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夏の物語  作者: 皐月 朔
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森に逃げ込む

 森に足を踏み入れると、それまで降り注いでいた日差しが遮られる。

 日差しから逃げるようにして森の影に入ったので、思わず口からため息が漏れた。

 上を見上げれば、葉の隙間を縫うようにして日の光が差し込んでおり、これぐらいの日の量なら落ち着くな、と思う。

 しばらく新緑の中を歩き、落ち着ける場所を探す。

 この森に入るのは決して初めてではないが、隅々まで知っている、というわけでもない。加えて、いつもであればそれなりに山歩き用の装備を整えて森に入るのだが、今日は嫌なことから逃げるようにして森の中に入ってきてしまったので、いつもよりも気をつけて歩かないと足を滑らせてしまう恐れもある。

 空から緑がさすような光景のつづく森の中を歩いていると、森に入る前に抱えていた嫌な気持ちがだんだんと静まってくる。

 足を止め、ちょうどそばにあった岩に腰掛ける。

 ズボンが汚れてしまうが気にしない。汚れたズボンは洗えばいい。

 ズボンのことを考え、また少し憂鬱になる。汚れたズボンを洗うように、自分の放った言葉も綺麗になくすことができればいいと思う。

「そんなことできないとは、わかってんだけどよ」

 言って、森の外に置いてきてしまった友人を思った。きっといつものように友人は元の場所で笑いながら待っていることだろう。そしてそのことがまた彼を傷つける。

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