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悪役転生  作者: こすもす
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悪役転生第5話 会議


「魔王様!はやくこいつらにとどめを!」


突然の大声と共に、

ノエラが空間転移で移動してきた。


傍らには、片翼を失った吸血鬼もいる。

とどめを刺すために連れてきたのだろう。


敵の増援がいつ来るかも分からない以上、

確かにのんびりとはしていられない。


やることをやってすぐに逃げる。


「八岐大蛇  吸収」


唱えた直後、僕の腰から触手が膨れ、

やがて二体の蛇となる。全長は5メートル。


どちらにも黄金色の皮膚があり、

輝いていると言うより、

艶やかと表現した方がいいだろう。


「魔王様。この二匹の蛇は何です?」


少し焦った様子でノエラが尋ねる。


「僕の魔法の能力の一つ、吸収に使う蛇だよ。」


「吸収、ですか?」


「見せた方がはやいかな。」


二体の蛇が弱り切った国英に向かい、

大きく口を開けて食らいついた。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


ヒルデは無言だが、

吸血鬼の方は弱弱しい悲鳴をあげる。


そんな二人の体が紫に光りだし、

その光は食らいついた蛇の体内へ、そして主の、

僕の体へと流れ込む。


体から光が抜けると同時に、

顔から血の気も失せる国英たち。


次第に声も出なくなり、

ただ吸い尽くされていく無力感に打ち震えている。


その振動は、蛇を通して僕にも伝わる。

彼らの光はみるみるとなくなり―


二人の体が、心なしか軽くなる。

元英雄たちの体から、光は全て消え失せた。


二人の体を地面に置き、

手早くゼインとノエラに命令した。


「ゼインはこのまま待機。ノエラ、僕と一緒に、

倒れている仲間をゼインのもとまで運んでくれ。

それが完了したらすぐに空間転移だ。」


「いつ国英が来るか分からない。急ぐよ!」


「「ハッ!」」


僕たちは大急ぎで仲間を運び、

空間転移で無事に逃げ切ることができた。




■ 空間転移で黒金城に帰った後、仲間の治療など、

一通りのことは済ませた。


まだ最低限の治療しか済んでいないゼインが、

無理矢理現れた時には驚いたが。


すぐ治療に戻るよう僕もノエラも言ったが、

今後のことを話したいと言って聞かないので、

やむなく同席させることに。


「ハァ、ハァ・・・ では最初に、

魔王様の魔法について、

詳しく説明していただけますか?」


「ねぇ、ゼイン。君やっぱり休んだ方が―」


「いいえ。私はこれまで、

魔王不在の黒金を引っ張ってきた身です。」


「そしてこれからは、 魔王様をお支えする立場。

けがくらいで寝ていられません。」


「ゼイン様。ここで話し合った内容は後で

私が伝えますし、何も無理矢理

会議に出席なさらずとも―」


「問題ない! 責任ある立場にいる以上、

大事な話し合いに欠席してどうする?」


「 魔王様、私のことはいいです。

とにかく魔法の説明を。」


「・・・分かったよ。そう興奮しないで。」


「じゃあ、説明するね。」


そうして僕は、魔法「八岐大蛇」の詳細―

中核をなす吸収能力と、

現状使用可能な、二つの能力について話した。


・触手:先端が蛇の口の形をしており、

そこから刃が出る。


触手は毒を注入する媒介だが、

これ単体でも攻撃可能。


触手を切り離せば簡易的な蛇の使い魔や、

通信機としても扱える。


・毒:(3種類)

緑毒(りどく)」:麻痺効果。体の自由を奪う。


紫毒(しどく)」:溶解、細胞破壊効果。装甲や、バリア等の

防御魔法にも有効。


蒼毒(そうどく)」:洗脳効果。人や動物の行動を支配できる。


・吸収:相手の魔力を吸収する。

この際、相手の魔法を分解し魔力として

吸収するため、相手は魔法を使えなくなる。


吸収した魔力は自身の魔力となり、

一定以上吸収することで進化。


新たな能力が解禁される。


進化は二段階あり、最終的には吸収を除き、

八つの能力が解禁される。


尚、強化以外にも適応(吸収した毒が効かなくなる、鉄を吸収してその硬度を得るなど)や 、

一度吸収したものに触れることで自在に操る

(空気を固めるなど)といった効果もある。


本当はもう一つあるが、

安易には使えない効果でもある。


「えっ! あの2人殺してないんですか!?」


吸収能力の説明が終わったあたりで、

ノエラが急に質問してきた。


その目には驚きだけでなく、

怒りや憤りもこもっているようだ。


「相手は国英ですよ! 英雄なんて名ばかり。

自分たちを特権階級か何かだと勘違いして、

誰彼構わず力を振るうような連中です!」


「私の母だって― いえ、とにかく、

アイツ等を生かしておくべきでは―」


「いや、殺す必要はない。」


「・・・どういう意味です?」


「連中はもう魔法は使えない。言ってしまえば、

元英雄。特権を失った特権階級だ。」


「生かしておくこと自体が罰になる。

そう思わないかい?」


「・・・それは、そうですが。」


一応は納得してくれたようだ。


思えば、先程の戦いでもすぐにとどめを刺すよう

急かしてきた。


「母」という言葉然り、彼女の苛烈さは

過去に起因しているのだろう。


だが、今はそれより―


「前から、というか転生した時から

気になってたんだけれど・・・お金は、大丈夫なの?」


気になっていたのは財政状態。


城のひびもそうだが、国英に追い詰められ、

魔王も不在だった以上、決して良くはないのだろう。


だが無視していてはいけない。


足元を盤石にしなければ、

世界を変えるなんて夢のまた夢だ。


「それなんですが・・・ ノエラ、

資料持ってきてくれるか?」


「はい。分かりました。」


しばらくすると、

ノエラがいくつかの書類を持ってきた。

黒金の財務諸表だ。


「その・・・非常に申し上げにくいのですが・・・」


書類を見ている僕に、

ゼインが重々しくも、口を開いて言った。


「黒金には約10億の借金があります。

加えて、あと2ヶ月で完済しなければなりません。」


言い終わった後、

ゼインは申し訳なさそうに目をそらす。


ノエラも黙って頷くばかり。


「・・・えっと・・・うん・・・・・・うん。」


言葉に詰まる。


思っていた以上に、悪役の道は前途多難だった。

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