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夏の物語  作者: 皐月 朔
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山道を歩く

 蝉の声に囲まれて、永遠と山道を登っていく。

 前後には誰も居ない。

 一人だ。

 この山道がどこに続いているのかもわからないし、そもそもこの山道を登る必要があったのかどうかもわからない。

 わかるのはただ今俺が山道を登っている、という事実であり、そして夏の山はとてつもなく不快指数が高い、ということだ。休むために立ち止まれば立ち所に虫が寄ってくる。虫をどうにかしようとして動けば暑くなる、という悪循環がそこにはある。

「一人でどこにトリップしてんのよ」

 突如として後ろから声が聞こえた。女の声だ。が、聞き覚えがない。とうとう暑さにやられて俺の頭もおかしくなったか・・・・・・!

 と、そんなことを想像していると後ろから結構な強さで小突かれた。

「暴力反対」

「とっとと歩け」

 平和への祈りは一方的な命令で断ち切られた。

 俺はため息をつく。

 前を改めてみれば、俺と同じ年恰好の少年少女たちが荷物を背負って山道を登っている。皆一様にその額に汗を流し、前後にいる仲の良い友人たちと話しながら足を進めていた。

 俺は振り返り、先ほど俺を小突いてきた人物を見やる。

 そこには黒髪をツインテールにし、黒ぶちの眼鏡をかけたおとなしそうな少女がいた。

 が、見た目に騙されてはいけない。この女、なかなかに暴力的なのだ。一言で自分の主張が通らないとなると、すぐに手を出すバイオレンスな女子である。

 俺は妄想ごっこを取りやめ、委員長の命令どうりに山道を歩き始める。

 全く・・・・・・。どうして遠足で荷物担いで山道を3キロも歩かなければいけないのか。

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