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悪役転生  作者: こすもす
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悪役転生第25話 女王


緑に満ちた森。


その静寂の中、明らかに場違いな爆音、

爆発音の鳴りやまぬ場所があった。


その場にいたのは、一人の悪役と多数の鎧。


状況はと言うと、悪役の圧勝。


完全に独壇場と化している。


爆発音もその悪役―レオナの猛攻によるもの。


彼女の攻撃に鎧はひしゃげ、次々と倒れていく。


魔王の眷属となったレオナには、

「炎」の能力が発現した。


炎を操り、身に纏うこともできる。


また彼女本来の魔法も進化。


口から放っていた咆哮を、衝撃波として

物理攻撃に付与できるようになった。


炎と咆哮。二つの合わさった熱の衝撃。


強化された筋力も相まった一撃は、

当たれば魔王とて無事では済まない。


当然、白兵卒など一撃で戦闘不能となる。


熱で柔くなった装甲に衝撃が加わり、

壊れた鎧が大量に転がっていた。


未だ多くの鎧が戦うも、現状レオナの敵ではない。


殴られた衝撃だけで鎧の顔が飛ぶ。


回し蹴りで体が吹き飛び、

ドミノ倒しのように次々に倒れる。


死角を突いても意味がない。

背後からの攻撃も躱し、ノールックで頭を掴む。


鎧の頭は熱と衝撃で握り潰され、

その拳が別の鎧の体を貫く。


数が意味を成さない。


それを理解した白兵卒たちは、

囮を使った合体を試みる。


が、その隙を見逃すレオナではない。


思わず笑みを浮かべた後、

一瞬で鎧の前から姿を消す。


直後、白兵卒が一体、また一体と潰れていく。


地面を、木々を踏み台にしての高速移動。

その軌跡が包囲網となり、鎧の逃げ場を塞ぐ。


そこから蹴りや爪で攻撃しているが、

闇雲に狙っているわけではない。


集団の端にいる鎧を攻撃し、

一塊になるように誘導する。


そして最後、密集した鎧を待つのは、

一網打尽の最期のみ。


咆炎(ほうえん)


空中から急降下したレオナが、

拳を地面に突き立てる。


勢いそのまま、ただの炎とは一線を画す、

灼熱の衝撃が球状に広がる。


至近距離で食らった鎧はひとたまりもなく、

吹き飛ぶより先に体が溶けた。


しかし、眼前の敵を倒して一息、とはならなかった。


背後からの急襲。

レオナは即座に反応し、爪で攻撃を防ぐ。


「遅かったわね。」


爪で弾くと相手は下がった。

銀属二体。加えて、背後からも足音が聞こえる。


白兵卒がさらに百体。


止まぬ敵襲。再びの大軍。


しかし、レオナは尚も不敵に笑う。


「フフッ、そうよね。

あれで終わりじゃないわよね・・・」


「上等よ。」


向かってくる銀属の居合切り。

そしてレオナも宙を駆ける。


そこから先、

常人には視ることすらできない戦いが続いた。


絶えず居合切りを続ける銀属と、

高速移動を続けるレオナの攻防。


速い。見えない。ただ衝撃音だけが残る。

唯一見えるのは、巻き添えで倒れる木々だけ。


当然、白兵卒が介入する余地などない。


呆然とこの光景を眺めていた彼らだったが、

しばらくすると動き始める。


戦力外だからとて、傍観を続ける兵士ではない。


加勢のため、銀属にならんと合体する白兵卒たち。

だがその頃には、もう戦況が動いていた。


銀属が白兵卒の頭上に落下。

勢いよく落ちた銀属の体で、白兵卒が押し潰れる。


上を見ると、銀属を蹴り落とし、

その反動で宙を舞うレオナの姿が。


すかさずもう一体が居合切り。

だが足で小さな衝撃を生み、くるりと一回転。


居合切りを避けたその足で、銀属の体を軽く蹴る。


ダメージはない。だが体勢を崩して木に激突。

勢いよく地面を転がる。


地に伏せる銀属に、悠々と向かうレオナ。


銀属は立ち上がる。構えを取り、居合切―


攻撃できない。


レオナの足が、銀属の手を止めている。


目にも止まらぬ速さで移動し、居合切りを抑え込む。


小悪魔じみた笑みを浮かべ、

動けない銀属を見つめる。


直後、空を裂くような後方回転。

勢いそのまま手を蹴り上げ、剣を宙に飛ばす。


武器を失い、硬直する体を爪で一突き。

胴を貫き、衝撃で吹き飛ばす。


落ちてきた剣を手にし、レオナは炎を宿す。


限界近くまで熱を帯びた武器を手に、

レオナは敵を見つめる。


視線の先にいたのは、もう一体の銀属。

既に構え、一直線の居合切り。


迎え撃つレオナ。互いの剣が交差する。


そして―


銀が溶けた。


居合切りを力業で押し込め、

剣ごと相手を斬り飛ばす。


押し戻され逆袈裟の傷を負い、武器も失った銀属。


気が付くと敵の姿は後ろにあり、

爪で斬られた顔を、振り向けることもなく倒れた。


強敵を下したレオナは、白兵卒、残党に目をやる。


一瞬で宙に跳び、そのまま急降下。


「咆炎」


合体も許されず、他に選択肢のない鎧など、

もはや敵ですらなかった。


鎧を一掃し、ようやく一息ついたレオナ。


だが、彼女の顔には不満が映る。

大量の白兵卒と、銀属二体。


戦い終えた彼女の体は温まり、

そして熱くなる直前であった。


身も心も最高潮になる、その前に相手が壊れた。


全力を出せないまま、

熱くなった体にもどかしさを覚える。


その時―


白い衝撃がレオナを襲う。


一瞬で目の前が真っ白になったかと思うと、

途轍もない力が体に加わる。


踏みしめた跡は線路のようになり、

防いだ両手は僅かに痺れた。


この攻撃の主―金伯が悠々と歩みを進める。


その姿を目に捉えたレオナは、高らかに笑った。


「アハハハハハハハ! いいわよ。

あれで終わりじゃ燃え足りないわ!」


体が震えるほど高ぶるレオナ。


それを意に介さず、矛を構える金伯。

刃が光り、稲妻が―


ドォォォォォォォン!!


大きく、金伯の体が後ろに下がる。


獲物に飛び掛かる猫のように、

ほとんど予備動作もなく金伯を蹴り飛ばしたレオナ。


金伯は矛で防ぐも、踏みしめた跡は遥かに長かった。


そして、相手を射抜くようなレオナの視線は、

獲物を捕らえた肉食獣のそれであった。


「行くわよ。」


女王は獣と化し、烈火は業火となる。

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