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悪役転生  作者: こすもす
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悪役転生第26話 熱戦


黒金きっての武闘派―レオナと、鎧軍最上位の金伯。

主力級同士の戦いは、序盤から佳境に入っていた。


文字通り熱を帯びた戦いに、

周囲の葉は焼けて散り、木々は燃えている。


勝負は近接戦。


矛と爪の斬り合いとなるが、懐に入り、

かつ両腕に刃を持つレオナが優勢。



矛を防いでは斬り、防いでは斬りを繰り返す。

だが地獄はここからであった。


斬撃の効果が今一つと見るや、

レオナは爪の長さを変え、手の甲まで短くした。


爪を防御に特化させる。


金伯の縦の薙ぎ。躱したレオナは―


拳火(けんか)


顔面に炎の拳を、強烈な一撃を加える。


左の頬にひびが入り、

打ちぬかれた勢いのまま倒れ込む。


「拳火」

拳で触れた面にのみ高熱の衝撃波を加える、

より一対一に特化した技。


何とか起き上がる金伯。

直後、不意打ちで矛を薙ぐ。


刃が彼女の首筋に―


だがそれより遥かに速く、

レオナの拳が金伯の顔面を捉える。


火が付き、感覚も研ぎ澄まされた彼女には、

この程度の不意打ちは意味を成さない。


金伯は本来、白兵卒や銀属と比べても

一線を画す存在。


体の馬力も然ることながら、稲妻として出力される

その火力も桁違い。


それでもレオナには及ばない。


拳火乱舞(けんからんぶ)


ヒートアップした彼女の猛攻は、

もはや誰にも止められるものではなかった。


隙を見せた金伯の体に、休むことなく拳火を打つ。


蹴りにも同じ効果があり、打撃の連打によって

金伯がひび割れていく。


無論金伯も反撃はしている。

だが、どれも捌かれてしまう。


全身からの放電も、炎で防いで拳を振り抜く。


矛の刺突や斬撃も、

躱してカウンターの跳び回転蹴りを顔や胸に放つ。


掌からの稲妻も、手を弾いて正拳を打ち込む。


結局攻撃を受けるしかなく、

その勢いに何十メートル、何百メートルと

押し飛ばされる。


レオナの軌跡は木々が焼け、

まさに炎の獣道と化していた。


カンッ―


レオナが金伯の右膝を蹴って体勢を崩す。

そこに飛び掛かり、上からの拳火。


その勢いのまま、正面から木に激突。


殴られた顔の右側はヒビが広がり、

いつ崩れてもおかしくはない。


バチバチバチバチバチバチ―


稲妻の乱れ撃ち。複数本の光がレオナを襲う。

感電するが、魔力で防ぎダメージは抑える。


そして怯まず距離を詰める。

狙うは勿論、顔の右側―


カンッ―


その攻撃を読んでいたかのように、

金伯は矛で拳を防ぐ。


再び矛を、全身を光らせる。


が、やはりレオナには及ばない。


彼女は稲妻よりも早く動いた。


両手で矛を掴む。


ポンッ、と、足の裏から小さな咆哮を出す。


その勢いで脚を、全身を宙に大きく振り上げる。


ボゴォォォォ!!


両腕の筋肉と足裏の咆哮で、一気に体を振り戻す。


ブランコのような型でのドロップキック。


恐ろしい勢いで足が腹部に突き刺さり、

金伯の体もくの字に曲がる。


蹴りの瞬間も咆哮は放っており、

人間であれば内臓を吐くような一撃。


金伯は大きく吹き飛び、今度は背中から木に激突。


ただし勢いは先程の比ではなく、

ぶつかった衝撃で木がへし折れる。


当然金伯は満身創痍。


体中、ヒビだらけの土まみれ。

特に腹部のひび割れが大きい。


高潔な金色も輝きを失い、

洋風の落ち武者とも言うべき姿に。


趨勢は見えていた。


それでも金伯は立ち上がる。

矛を横に構え、刃に極限まで稲妻を圧縮する。


最初レオナも食らった、空気が爆ぜるような衝撃波。

それを放とうとしている。


光を失った金の鎧。


それでも矛の刃だけは、今まで見たどんな光よりも、

白く眩く輝いていた。


その一点の強い光に、

レオナはこれが最後だと悟った。


そしてその光に応えるように、

彼女も全力でとどめを刺す。


金伯の衝撃波は確かに脅威。


だが衝撃波なら、レオナにもとっておきがある。


全身の力を腹に集中させ、

圧縮したエネルギーを一気に解き放つ

レオナの必殺技。


手からでも足からでもない。

口から放つ本来の咆哮。


ただし、炎の力を得た彼女のそれは、

もはや衝撃波と呼べる次元のものではなかった。


触れるもの全てを消し飛ばす業火、破壊光線。


爆炎咆哮(ばくえんほうこう)


足を一歩前に出し、踏みしめ、

威嚇するように解き放つ。


金伯の衝撃波も同時に解放される。

炎と稲妻、両者がぶつかる。


次の瞬間―


熱が光を塗りつぶした。


咆哮の勢いは止まらず、

金伯を消滅させ、粉々にしても尚進み続ける。


最後は百メートル以上離れた場所に着弾。

爆発を描いてようやく止まった。


強敵を打ち破り、ようやく一息つくレオナ。

戦い終えた後だが、相変わらず体は暑いまま。


いや違う。どんどん暑くなっている。

体温上昇が止まらない。


炎の副作用。レオナは炎を解放し過ぎると、

熱が籠って熱中症のような状態になる。


もちろんレオナも、

眷属として熱への耐性は持っている。


だが、瞬間火力では蛇石をも超える一方、

耐性は彼より低い。


故に起こる反動。


意識が遠のく。立ちくらみもしてきた。

まずい倒れる―


「お疲れ様、レオナちゃん。」


受け止めたのはメイだった。

そのままレオナを抱きしめ、魔法を使う。


超回復(ちょうかいふく)


直後、レオナの体から蒸気となって熱が逃げていく。


また、消耗していた体力や魔力も回復する。


眷属化により、メイの魔法は進化した。


回復、という概念をより広く解釈できるようになり、

傷や体力・魔力の回復だけでなく、

病気等あらゆる体調不良も治せるようになった。


「ハァ、ハァ・・・メイ?  

あなたが治してくれたの?」


「そうだよ。戦ってるレオナちゃんを見つけて、

邪魔にならないよう付いて来たんだよ。」


「そっか。ありがとうね、メイ。」


「少し暴れすぎちゃった。」


「本当だよ。火が燃え広がらないよう、

皆で消火してたし。」


見ると、黒金の仲間が何人も来ている。

裏でサポートしてくれていたらしい。


「ごめんね、こんな後始末みたいなこと

させちゃって。」


「いいよ、謝らなくて。」


「レオナちゃんも私たちも、

自分にできることをやってる。」


「昔からそうでしょ。」


「メイ・・・」


レオナはメイを強く抱きしめ、メイもそれに応える。

しばらくすると、


「あ、あの、メイ様。私たちはどうすれば・・・」


流石に気まずくなったのか、

部下の一人が話しかけてきた。


「ごめんね、気まずいよね。

ひとまずレオナちゃんは大丈夫。」


「他の医療班からの応援要請もないし、

ひとまず本部に戻って。私もすぐに向かう。」


「「「はい。」」」


的確に指示を出し、仲間もきちんと応えている。

その姿は、かつての妹分とは大きく違った。


「じゃあレオナちゃん。私もう行くね。」


「メイ―」


「レオナちゃん。」


寂しさからつい出た言葉。

メイはそれを遮って言う。


「今日は、村の仇を討つ大事な日。」


「皆でやりきる。

今は、二人とも頑張らなきゃいけない。」


「その代わり、夜になったら

思いっきり甘えさせて!」


そう言ってメイは仕事に戻る。


成長した妹分の背中に涙腺を緩めるも、

今はこらえ、再び気合を入れ直す。


レオナも戦いに、自分ができることに向かった。

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