エドワードside : 殿下は嫌われたくない
お読みくださりありがとうございます
エドワード視点です。
お茶会後からです。
うう、まずい、まずいよな。
朝一番で謝ったけれど、それは、アルムに向けての謝罪ととらえているだろうし、先日の失態、リナの中の僕の好感度ガタ落ちだよな。
やっぱり嫌われたかな?
どうしたらいいんだろう……。
ん?休憩?お茶?
リナがこんな俺を気づかってくれているのか!?
あんなことをしでかしてしまったのに、聖女様かよ。
あっ、それが仕事だから……とは思いたくない。
嫌われたくないな。
「殿下、何かあったんですか?もしかして、リナのことですか?アレクシス殿下から少しあなたの話を聞きました。まさか、あなたがリナ狙いだったなんて……アルムが協力しているのが、もの凄く怖いんですけど、何を取引しているかは聞きませんが、リナを困らせる事だけは、やめてください。」
カイル、お前いい奴だったんだな。
ってか、兄上、俺の気持ち……気づいていたんですか!
まぁ、よい、リナは、どうせ直ぐに俺の嫁になるのだ。
そう兄上の義妹に。
遅かれ早かれ、知るのだから。
それより、折角だし、リナを良く知るカイルに相談してみよう。
「私はリナを困らせているのか?」
「今日は、朝からずっと、ご様子がおかしいので、殿下を心配したリナが休憩を入れたのですよ。」
うう、リナに心配されている。
幸せだ。
「そうか、先日のお茶会で粗相をしたから、リナを怒らせてしまったのかと思って、気が気じゃなかったのだ。」
「はぁ、そんなことで様子がおかしかったんですか、さっさとお詫びの品でも送って謝ればいいんですよ、心配して損した。リナはそんなことでは怒りませんから、謝れば、きっとすんなり受け入れてくれますよ。」
リナが帰ってきたので、早速謝ってみた。
「先日のことで、あの、お茶会の、私が迷惑なことを言ってしまったので、君に謝りたくて。あの、その、すまなかった。」
「朝も謝罪をいただきましたし、もう気にしていませんから。それに、あの後、ハロルドが家に来て話したのですが、良い奴でしたし、殿下が気にすることなど、いっさいありませんから。」
え?どういうこと?ハロルドが家に来たの?
婚約の話が進んだって事?
え?何も気にしてない?
いやいや、ちょっとは気にしてよ。
俺がやきもち焼いてるって気づいて!
リナがハロルドの婚約者になったら、俺死んじゃうから。
君は僕のお嫁さんになるんだよ。
あぁ~、考えたくない。
俺以外の奴と婚約とか考えたくないよー。
もう全力で仕事しよう・・。
「うぅ、カイル、どうしよう、僕のいいところ全く見せられないまま、リナがあの似非紳士野郎に取られてしまう……。」
「はぁ、分かりました。このままだと、仕事が進まないし。確か、今日、騎士団の方で模擬戦があるはずなので、騎士団長殿に話をしてみます。午後はリナを連れて行きましょう。そこで殿下の剣の腕を見せたらいいんですよ。いつも執務室の殿下しか、リナは見ていないので、きっと腕っぷしの強い、いつもとは違う凛々しい姿の殿下を見て、リナも見直すと思いますよ。」
「おお、そうか、よし、頑張って良いところを見せないとな。」
***
ん?あいつは誰だ?リナと話しているあいつ?
知り合いなのか?
男装しているのを知っているのか?
なんか、距離、おいおいおいおい、近い!
俺の、俺の嫁に近づくなー。
直ぐに、直ぐに助けに行かねば。
「最悪だ。」
「何が最悪なんだい?」
なんだ?あいつ、ヤバい奴なのか?
俺の嫁がピンチか!絶対守るぞ。
「それで、最悪なこととは?困りごとがあるのか?」
「いいえ、なんでもありません。」
隠さずに話してほしい。
俺が絶対に守るのに……。
なんでも言ってくれよ。
ちょっと副団長、今、リナから聞き出しているところだから、邪魔しないでよ。
はぁ、仕方がない、後回しだ。
とりあえず、今はリナに、いいところを見せんとな。
見直してもらわないと。
よっし、観覧時の隣の席は、ゲットだぜ。
あっ、リナ座るの?
ハンカチ、ハンカチ。
おしりに敷くように差し出さないと。
ああっ、しまった、今はアルムなのだったな。
男がハンカチなんて敷いていたら、逆に恥をかいてしまうところだった。
気を取り直して、良いところ見せるぞ大作戦。
絶対に、カーツ!!!!!!
ガイムだったか、圧勝してやる。
よしよしよーし、勝った!勝ったー!
どうだ!わざわざ、カッコよく見える勝ち方にしたんだぜー。
リナに聞きに行かなきゃ、見てくれたかな、惚れてくれたかな?
「殿下、剣技が達者なのですね。えっと、凄く見直しました。」
よっし!
やったーやったぞー!
その言葉を待っていたんだ。
世界の皆、俺はやり遂げた。
嫁に惚れさせることに成功した。
僕達、絶対結婚します。
はい、まずは婚約ですよね。
***
執務室まで、隣歩いてくれないかな……。
はぁ~、リナは可愛いな。
もう告っていいかな~。
好きになってもらえたかな。
ん?あいつ、さっきの鬱陶しい奴、また、リナに絡んできた。
話?何だ?ここで出来ないのか?嫌だよ。
俺も一緒に話聞くよ。
クソッ、あいつは、なんなんだよ!
執務室に帰ってきてから、リナ、落ち込んでいるな。
「どうかなさいましたか?」
「どうかしたのは、アルムの方だろう。あの男は何だ?なぜ話し掛けてきた。」
「あぁ、いえ、特に用事は無かったのですが、昔から面白い奴ですし、ただ単に暇つぶしに少し話がしたかったようでした。」
明らかに嘘だし、悩みを聞いてあげたい、不安を取り除いてあげたい。
俺はそんなことの許される関係になりたいんだ。
一番近くに居て、守ってあげたいんだ。
好きなのに。
君の傍にいたいんだ。
***
「おはようございます。殿下、早速ですが、もう、リナを近衛以外の騎士団員に会わせないように協力してください。」
あれ、なんで今日、アルムが来た?
「え?今日、リナは?」
「昨日、ちょっとしたアクシデントがあったようなので、今日は休ませました。僕はこれから、ちょっくら騎士団の方へ行ってきますので、殿下は仕事していてください。あと、この通り、今日は僕なのでカイルも来ません。それでは。」
何があった?
やはり、昨日接触してきた奴か?
あいつはなんだ?
リナに会わせないって、リナにとって危険な奴なのか?
「ただいま戻りましたって、殿下、顔、凄いことになっていますよ。」
「あいつを、昨日の騎士団員を、やめさせればいいのか?それとも処刑するか?」
「あっ、いや、あいつは僕の学友でもあるので、出来れば解雇も処刑も、しないであげてください。」
「でも、リナにとって危険なんだろう?」
「ん~?確かにリナにはあまり接触してほしくない相手ではありますね。でも、解雇も処刑もしなくていいです。自分のせいであいつが酷い目に遭ったと、リナが知ったら悲しみますので。ただ、騎士団員が入って来られる敷地には、リナをあまり行かせないようにしてくれれば、あいつには会わないと思うので、そこのところを徹底して、よろしくお願いします。」
「ああ、分かった。絶対に、絶対に、まも~る!未来の僕の奥さん。絶対に守って見せる。」
「殿下、僕の前だとよく声に出しますよね。一応、僕はリナの兄ですからね。絞めますよ。」
「分かっている。だから、僕の情熱を未来の兄上に伝えているのだ。」
「殿下、伝える相手を間違えています。僕じゃなくて、妹に心を伝えてください。」
「だって、リナの前だと緊張して、肝心な言葉が出なくなるんだもん……。」
「……クソが。」
アルムは終始無表情だが、無言の無表情の圧力で、さらに室温が冷える気配がした。
ドア近辺の騎士は身震いをした。
徐々に、殿下も頑張り始めました。
頑張れ、殿下。




