彼女のおかげ
「バカな男だ。ギィのヤツ」
オーディンはまた今日も酒をあおる。
さんさんと太陽が照り返す、リュクサンブール公園でのひとときであった。
ベンチに寄りかかり、ぐいぐいとグラスを傾けるオーディンの前に、スカーフを首に巻いた若者が立ちふさがった。
肩で大息をきらしている。
「おお、待っておったよ」
「どういうつもりなんですか」
ギィは魔法の粉をオーディンに突き返した。
「なんのマネだ」
「慈悲ですよ、僕のね」
ギィは半ばヤケクソになったのか、鼻息を荒くしていた。
「言ってることがさっぱりわからん」
「アーデルハイドが教えてくれたんだ。こいつは彼女にきいていなかった、なのにどうして僕が悩んでいると知りながらあんたって人は!」
「ばかだな〜、悩むのは人の勝手だろうに」
「いったな!」
売り言葉に買い言葉で、とうとうギィはブチ切れた。
肩をすくめるオーディンの胸ぐらを、ギィは乱暴につかんで揺らした。
「あんたなんかと関わったばかりに、僕は一生を不意にするところだったが、すんでの所であの子に助けられたよ。もう一切、僕に関わるんじゃないぞ!」
「あー、はいはい」
飲み助のオーディンは、赤ら顔をしてギィをからかうようにして、へへへ、と笑っている。
ギィは大学を辞めようかと悩んでいたのだった。
しかしそれを、しっかりもののアーデルハイドに止められて、ギィはだいぶ救われたと想った。
「今学校やめてどうするのよ。ギィ、あなたの本業は何? あなたが詩人になるのなら、私は喜んで援助したいわ」
アーデルハイドの十歳とは想えぬ言動に、ギィは心を打たれていた。
「メルシィ。アデル。ぼくがまちがっていた」
「だから、きっといい詩人になってね」
ギィは心に余裕ができると、どうしてもオーディンに復讐がしたかった。
「よーし、あのくそじじいに、目にもの見せてくれよう」
いったい何をするつもりなのか・・・・・・。
乞うご期待?(違;
プロットの甘さがここでつっかえ棒してます(汗。
今後の展開はもう決まっているのに、なかなか進まない〜。