6.決断
どーも、第6話担当のGreaです。
うん、思い付くがままに書いた結果がこれだよ!
誤字脱字その他表現が変なところは許してやってください、小説公開するのとか初めてなんで(´・ω・`)
それでは、どーぞ!
「……俺、は」
俺は今、人生最大の難題を突きつけられている。
もしここで家臣になることを選択したら、自分の命の無事は保証されるが、リィンに嫌われる……じゃなくて、人殺しに成り下がってしまう。だがここで《裏世界の主》に歯向かうことを選択すれば、《ロキ》の手で俺達は殺されてしまう。自分が死ぬのは嫌だ。けれどそれ以上にリィンを失うことが怖く、許せなかった。
ああもう!どーすりゃいいんだこれ!
こんなとき、アイツがいてくれれば……
「……アイド?」
「……はっ、な、なに?」
俺はリィンに名前を呼ばれ、我に返る。
「大丈夫?」
「あ、うん、ちょっと考え事……」
「ねーねー、そろそろ決めたらー?」
俺達の会話は、《裏世界の主》の声によって遮られる。
「早く決めちゃいなよー、そろそろ退屈してきたよー」
「……っ」
〝退屈してきたよ〟という言葉を聞いたとたん、頭の中に電撃が走った。
あの時も、こうだった。いつまでも俺がうじうじしてたせいで、アイツは……
……もう二度と、あんなことは繰り返させない。
「そんなにすぐ決められるわけないでしょ!?大体、何が目的でこんなことをっ」
「…わかった」
俺の口から放たれた言葉は、家臣となることを受け入れることを意味していた。
「ちょっとアイド!?なに言ってるの!?貴方は、こんな奴らに加担してなんの罪もない人を殺すと言うの!?そんなの…」
「リィン」
俺は名前を呼び、激昂するリィンを制す。
「俺だって、家臣になんかなりたくないよ」
「えっ、じゃ、じゃあなんでっ」
「でも、まだ現実世界に思い残したことがたくさんある」
「だ、だからと言ってっ」
「じゃあリィンは自分が死んでもいいの?」
「っ……!」
人間は、"死"という言葉に弱いのだろうか。リィンは、黙り込んでしまった。
俺だって、進んで他のプレイヤーを進んで死へ追いやろうとは思わない。そんなこと、出来ることならやりたくない。だけど俺は、こんなところで死ぬわけにはいかない。
──大切な人を、ちゃんと守ってあげてね──
……リィンを、守るために。
「……リィン」
「…なに?」
「……今は、受け入れよう」
「…アイド……」
俺はリィンの目をじっと見つめる、
「…わかった」
リィンが家臣になることを受け入れたところで、《裏世界の主》が口を開いた。
「「それじゃあ、家臣になるための儀式を始めようか!」」
《裏世界の主》はそう告げると、謎の呪文を唱えた。すると俺達の身体は漆黒の闇に包まれる。
意識が遠のき、身体の感覚も薄れていく。
「…なぁ、リィン」
「…ん?」
俺は意識が消えていくなか、リィンに呼び掛ける。
「……お、俺、リィンのこと、守るから」
「………………ぷっ」
「わ、笑うなっ!」
渾身の決め台詞を笑われてしまった。
「だってっ、柄にもないこと言うんだもんっ、あははっ」
「た、たまにはいいじゃんかー」
「ふふっ、……頼りにしてるよ、和也っ」
「っ……!」
視界が悪くなっていく中、リィンは俺に微笑んだ。
その笑みはとても美しくて……
「……もちろんだっ」
俺は顔が赤くなるのを隠しながら、リィンの手を握る。
リィンの手は、震えていた。
「それじゃあー…」
「「いってらっしゃーい!」」
《裏世界の主》に見送られながら、俺達は《裏箱庭》のフィールドへと旅立った。
*
Side 沖田 翔
「破壊する、者……」
俺、沖田 翔ことシオルは、彼女の口から告げられた言葉を反芻していた。
「そう。見事なまでにぴったりね」
「あ、ああ……」
……って、俺はそんなことを聞きたくてここにきたわけじゃない。
「あ、あのさっ」
「なんでしょう?」
「君はこれからどうするつもりなんだ?」
「なぜそれを初対面の貴方に話さなければいけないのですか?」
うっ……相変わらず感じ悪いな。
「いや、その、俺、知り合いいないしっ」
「パーティーを組むというなら他を当たってください。私、ソロでやるので」
「なん……だと……」
なんてこった……どうしよう、このままじゃぼっちルート確定だぁぁぁ……
せめて和也とかがいてくれれば……
「……何もそこまで項垂れなくても…」
今の俺の姿勢は正にOTZだった。
「誰か…友達に……なって……」
「……はぁ、しょうがないですね」
「えっ?」
俺は耳を疑った。え、これってまさか、おっ?
「…私と決闘をして、貴方が勝ったらパーティーを組んでもいいですよ」
「…!?」
待て待て待て待て。おい。ちょっと待て。
初対面の相手と決闘!?えぇ!?勝てるわけねぇよ!ンヒィィィ!!
「けれどもし私が勝ったら……」
「か、勝ったら……?」
俺はその先にある言葉に耳を傾ける。
「……持ってるもの全部置いて、私の前から消えなさい」
「……ファッ!?」
やばいって。これ。絶対やばいって。
俺の生存本能が「今すぐ逃げろ」と喚き散らすが、足が全く動かない。
逃げろ、逃げろ俺……
「それでは、とっとと始めてしまいましょうか」
「え……あ、あ…」
彼女はすたすたと酒場から出ていく。
「えっ、ちょ、おま、待ってくれっ」
俺は彼女の靡く水色のツインテールを見失わぬよう、大勢の人を掻き分けながら、むさ苦しい酒場から出た。
*
Side 橘 瑠璃菜
(はぁー……)
全く、面倒なものに目をつけられたものだ。
私は今、決闘が出来るような広い場所を探している。
(勢いであんなことを言ってしまったけれど……大丈夫かな)
正直、勝てるかどうかは五分五分な気がしてる。
現実では剣道で三段を持っているので、ある程度剣術には自信がある。
けれどここは《箱庭》。現実世界と勝手が違うかもしれない。
(……はぁ、つくづくついてないや)
仮想世界に閉じ込められるわ、変な男に話しかけられるわ……
(まぁ、いいわ。勝てばいいだけの話。男になんて、興味ないし)
私はとある女の子の顔を瞼の裏に浮かべる。
(……好きだよ、カンナ)
私はその子に思いを馳せるのに夢中になっていたせいで、《ノルン》の外れにまで来てしまった。けれど怪我の功名なのか、適当な場所を見つけた。
「よし、ここにしましょう」
そこは剣道場くらいの小さな広場。
「決闘のルールは単純。一本入れたら勝ち。但し寸止めね」
「あ、あのー……」
「なにか文句でも?」
「大変申し上げにくいのですが……武器、持ってないんです…」
「……はぁ?」
*
Side 沖田 翔
とりあえず水色のツインテールを追いかけていたら、いつの間にか町の外れに来ていた。
そしてそこで俺は重大なことに気づく。
(武器持ってねぇ……!)
やばいやばいやばいやばい。戦えないじゃん。どうしよ。
これはもう素直に土下座するしか……
「よし、ここにしましょう」
そうこうしてるうちに場所決まっちゃってたアァァァ!?
「決闘のルールは単純。一本入れたら勝ち。但し寸止めね」
「あ、あのー……」
「なにか文句でも」
言うしかない、頑張れ俺っ!
「大変申し上げにくいのですが……武器、持ってないんで…」
「……はぁ?」
ひぃっ、案の定怒られた……いや、むしろ呆れられた……?
「武器も持たずに私とパーティーを組みたいなど……よくもまあそんな譫言が言えたものですね……」
「すみません、すみませんっ」
やばいって……もうこれ俺殺されるんじゃね?
「……冒険者鞄の中の初心者武器セットと防具セットを出しなさい」
「えっ?」
この人いきなり何を……
「いいから早く!」
「ひゃ、ひゃいっ!」
俺は恐怖のあまり震える手を抑えながら、指示されたものを取り出す。
「ほら、早くそれを使って武器と防具を作りなさい」
「へ?作る?」
Sore do you koto?
「……はぁー…なにも知らないのね、貴方は」
「す、すみません……」
だめだもう。この人に話しかけたのが運のつきだった……
「いい?その宝箱に向かって自分の使いたい武具を念じなさい。出来るだけ具体的に。そうすると、その武具が出てくるから」
「ほ、ほぇー……」
すげーな……さすが仮想世界。
よし、欲しい武具欲しい武具……
「じゃあ、私は準備してるから」
「あっ、ちょっ」
俺が武具選びに迷ってる間に、彼女はすたすたと離れてしまった。どうしよ……
(と、とりあえすなんか決めなきゃっ)
も、もう好きな武器二つでいいよね、うん。
俺は考えるのをやめ、二種類の武器を念じた。
*
Side 橘 瑠璃菜
(全く、なんなんだこの男は……)
本っ当に呆れた。よくそんな腑抜けで今まで生きて来られたなっていうレベルで呆れた。
(とっとと倒してしまおう……)
私は今その男がいる場所から九歩の間合いを取る。剣道の初期位置としては標準的な間合いだ。
「よーしできた!」
私が振り返ったところで、その男も準備ができたようだ。
ちなみに私の武器は両手剣。出来るだけ竹刀に近づけようとしたのだ。
「それじゃ、始めましょう」
私の呼び掛けに頷くその男を見たところで、私は三歩、前に出る。
すると不思議なことに、その男も同じように前に出てきたのだ。
(ま、まさか剣道の経験者……?)
私の脳にそんな考えが浮かぶが、今はそんなことを考察してる場合ではない。
(一発て仕留めてやる……)
私とその男がお互いに蹲踞を済ませたところで、決闘は始まった。
「ヤーッ!」
私は掛け声と共に間合いを詰め、相手の出方を疑う。
相手は手にした両手剣を大きく上に振りかぶっている。
(面か!)
そう判断した私はすかさずその男の胴に己の剣を打ち込もうとする。
だが……
「はっ!」
「ッ!?」
私の予想とは反して、その男は素早く剣を振り下ろし、私の剣を下へ弾き飛ばす、
(ならば……ッ!)
私は思いっきり剣を地面に叩きつける。
すると固い地面は私の剣を強く押し返し、私はその力を使って切り上げをしようとする。
しかし私の切り上げはその男が後ろに飛ぶことで躱されてしまう。
(くそ……っ)
間合いを切ったその男は、剣を構え直した後、また私に近づいてくる。
(次こそは!)
私はその男の剣線が少し斜め下を向いているのを見て、籠手を狙っていると判断する。
私は剣線を斜め上に上げ、鍔迫り合いに持ち込もうとする。
「やっ!」
私の策略は成功し、お互いの剣の鍔がギシギシと音を立て始める。
このまましばらく押し合ってから相手が強く押してきたタイミングで、私は距離を取り、バランスを崩したところを仕留めよう。
もう少し、もう少し……
「やっ!」
(今だ!)
私はその男が強く押してきた瞬間後ろに飛び、その反射を利用してその男に斬りかかる。
「せいやあああああああああッ!!!」
私は咆哮しながら高く飛び、その男の首めがけて剣を振る。
私が勝ちを確信した、その瞬間……!
「うらっ!」
その男は剣を片手で振り、私の剣を思いきり弾いた。
「ッ!?」
剣を失った私はそのままその男めがけて突っ込んでいき……
ドサアアアアアッ
倒れ込んだ。
*
Side 沖田 翔
「痛ぁ……」
俺は彼女の剣を弾いたはいいものの、彼女そのものを避けることを忘れていたがために、彼女に突進されその勢いで思いっきり後ろにぶっ倒れてしまった。
(と、とりあえずどいてもらおうっ)
俺は自分の体にのさばっている水色のツインテールをどかすべく、体を捩らせる。と同時に、腰につけたもうひとつの武器を引き抜き、構える。
俺が立ち上がるのとほぼ同時に、彼女は顔をあげた。そして俺が構えたソレを見て、
「ひゃぁっ!?」
悲鳴をあげて飛び退いた。なにそれかわいい。
「な、なんで短剣を……」
彼女は尻餅をついた姿勢で震える手で俺の短剣を指差す。
「一回やってみたかったんだよねー、片手剣と短剣の二刀流」
「……なんじゃそりゃ…」
「ま、まあそんなことはいいんだ」
俺は短剣を手にしたまままだ座り込んでいる彼女に詰め寄り、首筋に短剣をあてがう。
「……っ」
「……俺の勝ち、かな?」
「……参りました」
「う、うん……」
どうしよ、勝っちゃったんだけど。
「……ほ、ほら、さっさとパーティー組むわよっ」
「えっ、あ、う、うん」
俺はその水色に言われ、本来の目的を思い出す。
《ルリとパーティーを組みますか?》
俺は問答無用でイエスを選択。
「ルリって言うんだね、君」
「……そうですけど」
ルリと呼ばれたその水色は、少し不機嫌そうな顔をする。
体は小柄だけど結構かわいいな、うん。
「んじゃ、これからよろしく」
「…足引っ張ったらすぐ殺しますからね」
「ひぃっ」
相変わらず恐ろしいことを言う子だ……
「それじゃ、さっさと陽の塔目指して出発しましょ」
「んぇっ!?」
い、いきなり!?ちょっと心の準備が……
「ほら早く!」
「ひゃいっ!!」
俺は町の外へと駆け出す水色、改めルリの後ろ姿を追いかけ、新たな冒険の一歩を踏み出したのだった。
すみませんでしたァァァァァ!!!
もうほんとごめんなさい、こんなものしか書けなくてごめんなさいOTZ
しょうがないだろ!ボクは文豪じゃないもん!許してよ!(´;ω;`)
あと主人公<サブでさーせん:;(∩´﹏`∩);:
それじゃあ7話担当の方、頑張って~
※なお諸事情により更新は遅れる模様




