶怖いけど、普段の人柄は温厚だぞ。それに子煩悩らしい。」
「子煩悩?」
「ああ、子供になにかあれば、鬼と化すらしい。戦の時より怖いとか。」
「そ、そうなの?」
その辺境伯の娘さんと友人になるようにと言われているなんて、少し緊張する。
しかし、辺境伯が子煩悩だろうと、友人になるのは娘となのだから関係ないと、思い直し、その点は気にしないことにした。
執務室に戻ると、殿下が何やらソワソワして待っていた。
「帝王学の講義に行くのだが、君も行かないか?」
殿下が何やら、もじもじしている。
私は、チラッとカイルをみる。
「好きにすれば。」
と小声で言うので、前に約束をしてしまっているし、了承し行くことにした。
そして講義終了後、教師に褒められ気分をよくしたリナは、教師と殿下の会話に乗せられ、またもや次の講義も受けることを約束してしまった。
またやってしまったと、後悔したのは外でもない。
さらに気が付くと、侍女によりお茶の用意がされていて、座るように殿下に椅子をひかれ促された。
そして流されるまま、お茶をしながら講義談義をしつつ、殿下と他愛ない話をした。
しばらくして、
「これ、この前のお詫びに受け取ってくれないか。」
殿下が何やら渡してきた。
箱を開ける。
「ブローチですか?」
小さなダイヤモンドを並べて作られた四葉のクローバーの中央にイエローダイヤモンドが一つ添えられている。
とても高価なものだ。
これを男のアルムに贈るのか???と、殿下への個人的趣向の疑惑を持ちつつ、どう対応するべきか悩んでいると、
「ええっと、それをリナ嬢へ渡してほしい。」
自分にと言われ、驚いた。
「そんな、お茶会でのことでしたら、気にすることないですよ。妹も気にしていませんし、このような高価な品をいただくわけにはいきません。」
思わず、少し強く拒否してしまった。
「いや、私が悪いのだ。あのようなことを考え無しで言ってしまい。申し訳なく。お詫びをしないと、私の気が済まない。リナ嬢にどうしても嫌われたくない。私の気持ちを彼女に受け取ってもらいたいのだ。頼む。」
断っても、必死で何度もお願いされてしまい……。
その気迫に、
「エドワード殿下…いや…でも…うっ…はぁ…分かりました。お預かりします。」
思わず折れてしまった。
お詫びの品……ブローチ。
両手を包むように握らされる。
「へへっ、よかった。貰ってくれて、ありがとう。着けてもらえると、私は嬉しい。」
殿下はそう言って、顔をクシャッとし微笑んだ。
そんな殿下を、リナは、とても可愛らしく思った。
その時、自分の心臓がトクンと跳ねた……ような?
…………ん?体調が悪いのかしら?
殿下がブローチを渡しました。
結構、本人は頑張って渡したんですよ。そして、腹黒策士なんです。
次回、ハロルドのターン。




